2024年以降の半導体市場の見通しは?需要や各国の動向について
製造業
昨今注目を集める「ダイバーシティ経営」は、競争優位性を獲得するために有利な経営戦略とされている。イノベーションを起こすためには、多様な人材が各々の能力を最大限発揮できる機会の提供が重要だとする考え方である。
この記事では、そもそも企業にとってなぜイノベーションが必要なのかを振り返りつつ、多様性とはどのようなことで、イノベーションを起こすためにはどのような多様性が必要なのかについて探る。
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『新規事業開発を加速させるR&Dチームのつくり⽅』
目次
イノベーションは企業にとってますます重要性が増している。ここでは、イノベーションの重要性の高まりの背景として、「技術進化のスピードの加速」「市場環境の変化の加速」「市場ニーズの多様化」について解説する。
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情報通信網の発達により、技術の伝達がこれまでにない早さで行われるようになったことに伴い、技術革新のスピードも一段と加速した。そのため、新しいものを開発したとしても、すぐに古い技術となってしまい、更なる競争激化を招いている。製品ライフサイクルが短期化し、長期間優位性を保つことが難しくなっているのだ。苦労して生み出された製品やサービスは瞬く間に模倣され、次に生み出されるもののヒントとして踏み台となる。つまり、継続的に新しいものを作り出すことができなければ、自社の競争力を向上させることどころか、維持することさえ困難となるのだ。技術進化のスピードに対応するためには、目先の新規性だけでなく、5年から10年といった中長期的なスパンで市場や商品・サービスを検討し、先を見据えた戦略を打ち出して行かなければならない。
日本経済の縮小が懸念されるなか、グローバル展開を視野に入れる企業が増えている。国内市場の優劣だけではなく、世界市場や海外企業との競争を前提とした商品・サービスの開発が求められるようになっている。このようなグローバル化や、先に述べた技術革新の加速などをはじめとした市場環境の急速な変化が起こっているのだ。こうした背景に伴い、企業の利害関係者であるステークホルダーの多様性も増し、これまでのやり方はますます通用しづらくなっている。今までの成功体験や手法に捉われず、新しいやり方や考え方などの積極的なイノベーションが求められている。
現代はモノがあふれ、物質的な不満がほぼ解消されており、必要最低限の生活を不自由なく過ごせる世の中である。それに伴い、人々の生活スタイルや行動様式が多様化し、それに伴い顧客が求めるものも複雑化している。単純な課題解決の手段から、デザイン性も含めて、それぞれ個々の好みやニッチなニーズに合ったものが求められるようになっているのだ。こうした背景から、企業はこれまで以上に顧客課題を解決しニーズを満たすようなイノベーションを、さまざまな視点や手段で導き出す必要がある。
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イノベーションを起こすためには、これまでのやり方だけでは難しい。では、どのような組織がイノベーションを起こせるのだろうか。ここでは、イノベーションが起こせる組織の特徴について解説する。
イノベーションを起こすためには、これまでにない早さで移り行く市場環境や顧客ニーズの変化に柔軟に対応し続けていく必要がある。そのためには、いま目の前で起きていることだけではなく、過去から現在までの変遷や、市場を取り巻く周辺環境、業界を越えてくるディスラプターの動向などにもアンテナを張り、変化の予兆をいち早く捉えていく必要があるといえるだろう。つまり、イノベーションが起こせる組織は、限定された範囲だけでなく、広い視野を持って状況を観察している組織なのだ。
市場や顧客ニーズの変化の兆しを捉えられたとしても、既存の価値観や発想によって判断していては意味がない。これまでのやり方や考え方に捉われない柔軟性の高い自由な発想によって、新しい価値が創造され、イノベーションが生まれていく。
ここでいう柔軟性とは、状況に合わせた臨機応変な対応ができること、ひとつの考えに固執せずに、多角的な視点で物事を思考できること、また予期せぬ事象やトラブルについても前向きに捉えることができ、失敗を許容した上でさらに前進できることなどを指す。これらの柔軟性があってこそ、仮説をもとに適切な軌道修正を行い、変化を機会へと変える力となるのだ。
変化の予兆から仮説を立て、課題の解決策を効率的に見つけるためには「仮説思考」のアプローチが有効。仮説思考のやり方から習慣化するポイントまでをこちらの記事にまとめたので、ぜひご覧いただきたい。
個人やメンバーが固定されたチームだけでは、いつかアイデアの創出に限界が来るだろう。よりインパクトのあるイノベーションを起こすためには、知の掛け合わせが有効な手段である。新たな知見や発想を得るためには、違った立場や視点からの意見をコミュニケーションによって獲得することが必要だ。そのためにも、社内・社外問わず、広い交流を持つことは重要である。活発なコミュニケーションが行われ、立場や役職に限らず発言しやすい環境である組織は、イノベーションが生まれやすいのだ。
