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【後編】起業家2人から学ぶ-アイディアを事業に昇華させる実践論

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経済や社会環境の不確実性が高まる中、新たな顧客体験や新規事業の創出への機運が高まりつつあり、新規事業部門への期待が大きくなっている。一方で、新規事業の基ととなるアイディアの創出やそのブラッシュアップに悩みを抱える新規事業担当者も多い。

株式会社ビザスクでは「知見と、挑戦をつなぐ」をミッションに掲げ、ナレッジプラットフォームを提供している。個人の知見を企業の様々なニーズにつなぐことで、実際に経験したことで得られた知識や意見の価値を最大化し、世界のイノベーションに貢献している。

今回は株式会社リクルートの元Ring事務局長の岩本氏をファシリテーターに迎え、株式会社ビザスクの代表取締役CEOの端羽氏とストックマーク株式会社の代表取締役CEOの林との対談の中で、自らの起業経験からアイディアをいかに事業に昇華させたのか、大企業の新規事業部門向けにサービスを提供する立場から垣間見える課題や推進のポイントについて伺った。

後編となる本記事では人材にフォーカスし、「新規事業を進める上で持つべきスタンス」「ビジネスサイドの人材のテクノロジーとの向き合い方」や「明日から出来る行動」についてお伝えします(前編はこちらから)。

※当記事は2021年2月9日に開催したオンラインセミナーの内容をもとに作成しています。

新規事業は未経験が強み。行動して原体験をアップデートする

――岩本:大企業の新規事業は人材育成に活用されるケースも多いですが、未経験者だとどうしても目の前のやらなければならない仕事で手一杯なってしまうという側面があります。みんなが新規事業未経験という前提に立った時に、アドバイスできるところはありますか。

林:新規事業未経験と言いつつ、実は社内にはノウハウがあるはずなんですよね。創業から何の改良もせずずっと同じ製品を作り続けている企業はないので、本来的にはノウハウはあるはずだと思っています。ただ、目的や原体験を作るという部分が欠けているのかなという気がしています。

本気になれないと事業ってうまくいかないんです。でも「本気になれる何か」を見つけるのが一番難しい。だからこそ自分の共感力を高めて面白いと思えるものを見つけ、常に自分の原体験をアップデートしていくことがすごく大事かなと思いますね。

端羽:新規事業未経験はプラスでしかないと思っています。「教えてください」と言えるのって最高じゃないですか。自分のハートをオープンにして、自分にとって初めての領域に取り組むので教えてください、めっちゃ学びます、すごい勉強します、という姿勢を見せると、力を貸してくれる人が出てきて、それが仲間集めに繋がります。

当社には6つのバリューがあるのですが、そのうちの一つが(学べない」「プライドはクソだ」というものです。謙虚に、「一生懸命学ぶから教えてください」という姿勢を持ち続けることが大切だと思っています。

――岩本:どうしても「知らないことは恥ずかしい」と思ってしまいますが、そこが逆の発想で良いと捉えるべき、という視点はすごく勇気付けられました。

林:実はエンジニアリングカルチャーから学ぶことが多いんですよ。エンジニアの世界は細かくスペシャリティが異なっていて、自分の出来る領域を広げていこうとしたら勉強したり周りの人やエンジニア用のプラットフォーム上で聞いて、情報共有しながらスキルを身につけていく。そういうカルチャーが出来上がってるんですね。

ビジネスサイドの方が遅れているので、みんなで分からないことをオープンにしながら進めていくというようなカルチャーが出来てくるといいなと思ってますね。

ビジネス人材のテクノロジーの向き合い方

――岩本:ビジネスサイドの方はテクノロジーを遠くに感じてしまっていることが多いと思いますが、巻き込み方や味方にする時のポイントはありますか。

林:越境人材を見つけるのが大きいと思いますね。私はビジネスサイドだけど、何となくテクノロジーを理解している。テクノロジーサイドもビジネスを理解しながら、その中間で交わっていくということが大切です。

当社の場合は共同創業者の有馬がもともと機械学習をやっていて、その後、システムインテグレーターに入社してお客様の商売を学びながら、並行してプロダクトの作り方を学んで来たので、非常に高いビジネス感覚がありました。私もテクノロジーが大好きなので学んでいく。恐れず、バリアを張らずに、テクノロジーで実現できることを学んでいけるといいかなと思ってますね。

