mail
MENU CLOSE
  1. Stockmark
  2. coevo
  3. 新規事業創出
  4. ドリームインキュベータと考えるアフターコロナの変化の捉え方と新規事業の作り方

ドリームインキュベータと考えるアフターコロナの変化の捉え方と新規事業の作り方

ドリームインキュベータ様_講演録_メイン画像

2020年6月に創業20周年を迎え、ミッション・ビジョン・バリューを刷新し、新たな門出を迎えた株式会社ドリームインキュベータ。創業以来、「ビジネスプロデューシングカンパニー」として大企業の事業創造を支援し続けているドリームインキュベータは新型コロナウイルスの影響の中、5月に「アフターコロナにおける成長・事業創造について」というレポートを公表している。

本レポートの中でドリームインキュベータは『変化の10年前倒し』と『ゲームチェンジと業界構造転換』という大きな2つの波が来ていると提唱し、その中での事業創造において求められる考え方・動き方を紹介している。ドリームインキュベータはどのようにアフターコロナの変化を読み解き、事業創造についての影響をどのよう考えているのか。

同社で様々な新規事業の創出支援を行い、現在は執行役員として本レポートの監修も行った野邊氏に5月からの変化点とこれからの新規事業創出について考えを伺った。

・参考:「アフターコロナにおける成長・事業創造について」
https://www.dreamincubator.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/27ddb3f9a49304abab31241250286ec6.pdf

※当記事は2020年9月29日に開催したオンラインセミナーの内容をもとに作成しています。

変化は分けて考えるべき。ドリームインキュベータが読み解く3つの変化

アフターコロナにおける変化をドリームインキュベータはどのように読み解いているのだろうか。5月に公表したレポートは情報収集だけで200時間から300時間の調査を行ったという。

当時の情報収集のプロセスについて野邊氏に伺うと、レポート自体はフルリモートで作成を行い、全業界/全産業で何が起きているのかの事実を全て集めるという方針で実施したとのことだ。情報収集はデスクトップリサーチを100時間以上行い、かつ実際に各業界で働いている方へインタビューを30件〜40件実施し、実際の声も合わせて集めた上で、大学教授などの有識者とも議論を行い、そこから変化を読み解きストーリーを形作っていったとのことだ。

ビジネスプロデュース及びコンサルティングという業務からは、一般的には「仮説思考」が連想される。しかし、「仮説思考」がうまく機能をするのは、自分がある程度情報を保有しており、頭の中にデータベースが構築されている場合であれば、筋の良い仮説を導出することができるが、当時はどのような影響があるかわからない、かつ周辺情報がない状態だったので、全方位的に情報収集を行ったという。

これは変化を読み解く上での情報収集の一つのヒントになるだろう。

では、実際に野邊氏はアフターコロナにおいてどのような変化があると考えているのだろうか。大きく3つの変化があり、それぞれを分けて捉えるべきだという。

ドリームインキュベータ様_講演録_図1

1つ目の変化は「元々続いている潮流的な変化」である。例えば、デジタルトランスフォーメーションや働き方改革・ジョブ型雇用、OMOなどは新型コロナウイルスの影響で注目を浴びてはいるが、元々起きている変化であり、変わっていくことが普通であるため、この機にトランスフォーメーションを積極的に行っていく必要がある。

2つ目の変化は「新型コロナウイルスの登場による特殊な変化」である。これは公衆衛生の強化や特定需要の急減や急増がある。例えば、今回はマスクの需要が大きく伸長し、アパレルメーカーがマスクを販売するなど市場そのものが大きくなっているものが挙げられる。同様に手指を消毒するスプレーなどの販売も伸びており、こういった変化には日々柔軟に対応していく必要がある。

3つ目の変化は「景気低迷によって起きている変化」である。これは不景気の時の経営というものがあり、そこに則って対応を進める必要がある。

野邊氏によると、3つの変化への対応はそれぞれ方向性が異なるものであり、分けて考えるべきだという。特に、新規事業及び既存事業の変革を担う方は1の潮流的な変化に乗っていくことが重要だ。5月のレポートの中でも触れられているが、正に『変化の10年前倒し』が起きているのは1の領域であり、多面的な変化が起きて惑わされる部分もあるが、この領域の変化がもっとも重大であると考えているという。

加速する生活者の分散化とドリームインキュベータが考える新規事業の余地とは

ここまでは、市場における変化を主に伺った。一方、新型コロナウイルスの影響は生活者の行動や価値観の変容も加速させている。

野邊氏によると新型コロナウイルスの影響によって、
・VUCA社会:先が見えない社会
・寒冷化社会:この先、生活が悪化する社会
・格差社会:貧富の差が激しくなる社会
・低満足社会:選択肢は多いが満たされない社会
という4つの社会的な変化が起こる中で、生活者の行動が『分散化』し、分散化社会が到来しているという。

昭和の時代は多くの人が一様な嗜好を持ち、均質性が高いため、マスマーケティングが有効な時代であった。そこから平成へと移る中で、嗜好が緩やかに多様化していったため、マルチブランド戦略が有効だったという。そして平成後期から令和では、似たような嗜好を持つグループで集まり、それぞれのグループは互いに関係性が薄く、交わらず、対立も起きる時代となっているとのことだ。