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終身雇用や年功序列などの日本企業の旧来的な制度は、ピラミッド型の階層組織となり意見の交流の活性化を阻害しやすい。トップダウンが基本的な情報伝達スタイルとなってしまったため、ボトムアップの文化が育ちにくく、上司と同じ意見しか言えない、考え方が一辺倒な組織となってしまう。このような状態に陥ると、メンバーが一様に同質化し多様性がなくなり、社員個々人の個性を活かすことも、新たな発見をすることも難しくなるだけでなく、同じ視点に立ってしまうがゆえに、盲点が生まれていることにすら気が付きにくくなるのだ。
イノベーションを考える上で、多様な人材や考え方は欠かすことができない。人材活用の裾野を広げ、個人の能力の最大化を図ることが大切だ。それぞれの「違い」を活かした発想が、多様化した市場や顧客ニーズに適応したイノベーションの創出につながる。また、組織の多様性だけでなく、個々人でも多くの経験や知見を得て、それぞれの中にもさまざまな視点を持つことも大事なことである。
多様性は経営学において重要なテーマであり、40年以上に渡り研究されている。多様性には「人口統計学的な多様性」と「認知的な多様性」があり、イノベーションを目的とするならば、後者の認知的な多様性が特に重要である。
性別や国籍、年齢などといった目に見えるものや、変えにくい属性での多様性を指す。年齢や性別によって経験や嗜好などに違いがあるため、人口統計学的な多様性が高まれば、ある程度の多様性は増す。しかし、組織内で属性ごとにグループができやすい傾向があるため、知の掛け合わせという観点から見ると効果が高いとは言い難いだろう。また、人口統計学上での属性が異なっていたとしても、同じ大学、同じ学部で同じ専攻をして同じ教授から学んでいたとなれば、考え方に同質な偏りが出る可能性がある。このことからも、人口統計学的な多様性だけでは、イノベーションにつながるような多様な組織であると言えないことが分かるだろう。
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認知的な多様性は、イノベーションのための知の掛け合わせに欠かせない要素である。能力や経験、考え方における多様性を指し、個々の教育的バックグラウンドや、職歴などの経験、スキルの違いが基礎になっている。これらの考え方や経験などの違いによって、ひとつの物事に対しても多方面からのアプローチをかけることができるようになり、新しい課題解決の方法やアイデアが生まれやすくなるのである。
イノベーションを起こすことができる多様性を持った組織へと成長するためには、多様性を受容できる組織体制の構築、そして組織やチームを一層強化させるような情報の共有とコミュニケーションの活性化が必要である。
多様性を持つ組織とするには、多様性を備えた人材採用が必要であるが、それらの人材を受容できる組織体制が整っていなければ、人材を活かすどころか集めることすら難しいだろう。国籍や勤続年数などに関わらない人事処遇制度や、社員の職務やパフォーマンスに応じた公正かつ明確な評価制度の整備だけでなく、チーム内パフォーマンスを向上させるためにも、個々の社員に対し、期待する役割や達成目標を明確にして、その上で管理職の適切な指導、フォローを欠かさないことが大事である。
また、組織体制的な整備だけでなく、行動指針となる経営理念の明確化も重要だ。課題解決方法など、多くの議論をして考えをまとめていくなかで、考えの基礎となる経営理念が共有されていなければ、ブレや軋轢が生じて、人材の経験や知見を活かしきることができず、集合知の形成が困難となる。多様な考えを持つ社員をまとめるために、解決したい課題がなんであるのかという目標を明確に設定する必要があるのだ。
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多様な人材でチームを構成したとしても、自然にさまざまなアイデアが出てくるほどイノベーションは容易ではない。イノベーションを起こすためには、アイデアの種をさまざまな観点からブラッシュアップすることが大切であり、そのためにはコミュニケーションの活性化が必要不可欠だ。コミュニケーションスタイルの違いなどを受け入れ尊重し、さまざまな人の意見を反映し盲点を潰していくことが大切だ。年次や役職といった肩書きや、属性・所属に関わらず、個々の社員すべてが積極的に発言し、多様な意見が交わされるような場作りが肝である。
また、他者との共創関係を築き成功を収めるためには、自身の持つ情報や知識を惜しみなく他者へ共有することが秘訣である。個人の能力だけでは解決できない複雑な問題が増えている昨今においては、チームワークが重要な鍵を握る。結束力を高める場面において、他者へ与え、共有する行動が本領を発揮する。つまり、個々人が異なった価値観を持った上で相互交流することで情報や知識を共有し、刺激を与え合いながら新たな価値を生み出すことが、不確実性が高く複雑化した現代に革新的なイノベーションを起こし、これまでにないような課題解決の方法を導き出せるのだ。
イノベーションには多様性が重要だ。さまざまな切り口の考え方や視点、そして多様な人材の経験や知見が、顧客課題の解決やイノベーションの創出にとって大きな力になる。ただし、多様性といっても、ただ多様な人材登用をすればいいのではなく、情報共有やコミュニケーションの活性化によって異なる視点の意見が出やすい土壌作りを行い、組織全体の力でイノベーションの元となるアイデアをより強く育てていくことが重要なのである。
ひとりひとりがさまざまな情報に触れ、幅広い知識を得られることにより個人の多様性を伸ばし、ニュースを起点としたコミュニケーションから、組織、部門、役職を超えた意見交換を活性化させる。
単一化した組織とならない、多様性を活かしたイノベーションを生み出せるチームづくりのヒントはこちら↓