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次世代エネルギーとは、エネルギー源の多様化に貢献し、現代の重大なエネルギー問題を解決すると期待されるものだ。有限資源である化石燃料からの早期の転換を図るためにも、次世代エネルギーの利用推進や理解の普及は必要不可欠だろう。
本記事では、そのような背景で注目が集まる次世代エネルギーの種類や特徴について解説する。
化石燃料の代替として注目される次世代エネルギーをわかりやすくまとめました!
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目次
次世代エネルギーとは、いま主流となっている枯渇性エネルギーである化石燃料とは異なり、再生可能で二酸化炭素の排出量が少ない、または排出しないエネルギーのことである。海外では、「代替エネルギー」とも呼ばれる。エネルギー源の多様化が期待されており、特に日本では「技術的には実用段階であっても経済的な理由から普及が十分に進んでおらず、利用促進を図るべきエネルギー」として「新エネルギー」という位置付けもある。新エネルギーは再生可能エネルギーに内包される。
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日本の年間発電電力量のもととなるエネルギーにおいて、化石燃料は従来から大きな割合を占めている。徐々にその割合は低下してきているが、2021年度の資源エネルギー庁の電力調査によると、化石燃料の割合はそれでも全体の約4分の3に上る。2015年に採択されたパリ協定では、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みが規定された。たとえばイギリスでは火力発電所排出基準法が成立し、2025年の石炭火力の廃止に向け取り組みが進むなど、欧州各国がすでに廃止の方針を決定している。今後、パリ協定の採択内容に整合した取り組みを進めるために、日本でも石炭火力の利用を廃止していくことが必要不可欠だろう。日本ではエネルギー基本計画として、2030年時点で温室効果ガス排出量を2013年度比46%減を掲げている。削減目標達成のためには、省エネや次世代エネルギーの導入拡大のほか、石炭火力からのいち早い脱却が求められている。
石油、石炭、天然ガスなどといった化石燃料は有限の資源であり、今後も利用のペースが変わらなければ、石油、天然ガスは約50年、石炭は約130年ほどで使い切ってしまうと見込まれている。化石燃料のなかでも、石油は原材料として多様な使途のある物質であり、火力発電でエネルギー源として使われることは有効活用ではないとの指摘もある。この点からも、発電などに必要なエネルギー源として次世代エネルギーの活用は求められているといえる。また、化石燃料は火力発電でエネルギーを利用する際、燃焼によって二酸化炭素を大量に排出する。前述の温室効果ガス排出量を削減していくためにも、温室効果ガスの発生が抑えられる次世代エネルギーの利用が望まれるのだ。
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次世代エネルギーと一言に言っても、その種類は数多く、特徴も様々だ。パリ協定の目標である2050年までに化石燃料を代替するエネルギーを確立するためには、いくつかの次世代エネルギーをその特徴に合わせて使い分けていくことが求められる。ここでは注目されている次世代エネルギーをいくつかご紹介する。複数の次世代エネルギーを活用することができれば、化石燃料の電源構成の割合を減らすことは可能になるはずだ。
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太陽光発電は、日本における次世代エネルギーの筆頭だといえるだろう。太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用して、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する仕組みだ。近年、日本国内で導入量が伸びており、2020年の導入容量実績では、中国やアメリカについで3位となっている。国内のエネルギー電力量に占める割合としては2021年で9.3%となり、2030年度で想定している電源構成の割合15%に着実に近づいている。
バイオマスとは動植物などから生まれた生物資源の総称であり、これらの資源を利用して作られた燃料をバイオマス燃料という。燃料の形態はペレット状の固体燃料のほか、バイオエタノールといった液体燃料、気体燃料とさまざまだ。