端羽:私は共感とリスペクトが大切だと思っています。

自分に出来ないことが出来る人たちに対するリスペクトは常に持っているべきだと思うし、分からなかったり納得できなかったりすることは素直に聞くべきだし。逆に私がやっているビジネス領域に関しては、きちんと背景や目的など一生懸命説明する、お互い理解しリスペクトしようという意識で向き合えば上手くやれる。まさに越境ですよね。

実は私も最初はエンジニアと上手く向き合えず、どうやって話したらいいのかよく分からなかったんです。プログラミングに言語があることも知りませんでした(笑)。そこで、このままではいけない、勉強しようと思い、いくつかの本をジャケ買いしました。でもやっぱり上手くいかず、非エンジニアの起業家の先輩に相談したところ「ちゃんと分かろうとしてるってことを示したらどうかな」と言われて。

そのアドバイスを受けて、1日プログラミング学校に行ったり、Facebookにプログラミング関連書籍を投稿したりして「私も勉強中です」という姿勢を見せました。するとエンジニアが苦笑しながら、「あなたはプログラミングを学ばなくてもいい。ただ、自分たちに、あなたが変えようとしていることの大きさや意義を教えてほしい。お互い信頼しあえるように、僕にあなたを信頼させてほしい。」と言ったんです。それがあったから、今のリスペクトに繋がっていると思います。

林:当社も創業期は同じでした。当時、プロダクト仕様書を全部私が書いてたんですね。デザインを頑張ってパワポで作っていたのですが、有馬からは「よく分からない」と言われてしまいました。「これは何のプロダクトだ」と繰り返し問われることで鍛えられながら、プロダクトマネージャーを担っていました。そこから、売るのは私、作るのは有馬、という形での役割分担が出来てきたのですが、お互いの領域を身近で見ていたからこそ、非常にいい関係が出来上がったなと感じています。

新規事業へ挑戦される方へ向けて、明日からできる行動とは

――岩本:最後に新規事業に挑戦されている方に向けて、アドバイスをお願いします。

端羽:すごく大事なのは、大企業であろうとベンチャーであろうと「ゼロよりプラス」だと言うことです。否定されたくない気持ちってあると思うんですが、迷ってるぐらいなら一歩行動したほうがいい。新しいニュース読むのもいいし、社内の誰かと話をしてみる、社外の誰かと話をしてみるでもすごくいいと思っています。

迷ってる間はゼロでしかない。行動して失敗したとしても、人生の中では取り返しのつかないマイナスはそんなにないので。完璧じゃなくてもいい、100点じゃなくてもいいから、ゼロよりプラスになってみようと思ったら、最初の一歩ってすごく踏み出しやすくなるんです。そうすると、失敗しても「でもゼロよりプラスだったから」と思えるようになります。

また、誰でも得手不得手がありますが、『苦手なことを最低限のラインに持っていく』ことより『得意を伸ばす』に振り切った方が絶対に良いです。自分が苦手なことは「自分が素敵な人になったら誰かが助けてくれる」と信じて、得意なことを伸ばした方がいい。新規事業をやるのであれば尚更です。

林:私も、行動から入る、とにかくやってみることが大事だと思っています。新規事業を生み出したいと思い、どんなに成功事例や方法論を学んだところで一気に成功させられる訳がないんです。

だからまず出来ることをやる。例えばニュースを読んで、自分の会社の業界と、全く別の業界を繋げてみたらどうなるのか無理やり思考してみる。今まで話をしたことのない人と話してみて、あえて共感できるものを探してみる。

もっと形から入る例では、服装を変えるのも良いと思います。会社にスーツを着ていくのとTシャツを着ていくので、発想が変わったりするかもしれない。会社に2時間早く行ってみて、その間になにかをやってみるとか。

端羽さんが仰ったとおり、あえて「分からない」と言ってみる。そういう小さな一歩を踏み出すことで経験が蓄積されて、自分なりの原体験が出来ていくんだと思います。

アイディアを事業に昇華させる実践論とは

2人の起業家から強く感じたのは「想いの強さ」であり「行動力」だ。自らの原体験から生まれた想いを言語化し、強烈に信じた上でとにかく行動してみる。2人とも失敗を恐れず、動かないことこそを恐れている。今、新規事業に挑戦している方も改めて、自分が強烈に信じられる想いを見つめ、すぐにできる行動を変えていくことが必要なのではないだろうか───。