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自動運転とは?日本では現状どこまで進んでいる?メリットやデメリットを解説

自動運転とは?日本では現状どこまで進んでいる?メリットやデメリットを解説

2023年5月に国内で初めて自動運転レベル4のサービスが開始され、完全自動運転とされるレベル5も、あと数年で実現されるといわれている。もはやこれは夢物語ではなく、近い未来に迫る現実なのだ。本記事では、自動運転の概要と歴史、国内の最新動向について解説したい。

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 自動運転とは?

自動運転とは、ドライバーによる操作や操縦を必要とせずに自動的に車が走行・停止などを行う技術のことを指す。英語では「Autonomous」「Self-driving」とも。国土交通省では、自動運転を「運転者ではなくシステムが、運転操作に関わる認知、予測、判断、操作の全てを代替して行い、車両を自動で走らせること。」と定義している。

自動運転の技術は、かねてから「ゆりかもめ」や「ポートライナー」などの鉄道や、航空機のオートパイロットシステムなどに導入されてきたが、近年は自動車への応用が期待されるようになっている。

自動運転技術というと、自家用車の文脈で使われることが多いが、近年は自動運転レベルが高まってきた背景もあって、シャトルバス、タクシーなどの無人走行や配送ロボットの無人稼働も兼ねた、より広義的な用語になっている。

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 自動運転とADASの違い

自動運転に似た概念にADASがある。ADASはAdvanced Driver-Assistance Systems(先進運転支援システム)の略で、ドライバーの運転をサポートするさまざまなシステムを包括した概念だ。代表的な機能として、AEBS(衝突被害軽減ブレーキ)やFCW(前方衝突警告)、NV/PD(歩行者検知)などが知られている。

自動運転との決定的な違いは、ADASがサポート技術であるのにたいし、自動運転はドライバーによる操作や操縦を必要としないことである。つまり、ADASは自動運転レベル1〜2で使用される技術といってもいいだろう。

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 自動運転におけるレベルの定義

自動運転技術は、レベル0からレベル5までの6段階でレベル分けされている。数字が大きくなるほど自動化レベルが上がり、最大のレベル5は完全自動運転を指す。レベルの定義は複数存在するが、最も世界で普及しているのがアメリカのSAE International(自動車技術者協会、以下SAE)の規格だ。

自動運転レベル表

レベル1、レベル2が搭載されている市販車は、すでに広く流通している。レベル3は数が少なく一般的に普及しているとは言い難い。ちなみに、世界初のレベル3の市販車はホンダの「レジェンド」で、2021年に法人リース専用として100台限定で販売されている。

現在、日本を含む一部の国でレベル4まで実用化されている。アメリカでは2018年にWaymo(ウェイモ)が自動運転タクシーの有償サービスをアリゾナ州で開始している。中国では2021年に百度(バイドゥ)が北京市で自動運転タクシーの運行を開始。その後、提供地域を拡大し10都市以上に展開中だ。

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 自動運転の歴史

自動運転の起源は定かではないが、1939年に行われたニューヨーク万国博覧会でゼネラルモーターズ(以下GM)が発表した自動運転構想「フューチュラマ(Futurama)」といわれている。1950年代には、同じくGMが誘導ケーブルを使った自動運転技術を開発したが、実用化には至らなかった。

日本では、1960年代に通商産業省工業技術院機械試験所が研究を開始。さらに1977年には当時、工業技術院の機械技術研究所に所属していた津川定之教授らによって、公道を走行することを想定した自動運転車が日本で初めて開発された。

1980年にはドイツのメルセデス・ベンツも積極的に自動運転技術の開発に取り組みはじめ、各国で自動運転技術の研究が加速する。2009年にはZMPが最初のロボットカー「RoboCar1/10」の販売を開始した。さらに同年にGoogleが自動運転プロジェクト「Self Driving Car Project」を発表。この取り組みは、結果的に先に述べたWaymoが行っている功績として実を結ぶ。

2010年前後には自動運転技術に関するスタートアップが次々に設立され、2016年にはSAEによって、自動運転のレベルが定義された。

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 日本における実用化の時期は?自動運転の現状と最新動向について

