[取材にご協力いただいた方]
IT基盤部 DX推進グループ マネージャー 長瀬 謙悟 様
IT基盤部 DX推進グループ 宮原 邦彰 様
「世界のスズキ」として愛され、二輪車、四輪車をはじめ、お客様に喜ばれる真の価値ある製品づくりとサービスの提供に取り組むスズキ株式会社。創立100周年を迎え、2020年度は国内自動車販売台数が前年の4位から2位へと躍進し、現在は製造業でありながら顧客接点のデジタル化にも取り組んでいます。
そして社内でのDX推進にも積極的に取り組まれており、調査業務の効率化や社内での情報共有の活性化を目的に、Anewsを導入。実務における日々の情報収集はもちろん、新たな価値創造に繋がるような部門間のコミュニケーション活性化にも役立てています。
調査工数の削減、情報共有の活性化に期待してAnewsを導入
各人が行う日々の情報収集は、無駄な重複作業発生になりかねない
長瀬様:我々が在籍しているDX推進グループでは、営業部門が目指している「デジタル世界での接客をどう実現していくか」というミッションに対して、お客様へ最高の体験を提供できるようデジタルマーケティング領域の案件を担当しています。
デジタルマーケティングを進める上で日々の情報収集、リサーチ業務は欠かせません。様々なキーワードで検索して記事を読み込み、必要に応じてレポートにまとめて関係各所に配布するといったことを行っていますが、こうしたWebでの情報収集というのは、私たちの部門だけでなく、他の部門においても各人が日常的に個々で行っていたりすることでもあります。具体的には検索、記事のピックアップ、内容の読解、業務への反映、レポーティング…と、かなりの工数を消費する仕事です。
実は同じ会社の中で、同じ目的で同じ情報を探している社員が他にもいて、見方を変えれば、別々の人間が同じ仕事を行っている状態であり、非常に無駄な重複作業が発生してしまっているんですね。また、各人が個別に調べているだけなので、わざわざレポーティングして他の社員に共有するといったことは起こりづらく、個々の暗黙知にとどまってしまいがちです。
そうした地味に重複している調査工数の削減、また情報共有のための社内コミュニケーション活性化を課題として感じていた中、大企業とスタートアップをつなぐイノベーションプラットフォームである『PLUG AND PLAY JAPAN』が主催する展示会で出会ったのがAnewsです。Anewsであれば情報収集の自動化や関係者間で情報共有ができるということを知り、Anewsの検討を始めました。
トライアル導入の結果、一人当たり46分/週の工数削減に繋がった
長瀬様:実際の導入にあたり、まずは社内の関係者に対して、Anewsが自社でちゃんと活用できるツールであるかヒアリングを進めていきました。そして機能検証のために短期的に無償トライアルを実施し、「これは良さそうなツールだ」と導入への意思が固まりました。
その後、本番導入の前に、業務利用が出来るかどうか検証するため、5か月ほど試験的な導入を実施。一部の部署でテストしてもらい評価・検証を繰り返し、本番導入に至りました。 新しいツールの導入というのは、はじめは面白がって利用する人もいるのですが、自社で機能しないツールの場合は徐々に利用ユーザーが減っていき、使われなくなりがちです。しかし、Anewsは利用者が積極的かつ継続的に使い続けていたため、これは有効活用できると実感しました。
宮原様:検証の結果、情報収集にかける工数が一人当たり46分/週もの削減に繋がったという社内アンケートが得られたんですね。そこで自社に有益なツールであると判断し、最終的に本番導入に至りました。 試験的に導入した際は30名ほどで利用していましたが、本番導入以降、現在では約80名の社員が利用。情報収集における効率化や、これまでリーチできなかった情報をいかに効果的・効率的に取得するかといった目的で利用しています。
組織間コミュニケーションが活性化。様々な部門が実務でもAnewsを活用
Anews導入で、知見を持つ社内人材の見える化が実現
長瀬様:現在、経営企画や商品企画などの企画業務を担う部署から、生産や部品関連の部署、新しい製品やサービスをつくる部署、そして営業やIT部門まで、様々な部署でAnewsが活用されています。
はじめはAnewsの利用促進のために少しでも心理的ハードルを取り除くべく、特に利用にあたっての細かいルールは設けず、好きに使ってもらうようにしました。その結果、記事に対するコメント機能やマーク機能が積極的に使われていたり、誰かのコメントに対してレスポンスがあったりと、Anews上のコメントを起点にしたコミュニケーションが発生しています。
さらに、当初は「各部門内や部署内などの閉じたコミュニケーションになるのでは」と思っていたのですが、実際使ってみると、まったく関係のない部門の社員同士のコミュニケーションが偶発的に起こっていて、組織間でのコミュニケーション活性化に想定以上の効果があると感じています。
