[取材にご協力いただいた方]
デジタル戦略推進部長 中西 義人 様
デジタル戦略推進部 企画グループ 桑子 朋子 様
医療用医薬品の研究開発・生産・販売に特化した研究開発型の製薬会社・中外製薬株式会社。中外製薬にしかできないイノベーションにより、患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーターを目指しています。
同社は2030年を見据えたビジョン「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」のもと、社内のデジタル推進に取り組む中で「デジタルリテラシー向上」「デジタル関連の情報共有の促進」の一環としてAnewsを導入。情報収集の効率化、部門横断のコミュニケーション促進に役立てています。
デジタル関連情報の共有・リテラシー向上を期待しAnewsを導入
デジタル推進の鍵は「デジタル人財の育成」
中西:当社は革新的な医薬品の研究開発・生産・販売に特化した製薬会社です。革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことを存在意義(Mission)とし、価値提供に取り組んでいます。
ここ10年の業界トレンドとして、研究開発コストの増加や医薬品研究開発の成功確率の低下による、創薬の生産性の低迷が挙げられます。 そこで当社は、2030年を見据えたビジョン「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」として「デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになる」ことを掲げ、変革に動き出しました。
桑子:このビジョンのもと、デジタルを活用した革新的新薬の創出、すべてのバリューチェーンの効率化、デジタル基盤の強化に注力していくため、2019年10月にはデジタル戦略推進部を設立しました。
当部のミッションは、全社的なデジタルトランスフォーメーションの推進です。従来は各部門がそれぞれにデジタル活用の取り組みを行っていましたが、専門部署を作ることで、全社横断でデジタル戦略の推進に臨む体制を整えました。
中西:「CHUGAI DIDITAL VISION 2030」の3つの基本戦略のひとつ「デジタル基盤の強化」として“デジタル人財の育成”があります。
当社は「すべてのコアは人である(人が財産=人財)」と考え、人財育成を非常に重要視してきました。デジタル推進の観点でも同様で、デジタル人財をいかに獲得・育成するかを念頭に、具体的施策の検討・実行を進めています。
各部門のコア人財に向けた教育プログラムの提供や勉強会、動画教材の配信などを行う中で、デジタル関連情報の共有・コミュニケーション促進やデジタルリテラシー向上を期待して導入したのが「Anews」です。
Anewsに期待したのは、網羅的な情報収集・コミュニケーションの活発化
中西:デジタル戦略推進部が発足して以降、デジタル系の情報収集に力を入れるようになりました。最初のうちはニュース媒体を個別にチェックしていましたが、「この方法で必要な情報を網羅的にカバーできているのだろうか?」という悩みを抱えていました。
そのような時に出会ったのがAnewsでした。AIがユーザーの興味関心に沿ったニュースを収集してくれる他、ニュースにはマークやコメントができ、各ユーザーの思考を把握することもできるAnewsの仕組みを知り、網羅的な情報収集に役立つのではないかと感じました。
また、ニュースをきっかけに議論が活発化し、そこからイノベーションにつながるアイデアが生まれるのではないかという期待もあり、Anews導入を決めました。
利用者を入れ替えながら、複数部門/約150名へのAnews導入推進
各部門のインフルエンサー的人財への先行導入で利用促進を図る
中西:まずは、複数部門の数十名に対してトライアル導入をしました。各部門から部署内の情報収集や活用に積極的な社員を推薦してもらい、利用枠の7割をその推薦者に割り当てました。彼らにAnewsをアクティブに使ってもらうことで、部門内への利用促進に繋げたい目的があったためです。残りの3割は、一般枠として全社から利用したい人を募りました。
数ヶ月のトライアルを経て一定の効果が見られたので、今は利用者枠を約150名に増員しています。増枠時は部門ごとに定員を割り振るのではなく、全社的に希望者を募る形にしました。
桑子:ユーザーに対しては「週に1回以上はログインする」「コメントやマークを残す」など、ある程度の条件を設けています。管理画面からユーザーごとの利用状況が確認できるので、利用頻度の低い人については、ご本人に確認を取った上で利用者の入れ替えをしています。
利用者の入れ替えを行うことで、積極的にマークやコメントをつけるアクティブユーザーの割合が増え、Anewsユーザーの利用がより活発化する効果も生まれています。
Anewsの利用が進んでいない人に対しては、利用促進のアプローチはあえて行っていません。元々ご自身で使っていたツールの方が情報収集しやすい、業務が忙しくAnewsを見る時間が取れないなど、皆さんそれぞれの事情があります。無理に利用を勧めるのではなく、Anewsを使っている方々がより使いやすいように環境を整えることに注力しています。
使いやすいUIデザインとAnews独自機能で情報収集の効率がUP
桑子:インターフェイスとしては、マニュアルを読む必要がないくらいわかりやすく、使いやすいと感じました。
AIがユーザーの思考を十分に学習できていない活用の初期段階では、入手できて良かったと思えるニュースが入ってくることが少ない印象でした。積極的に興味のあるニュースをマークしたり、Anews以外の媒体で知ったニュースをAnewsに登録したりすることで徐々にAIが育ち、ニーズに合った、かつ意外性もある情報が配信されるようになったと実感しています。
中西:また、他ユーザーのマーク・コメントがタイムラインで見られる機能も役立っています。「この人がマークしているなら読んでみようか」と、普段は触れない情報に触れるきっかけが生まれました。
部門を超えた繋がりから生まれる新しい価値に期待
中西:Anewsの導入により、効果として期待していた「情報収集の効率化」「情報収集の幅を広げる」「デジタル関連の技術やビジネス動向をとらえる」については、一定の効果を得られています。
「情報収集の幅を広げる」については、ひとつのサイトを見るだけでは得られない多くの情報に日々触れることができていると感じています。
中西:デジタル系の企画を考える際、Anewsが役立ったという声もありました。
当社には、全社員が応募可能なデジタルに関するアイデアを実現する「デジタルイノベーションラボ 」という仕組みがあります。Anews利用者アンケートでは、「デジタルイノベーションラボの企画検討にあたり、Anewsがきっかけになった」という回答もありました。 日々の仕事に活かせるナレッジやアイデアを得られた例はもっとあるのではないかと感じています。
桑子:「コミュニケーションの活発化」の例としては、デジタルワークプレイス改善方法に関する記事に、ある方が「うちの部門でもできそう」とコメントを書き込んだところ、他部門の方々からコメントが多数集まりました。その方は「同じ課題を感じている人は多いんだ」と感じ、実際に部門内の環境改善に取り組み始めたそうです。
また「他の方から肯定的なコメントをいただけたことで背中を押され、行動に移すことができた。今後もAnewsを使い続けていきたい」ともおっしゃっていました。
中西:Anewsを活用していくことで、「この人は実はこの分野に詳しかったんだ」などの気づきにつながりました。
一例を挙げると、工場勤務のある方がAnews内でロボット関連のニュースによくコメントされていたことで、ロボットの知見をお持ちだと知ることができました。
ロボット技術は工場に限らず研究所でもニーズがあるものなので、部門を超えて人財を繋げていくことができれば、イノベーションのきっかけが生まれるのではないかと考えています。
今後は、部門を超えたコラボレーションやイノベーションに繋がる議論が生まれる仕組みを、より整えたいですね。 これからもAnewsなどナレッジ共有のツールを活用しながらデジタル人財の育成に取り組み、患者さん、そして社会に貢献できるイノベーションを生み続けていきたいです。
※記事内容および、ご所属等は取材当時(2020年11 月)のものです。
事例資料をダウンロード
こちらの企業の導入事例をダウンロードいただけます。フォームを入力し、送信をお願いします。