2024年以降の半導体市場の見通しは?需要や各国の動向について
製造業
人が運転することなく、車が自動で目的地まで運んでくれる。まさに数十年前に冗談混じりに話していた絵空事は現実となりつつある。現在、限定領域内においてドライバー不在の運転を可能にする「自動運転レベル4(高度運転自動化)」まで実用化されているからだ。本記事では、自動運転の各レベルの定義や普及状況などについて解説したい。
次世代自動車を実現する技術のひとつとして注目される
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目次
自動運転とは、ドライバーによる運転操作を必要とせずに、自動的に走行する自動車、またはそれを実現する技術のことを指す。広義的には、シャトルバスやタクシーなどの無人走行や配送ロボットの無人稼働も含む。
自動運転技術は、いち早く航空機や船舶、鉄道などに導入された。世界で初めて運行した完全自動無人運転の電車「神戸ポートライナー」が象徴的な例だろう。
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自動運転のレベルは、0〜5までの6段階に分類されている。レベルの定義はいくつか存在するが、世界標準とされるのがアメリカのSAE International(米国自動車技術者協会、以下SAE)の規格だ。日本では、2016年9月にSAEが発表したJ3016と、2018 年2月に公表された日本語訳のJASO TP 18004を下地に自動運転レベルが定義づけされている。
ここからは、自動運転のレベルについてそれぞれ解説していく。
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自動運転レベルが最も低いもので、いわゆる従来の自動車を指す。まったく自動運転技術が使われていないため、加速・減速、ハンドル操作、ブレーキ、車線変更など運転にかかる作業は全て人間が行う必要がある。
レベル1は運転補助機能が搭載された車のことを指す。そのため、人間が主体となって運転を行わなければいけない。具体的には、前走車に一定の距離を保ちながらの追従走行が可能なアダプティブクルーズコントロール(ACC)や、車線中央を走行するようにステアリング操作を支援する車線維持支援システム(LKAS)などが搭載されている。
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レベル2は部分的に運転が自動化された車を指す。アクセルやブレーキ操作による加速・減速の制御と、ハンドル操作による左右の制御のどちらも搭載されていることが条件となる。また、高度駐車アシスト(APA)や交通標識認識(TSR)といった先進運転支援システム(ADAS)も搭載されていることが特徴だ。
一定の条件下で、ドライバーがステアリングから手を放して運転できる「ハンズオフ機能」がついた車は、従来のレベル2と区別して「レベル2.5」などと表現される。
レベル3は、特定の条件下でシステムが全ての運転操作を行う車を指す。運転の主体がドライバーからシステム側に変わる点で、レベル0〜2と大きく異なる。運転状況から目を離す「アイズオフ」の状態をキープできるのが特徴だ。しかし、緊急時にはドライバーが運転操作を引き継ぐ必要がある。
レベル4は、特定の条件下においてシステムが全ての運転タスクを行う車を指す。レベル3との大きな違いは、ドライバーが介入することが不要である点だ。緊急時にはシステムが判断し、安全に車両を停止させる。この状態は「ブレインオフ」と呼ばれている。ただし、レベル4の自動運転車が走行するエリアは限定されており、区域外では人間が運転を行わなければならない。
現時点において、自動運転レベル4の市販車は存在しない。
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レベル5は、どのような道路の種類、天候、場所であっても、システムが自律的に全て運転する車を指す。まさに自動運転の最高到達点といえる。運転は全てシステムが担当するため、ドライバーが不要になるだけではなく、ハンドルやアクセル、ブレーキなど運転席の設置も不要となり、車内設計の自由度が格段に増すといわれている。
2024年10月現在、自動運転レベル5を搭載した車両は存在しておらず、国や自動車メーカーが実現の可能性を模索している段階だ。まず、日本においては横浜で開催される「2027年国際園芸博覧会」で、国内初となる公道での実証実験を計画している。
諸外国に目を向けてみると、ヨーロッパ(EU)では、2030年代までに自動運転レベル5(完全自動運転)を実現するためのロードマップを発表。
一方アメリカは慎重な動きを見せている。2021年6月、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は「レベル2〜5の衝突報告に関する常設一般指令」を発令。自動車レベル2以上の車両の事故データの収集と分析を行い、関連する法律の策定や改定を目的として制定されたものだ。これは、交通事故の件数が2009年から増加傾向にあるアメリカ特有の課題も関係している。
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現在の技術では、完全自動運転の実現にはまだ程遠いが、レベル3、レベル4と着実に進展していることは間違いないだろう。レベル5では、路面環境だけでなく天候や場所、交通状況など、複雑で変則的な状況を予期しなければならず、気の遠くなるようなサンプルデータの収集と分析が必要となる。しかし、まだ誰も到達できていない領域だからこそ、どの会社にもビジネスチャンスがあるといっても良い。
参考記事
・一般社団法人日本機械学会「鉄道における自動運転のあゆみと将来ー自動車の自動運転と対比してー」
https://www.jsme.or.jp/kaisi/1241-21/
・内閣官房IT総合戦略室「自動運転に係る制度整備大綱(概要)」
https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/auto_drive_point.pdf
・国土交通省「自動運転車両の呼称」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/report06/file/siryohen_4_jidountenyogo.pdf