宮原様:そうしたコミュニケーションを通じて、部門を越えて誰がどういった領域に知見があるのかといったことが見える化できているというのは非常に価値のあることだと感じています。弊社は1万6千人を超える規模となっていますが、社員同士の繋がりがあれば「このネタはあの人が詳しい」といったことがわかりますが、繋がりがなければ知り得ないことです。
そのため、従来であれば誰がどういった情報を持っているかが見える化できていなかったのに対して、Anews導入以降は「社内にこういった領域に詳しい人がいたのか」と気づくことができ、それによって新たな価値創造に繋がるような部門間の新しい交流が生まれたりと、ある意味AnewsはHR領域も補完するツールだなと思います。
価値ある情報を効率的に収集できるようになり、様々な部門で活用
長瀬様:実務面においても、Anews導入による効果は大きいと感じています。たとえば企画部門では、もともと各人が自ら情報収集を行っていましたが、大量の記事から実務に繋げられる情報を引っ張り出すことは非常に苦労を要していました。しかし、現在はAnewsによってリッチな情報、すなわち企画に役立つ価値ある情報を効率的に集めることができていて、企画会議でも内容の濃い議論が進められるようになったと声が上がっています。
また部品部門においても、例えばひとつの部品が届かないだけでお客様の車が修理できずサービスが止まってしまうため、自然災害であったり、配送需要増加に伴う物流の変化など、最新の情報を把握して即座に対策を講じる必要があります。そうした部門においても、様々な予兆を調べるための情報収集としてAnewsが活用されています。
宮原様:我々のDX推進グループでも、デジタルマーケティング分野での最新情報を集めて分析する際に、Anewsを活用しています。
たとえば他社がどういったサービスを新しくリリースしたのかをAnewsで調査し、そこから自社の課題発見・解決のための企画立案に繋げたり、またお客様は自動車以外の様々なことに接して日々生活されているわけですから、新たなライフスタイルの提案で切り口を探すべく、キャンプであったりグルメであったりと、お客様の趣味嗜好に関する様々なキーワードから生活者のトレンドを把握するためにAnewsを活用したりしています。
そうした様々なキーワードで調べると、集まった記事から他業界の企業がどういったことを流行らせようとしているのか、どういったトレンドを仕込もうとしているのかがわかり、「いま」のトレンドではなく、「次」にくるトレンドのチェックにAnewsは非常に重宝しています。
社内でのAnews活用をより広めていき、同時に情報共有の仕組みを強化していきたい
宮原様:Anewsがこうして社内で広く活用されているのも、ストックマークのサポート体制がしっかりされているからだと感じています。利用者が増えるたびに説明会を開いてツールの使い方を直接指導いただいたり、また追加機能の要望に対してもすぐに検討してくださったり、実際に実装してくださったりしてくれていて、とても嬉しく思います。これからのツール自体のアップデートにも非常に期待しています。
そしてAnewsは効率的な情報収集だけでなく、知りたい情報に関して社内で誰が詳しいのか、誰が知見を持っていそうなのかといった社内人材の見える化に繋がるツールだと思います。現在はイノベーター気質の社員中心にAnewsを利用している状況ですが、今後より利用ユーザーを増やしていき、広い範囲でそうした知見を持った社内人材の見える化を進めていければと考えております。
長瀬様:今回、Anews導入にあたって、弊社ではいきなり全社員にツールを配布するような進め方ではなく、まずは情報収集に関してモチベーションの高い社員、各部門の特徴的な社員、また他部門含めて社内に顔が広い社員らを中心に展開していきました。
その結果、モチベーションの高い社員は積極的にAnewsを活用してコメントもどんどん書いたりと、部門間コミュニケーション活性化の盛り上げ役になっています。また、特徴的な社員は他の社員が気づかないような記事をチェックしていたり、顔が広い社員は「面白いツールがあるよ」と他の社員を巻き込んだりと、それぞれが期待以上の動きをしていてAnewsをアクティブに活用している状況です。
一方で、今後より広く他の社員に使ってもらおうとしたときに、中にはツールを渡しても積極的に活用しない社員も出てくるでしょう。しかし、そうした社員でも業務上価値のある情報を必要としていますから、今後は社内での情報格差が生まれないよう、均一に情報提供を進めていく取り組みが必要であると感じています。 たとえば積極的に情報収集を行う社員が集めた情報を、コンパクトにまとめて社内に展開できるようにするなど、より効率的な社内での情報共有の仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えています。
※記事内容および、ご所属等は取材当時(2021年7月)のものです。