世界初の自動運転車を開発した日本だが、実用化においてはやや出遅れる格好となった。2018年に国土交通省が、自動運転の実用化に向けて「自動運転に係る制度整備大綱」を策定。2020年には、道路交通法・道路運送車両法が改正され、これによってレベル3の自動運転車が高速道路など特定条件下における公道での走行が可能となった。

また、2022年4月にはレベル4の自動運転(特定自動運行)の許可制度の創設に関して道路交通法の一部を改正する法律が公布され、2023年4月に施行された。2023年5月に福井県永平寺町で一般道での運行サービスが開始。また長野県塩尻市では自動運転レベル4のEVバスの実証実験が開始された。また、政府は2025年までに高速道路におけるレベル4での自動運転の解禁を目指すと発表している。しかしながら、レベル5の自動運転については実証実験段階であり、具体的な目標は設定されていない。

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 自動運転のメリット・利点

自動運転技術が進むと、利用者および社会にどのようなメリットがあるのだろうか。

 運転負荷の軽減

自動運転で最も連想しやすいメリットではないだろうか。たとえば、実用化が進みつつあるレベル4は、自動車専用道路や特定の路線、低速走行地域など限定された条件で全ての運転操作が自動になる。ドライバーは肉体的な疲労や精神的ストレスが大幅に軽減され、より長距離の運転が可能となる。

 交通事故の減少

2022年度の交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータによれば、交通事故の発生要因の80%近くがヒューマンエラーとされている。物理的に考えれば、減速や停止などの判断が自動化されるだけで、交通事故の数は減少するといえる。現在では、すでにNV/PD(歩行者検知)やAEBS(衝突被害軽減ブレーキ)といった運転支援システムもあるが、将来、ビッグデータの活用によって潜在的な危険箇所を特定し、その場所に近づいたら自動減速するような技術によって、前もって事故を予測することも可能となるだろう。

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 渋滞の緩和

自動運転では、ビッグデータの収集、AIによる解析によってリアルタイムで道路混雑状況を把握し、最適で効率的なルートを瞬時に判断してくれる。さらに、それだけではなく速度や車間距離の調整を行うことで、渋滞の発生を未然に防ぐ役割を担うことも可能となる。

 地域公共交通の維持

レベル5が実現すれば、システムが運転を完全制御するようになるため、ドライバーが不要となる。現在、過疎地域における公共交通の存続が危ぶまれているが、自動運転技術によって維持できる可能性は上がるだろう。また、交通インフラが安定するため、観光需要も高まって、中長期的には地域活性の一助にもなるとされる。

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 自動運転のデメリット・課題・問題点

一方で、自動運転は発展途上の技術であり、法整備が追いついていない、通信障害による事故リスクなど、さまざまな課題や問題点が残っている。

 システムトラブルや通信障害のリスクがある

自動運転は通信やGPSなどの技術によって支えられている。天候や災害などによって正常に作動しなくなるリスクはゼロではない。また、悪意ある電波干渉やハッキングなどによって操作不能になることも考えられる。

 事故による責任の所在が不明瞭

自動運転車で事故を起こした場合の責任の所在は、各国とも議論を進めている状況だ。2024年8月現在、日本では従来の自動車同様に運行供用者責任を維持する方向で検討をしている。ただし、外部からのジャミングやハッキングなどがあった場合には、自動車の保有者は責任を負わないとしている。しかし、適切なセキュリティ対策を講じていなかった場合には保守点検義務違反となり、運行供用者責任にあたる。

 運転手の雇用への影響

自動運転レベル4、レベル5となれば、ドライバーの役割は大きく変わることとなる。これは、免許を持っていれば運転技術に関係なく、誰でも自動車を操縦できる明るい未来ともいえるが、同時に運転手の雇用への影響は計り知れない。

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 まとめ

完全自動運転とされるレベル5の実用化は人類未到の地だ。しかし、実現するとなれば、まさに車そのものの概念が崩れるような変化が起こるだろう。それこそ新たなマーケットが生まれることも想定される。AIや通信といった関連技術だけでなく、それ以外の業界・業種も参入の余地があるかもしれない。この機会に自動運転の最新トレンドをウォッチし、自社の事業展開に活かしてほしい。

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