この分散化社会においては、「広く薄くはるビジネス」と「特徴を持った尖ったビジネス」のバランスが重要だ。前者の代表例はニトリやユニクロなどである。特徴を薄め、広く一般化した上で品質を担保することで事業を運営しているため、多くの人から受け入れられやすくなり、徐々に一強となっていく傾向がある。一方、後者のビジネスはD2Cアパレルなど特定の嗜好性を持つ顧客に対して、商品やサービスを届けるモデルが挙げられる。この領域においては、顧客に響くストーリーを伝えていくことが必要だ。

野邊氏によると、「特徴を持った尖ったビジネス」に勝機があるという。アメリカではD2Cが毎日のように生まれており、特に起業家のチャンスが増えているとのことだ。その中で、大企業がスタートアップとうまく付き合いながら、自らの事業を拡大していく視点を持つべきだという。

ドリームインキュベータ様_講演録_図2

変わる企業経営の在り方と進むスリム化

また、コロナ渦の中では企業経営の在り方にも変化が起きている。野邊氏によると今後は企業のスリム化が進み、組織においてはビジョンの実現に必要な機能に特化し、リサイズ可能な柔軟性が重要になるという。

既に一部の企業ではスリム化が進んでおり、ドリームインキュベータが考えるスリム化後の企業には、経営層と価値を生み出すコア人材しか残らず、それ以外の人材については外部から調達を行ったり、ロボットやAIでの自動化が進んでいくことになると考えているという。

一方、自社内の機能を絞るため外部の知見者との協業によって必要な期間と機能を調達する必要性も顕在化する。この側面においては、社内外問わず企業のパーパスやビジョンによって魅力を伝えつつ、外部のネットワークを常に活用することができる状態を担保しなければならない。今後は、外部人財活用の巧拙が事業やプロジェクトの成否を分ける可能性もあるとのことだ。

この考え方は弊社のプロダクトの考え方にも近い。これまで、ブルーカラーの仕事に対して、システムやロボットでの代替が進んできたが、これからはホワイトカラーへもその波が押し寄せてくる。これまで作業的な業務だったオペレーションの部分がデジタルシフトやAIの活用によって圧縮されていき、コア人材は俯瞰的にデータを見て経営層に伝えることと、非連続的なアイディアの創出を担うようになるだろう。これまで人数が少なかった新規事業の部署の人員が拡大し、新たな価値を生み出すことも可能になる。

野邊氏によると、B to B・B to C問わず、顧客は高い付加価値と高い品質を求め続けており、求める水準が日増しに高まっていると感じているという。弊社と実証実験に取り組んでいる、Astrategyというサービスにおいても最初は業務効率化のためと考えていたが、途中からは現場のメンバーがより高い価値を出せるようなマッチョなツールにしていきたいと考えているという。

また、実際に欧米の企業では個人のネットワークを構築する動きも高まっている。副業人材をネットワーク化したり、人財モールを構築し長期的なパートナーと短期的な人財の調達を行えるように柔軟なバーチャルリソースを持つ企業の動きもあるという。

ある意味、企業の意味が問われる時代でもある。これまでは企業内にいる人がナレッジを保有しており、最終的なアウトプットが社内に残っている状態だが、これからは関わっている人やプロセスが可視化され、人が変わってもすぐに活用できるようナレッジそのものを企業に昇華することも必要になるかもしれない。

だからこそ、野邊氏はウエットな部分も重要だという。整理される部分は合理的に整理されていくが、パーパスやビジョンによる人財の惹きつけや集団としてのカルチャーや居心地の良さといったものも重要だと強調された。

また、野邊氏は対投資家の観点でESGの取り組みについても触れている。野邊氏によるとコロナ渦でもESG投資は拡大しており、欧州やカナダではグリーンリカバリーを掲げ、環境対策や人権保護を実践するチャンスとして捉える傾向があるという。企業の対応も継続して対応を続ける傾向があるとのことだ。

これまではEとGに重きが置かれていたが、”S”の重要性が再認識されつつあり、これからは社会との繋がりの中で、従業員を惹きつけ、顧客を惹きつけ、投資家を惹きつけていく活動とが企業には求められているとのことだ。

新たな事業を創出するために

アフターコロナの変化を読み解き、事業創造へ繋げていく活動は多面的かつ多量の情報を収集を行い、市場・社会・生活者・企業経営などあらゆる側面での整理と構造化を行うことで実現している側面がある。

一方で、野邊氏は全ての人が情報を整理・構造化する必要はなく、それはAIや様々なツールで代替をしてサポートしてもらえばいい。インプットだけ増やして、頭でっかちになってもダメだし、自らの考えや仮説をアウトプットとして発信して、誰かとディスカッションする中で人を動かしいくことが必要だと結んだ。

どんな情報を集めて、どのように動くのか。

野邊氏は冒頭で5月に公表したレポートを作成する際、「多くの方々にヒントや気づきを得てもらえれば」ということに加え、「読後感として前向きになっていただきたく制作」したという想いがあったとも語っている。

ドリームインキュベータはその社名からも、同社が掲げるビジネスプロデューサーという領域や「挑戦者が一番会いたい人になる。」というビジョンからも、前向きにチャレンジするDNAが伺い知れるだろう。

このような状況下だからこそ、社内外問わず様々なリソースを活用して、前向きに挑戦し、周囲に働きかけることで、とにかく動いてみることが事業創造のために必要なのではないか────。

本セミナーの資料をダウンロードされたい方は以下からご確認ください。

・DI執行役員・野邊 義博がストックマーク社・ウエビナーに登壇、資料を一般公開