たとえば地域循環型の液体燃料として、家庭で使用した天ぷら油からバイオディーゼル燃料を製造し、地域の民間企業などで燃料として利用している例や、食品産業などから排出された廃食用油からバイオディーゼル燃料を製造し、産業廃棄物運搬車の燃料として利用している例がある。
バイオマス発電はバイオマス燃料を直接燃焼させる、もしくはガス化させることで行われる。技術開発が進んだため、現在ではさまざまなバイオマス資源が有効活用されており、家畜排泄物や稲藁、林地残材などが例として挙げられる。これらの資源は国内の農山漁村に存在し、地域の自然循環環境機能を維持増進すること、そして持続的発展について寄与が可能だといえるだろう。廃棄物を利用する、二酸化炭素を排出しない発電として注目されている。また、バイオマス発電は太陽光や風力と違い、天候に左右されない点も大きな特徴だ。
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バイオマス熱利用では、バイオマス発電によって発生した蒸気の熱や、バイオマス資源を発酵させることで発生するメタンガスを活用する。メタンガスは、都市ガスの代わりに使用することができるガスである。バイオマス資源のもととなるものは間伐材や廃材といった廃棄処分されたものであるため、自然の資源を余すところなく使えるという点がメリットとして挙げられる。また、生物系廃棄物の量を削減できる点も利点といえる。
風力発電は、風のエネルギーを電気エネルギーに変換する発電方法だ。欧米諸国ではすでに広く取り入れられており、日本は導入が遅れてはいるものの2000年以降は急増している。太陽光と比較して、日照に左右されることはなく、風があれば夜間でも発電可能な点が利点である。また、大規模に発電することができれば発電コストが火力発電並であるため、経済性を確保できるエネルギーとして期待されている。陸上に設置する風力発電は導入可能な地域が限定的であるため、洋上風力発電も検討、計画が進み、実際に数ヶ所で稼働している。
河川や水路が多く水資源が豊富な日本において、これまでにも利用されていた発電方法が水力発電だ。現在では、大規模なダムの施設設置を伴わない、1000kW以下の中小規模の水力発電施設の建設が活発化している。利用する水は、河川の流水のほか、農業用水や上下水道などさまざまだ。大規模なダムであれば建設可能な地域は限定的であったが、中小規模であれば開発できる地点がまだ数多くあると考えられている。安定供給や長期稼働が可能で、二酸化炭素を排出しない発電方法であり、今後ますますの広がりが期待されている発電方法だ。
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温度差熱利用は水源利用のひとつで、地下水や河川水、下水などの水源を熱源として利用する方法だ。夏は水温の方が温度が低く、逆に冬は水温の方が高いため、ヒートポンプで水の持つ熱を利用する。熱源とエネルギー消費地が近接していて、一般家庭での冷暖房に活用できるため、新しい都市型エネルギーとして徐々に活用が広まっている。燃料を燃やさないクリーンエネルギーのため、二酸化炭素排出を削減することができる。ただし、導入のための建設工事が大規模であるため、導入費用が高い点は課題だといえる。
太陽熱利用は、太陽の熱エネルギーを太陽集熱器に集めて、空気や水などの熱媒体を温めることで、給湯や冷暖房に活用する方法である。太陽熱利用はシステム構造が単純であるため、以前から導入されており実績も多い。給湯利用の多い介護施設など、一般の企業や施設であっても導入しやすいことが利点である。導入コストも低く、一般住宅でも利用されている。
雪氷熱利用は、冬場の雪や冷たい外気を利用して凍らせた氷を保管しておき、夏の冷房などに利用する方法だ。寒冷地の気象特性を活かした方法であるため、利用できる地域は限られる。しかし、利用できる地域では資源を安定的に確保できることや、除雪や融雪に活用できるメリットがある。実際、マンションで雪を溶かした冷水を循環させる雪冷房を活用した例がある。
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地熱発電は地中の地熱エネルギーを使う方法で、深い地面の中から蒸気を取り出して直接タービンを回すことで発電を行う。石炭などを燃焼させるのではなく、マグマなどの地球内部の熱を利用した発電方法だ。そのため地熱発電ができる地点は地熱地帯と呼ばれる場所に限定されるが、半永久的に安定供給が可能であること、二酸化炭素排出を抑えられることなどの多くの利点がある。しかし、大容量の発電が難しく、火山口や温泉の近くなど周辺環境や人々の生活との調和を図る必要があるなどの課題がある。
水素は石油や天然ガスといった化石燃料やメタノール、エタノールのほか、身近な水や廃プラスチックやバイオガスなどから製造することができる物質だ。水素は、燃料電池を利用することで、車やバスといったモビリティの動力として使うことができる。また、化石燃料ではなく、再生可能エネルギーによって製造された水素はグリーン水素と呼ばれ、製造工程において二酸化炭素を排出しないものとして取り扱われる。日本国内だけでなく世界で注目されているエネルギー源だといえるだろう。
燃料アンモニアは燃焼しても二酸化炭素を排出しないため、ゼロエミッション燃料と呼ばれる。地球温暖化対策における有効手段と考えられており、技術開発が進められている。すでに燃料アンモニアの生産の技術、運搬、貯蔵といったサプライチェーンは確立されており、今後の利用拡大が期待されている。導入への課題としては、燃料アンモニアを安定的に確保できるのか、コストの低減ができるのか、また、導入後に排出される二酸化炭素の処理など、環境配慮はどうするのかといったものがある。
CCS・CCUS技術は、二酸化炭素を回収、貯留、また、さらに再利用する技術のことだ。火力発電所や化学工場では二酸化炭素を多く排出しており、そこで排出された二酸化炭素をほかの気体と分離させて集めて地中深くに埋める技術がCCS技術だ。CCUS技術では、集めた二酸化炭素を別のことに利用する。たとえば米国では、回収した二酸化炭素を油田に注入し、残った原油を圧力で押しつつ、二酸化炭素は地中に貯留するというCCUSが行われている。CCS・CCUSのどちらとも、大気中に排出される二酸化炭素を削減することができる技術である。
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2021年10月、経済産業省は「第6次エネルギー基本計画」を発表し、再生可能エネルギーの発電割合を2030年までに36~38%まで引き上げる考えを示した。一方、現時点での主力発電方法である火力発電は、現在の約75%から41%程度まで縮小する方針が打ち出されている。これらの方針は、2050年のカーボンニュートラル達成のための目標であることは言うまでもないだろう。
また、計画では温室効果ガス削減に向けたエネルギー政策のほか、今後の日本のエネルギー需要構造が抱える課題克服のためのエネルギーの安全性、安定供給の確保、コスト低減の取り組みを示すことが重要なテーマとして挙げられている。次世代エネルギーの導入で脱炭素化を進めると同時に、水素や燃料アンモニア、カーボンリサイクルなど、炭素の貯蔵や再利用を前提とした火力発電などのイノベーションを図ることが掲げられている。次世代エネルギーを主力電源化するためにも、複数の次世代エネルギーに対して社会実装化と開発を進め、安定的で安価なエネルギー源とする必要がある。
次世代エネルギーパークは、子どもから大人までさまざまな層の国民が、再生可能エネルギーを中心に、日本の抱えるエネルギー課題の理解を促進することで、エネルギー政策の推進への寄与を期待する施設のことである。再生可能エネルギーの開発や実装状況など、「今」を知り、体験することができる。2023年4月現在、全国66自治体において、次世代エネルギーパーク計画が認定されている。たとえば、千葉県次世代エネルギーパークでは、千葉県現代産業科学館やグリーンパワー富津太陽光発電所など、次世代エネルギーだけでなく、既存エネルギーを高度利用する仕組みについても学ぶことができる。
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次世代エネルギーの開発、導入はカーボンニュートラルを達成するためには喫緊の課題だ。化石燃料の代替として期待される水素のほか、さまざまな素材や環境、気候を活用したものが多い点も次世代エネルギーの特徴といえるだろう。世界規模での開発が進められているため、今後ますます目が離せない分野になるだろう。
参考記事
経済産業省 資源エネルギー庁「再生可能エネルギーとは」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/index.html
経済産業省「第6次エネルギー基本計画が閣議決定されました」
https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211022005/20211022005.html
経済産業省 資源エネルギー庁
「次世代エネルギーパーク 66Parks 全国ガイドブック2023」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/park/enepa2023.pdf