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競争優位性を確立する差異化戦略!差別化との違いとは?

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規模が拡大し、新陳代謝が活発な現在の市場において、自社製品の開発戦略はどのように組み立てるのが正解なのだろうか。製品開発の上で競合する製品と異なる強みを持つことは大前提であるが、どのような点で差をつけるかという視点が必要だ。市場における競争優位性を確立するためには、差異化戦略にも注目が集まりつつある。製品のライフサイクルの短期化が進む中、別軸の価値を持つことは模倣による同質化の恐れが減り、開発競争での疲弊を防ぐことにもつながるためだ。

しかし、「差異化」とは具体的にどのようなことなのだろうか。よく似ている「差別化」とはどのような違いがあるのだろうか。この記事では差別化・差異化の違い、なぜ差異化戦略が現代の製品開発において有効な手段なのか、またどのように差異化すべきかについて解説していく。

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 差別化とは

「差別化」とは、同じカテゴリーに分類される他社製品と比較し、大きな違いを作り出すことだ。言い換えると、優劣の差をつけることを言う。優劣の差をつけ、比較した際に競合より優ることで顧客の支持を得ようとする戦略だ。便利さ、機能性の高さ、価格など、さまざまなベクトルで行うことが可能である。たとえば調理用家電製品で考えると、競合製品より軽いことや、調理時間が短いことなどである。

差別化では他社製品との違いを明確にし、自社製品の優れている点を強調したプロモーションも重要となり、顧客のニーズにいかに合致しているかをアピールしていく必要がある。現代ではインターネットの普及に伴って、製品を選ぶ際にさまざまな製品を比較・検討するようになった。購買行動の変化により、顧客に対してより明確な優位点を打ち出せるかどうかが製品の生き残りに大きな影響を与えることになるだろう。

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 差別化のみでは立ち行かない現状

差別化戦略が重要である一方で、この戦略のみでは勝ち残れない市場傾向となりつつあることにも注意しなくてはならない。なぜなら差別化競争は同質化戦略によって激しい価格競争へと持ち込まれやすいからである。差をつけていたはずの優位な点が模倣され、同じような製品が市場にあふれることで価格で勝負せざるを得ないという流れが繰り返され続けるのだ。また、デジタル化の進展が目覚ましい現代において、サイクルの一周するスパンが短くなり、製品を生み出す側の企業にとっては厳しい状況となっている。

つまり、熾烈なレースから脱却を図るためには、差別化の視点だけでなく、模倣されにくい独自のビジネスモデルを確立することが求められているのだ。

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 差異化とは

差異化とは、比較して優劣をつけるのではなく、別軸の強みを作ることだ。競合する他社製品の向く方向性とは異なる戦略を取ることとも言える。

差別化は同じ軸で優劣をつけ、差異化は新しい軸を生み出すこと

差異化を行うことで競合製品との比較を回避し、顧客に別のものと認識してもらうことが重要である。たとえば、競合の多くが一般向けの製品を出す中でゲーム好きな層を狙った製品を打ち出すなど、競合とは別の顧客層をターゲットとすることも差異化のひとつだ。この場合、同じカテゴリの製品だったとしても、別の顧客層がターゲットとなるため比較対象で同じ土俵にあげられることは多くない。このように競合とは異なるブランドコンセプトの流れをとるのが差異化の戦略だ。

次に差異化に成功している実際の例をみてみよう。

 差異化の成功例

差異化の例として、MacとWindowsが分かりやすいだろう。Macは開発当初からデザインなどの点で差異化に成功している。見た目のデザイン性の高さやデザイン制作に関係するコンテンツの強さ、また開発ストーリーを打ち出すなどのプロモーション方法など独自性に長けており、Windows PCとは別軸のPCとして常に一定のシェア率がある。

また、高級車メーカーであるロールス・ロイスも他社との差異化に成功している。ロールス・ロイスは他社がこぞって開発している自動運転について、CEOが「トッププライオリティではない」とコメントを出している。なぜならばロールス・ロイスの顧客は運転手がいることが前提であるからだ。実際自動運転を開発すればターゲットの裾野は広がるかもしれないが、自動運転を後発で開発しても利益が少ないと見込んで勝てない勝負はしない戦略を取ったのだ。自社ブランドの強み、そしてターゲット層が明確であり、唯一無二の独自性を獲得している。

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 差異化を考えるための2つのポイント

差異を生み出すための切り口として以下の2点をご紹介しよう。
・製品の価値を支える技術力
・魅力的な顧客サービス

ポイントは、市場が認知する他社の製品・サービスの価値に対し、自社の製品・サービスの認知上の価値を増加させることにある。顧客の認知上の価値に着目し、顧客ニーズを捉え製品の価値と結び付けることが重要なのだ。

 製品の価値を支える技術力

まず、クオリティの高い製品を作ることが差異化するために重要なことは誰もが想像に容易いことである。また、他社に模倣されにくい特徴性や特異性を持つことだけでなく、高い品質を保持することも重要な差異化のポイントである。前段のMacの例からも分かるとおり、技術の高さが製品の価値を支えているのだ。高い機能性や品質を維持するための源泉は技術力であり、技術を守り強化していくことは製造業においてもっとも重要な課題であると言えるだろう。

技術力を起点とした差異化を目指すためには、自社のコア技術や周辺技術、さらに自社が保有するさまざまな技術を把握することが必要だ。技術の棚卸が重要な位置付けとなっているのは、自社アセットを最大限に活用するためなのだ。また、顧客ニーズの移り変わりが早く、市場環境が不安定な今の世の中において、現在のコア技術のみならず企業の将来を担うような次世代のコア技術の創出も必要不可欠なミッションとなるだろう。

 魅力的な顧客サービス

現代の市場では、高い技術力の結晶として魅力的な製品を開発するだけで差異化を行っていくことが難しくなりつつある。近年の製造業においても製品を販売して終わりとするのではなく、顧客との間で良好な関係を築き継続的に関わりを持つリカーリングビジネスやサブスクリプション事業が広く浸透し始めている。またその広がりに伴って、製品・サービスを利用することで顧客の成功や成長に導くといったカスタマーサクセスの考え方も重視されつつある。この魅力的な顧客サービスの提供も差異化を考える上で重要な視点となる。

その例として、ソニーの「PlayStation  Plus」がある。ソニーのゲーム部門は、2018年度にソニーの全部門の中で最高益の営業利益を出しておりソニーの稼ぎ頭である。その主たる勝因は優れたハード機やゲームソフトの売上でもなく、「PlayStation  Plus」という継続的な会費収入なのだ。「PlayStation  Plus」は、プレイステーションでオンライン対戦などのサービスを利用するために加入する必要があるのだが、2021年6月末時点で全世界に4,630万人おり、付加価値をサブスクリプションによって提供する成功事例と言える。

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 差異化となる独自の強みを見つけるには

独自の強みを見つけ差異化を生み出すためには、以下を知ることが重要だと考えられる。
・市場や顧客
・競合他社
・自社環境

 市場や顧客

まず、製品を出す市場を知ることが重要だ。どのような環境で戦っていくのかを把握する必要があり、急激に変化する市場環境をいかに迅速かつ的確に捉えられるかが課題となる。また、ターゲットとなる顧客層の課題がどこにあるのかや、その顧客に選び続けられる製品とはどういうものなのかなどの顧客理解を深めることは、製品化や事業化につながる研究開発や、顧客との長い関係性を築く上で欠かせないことである。

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 競合他社

競合他社の調査は従来から重要とされ言うまでもないことだ。他社の強みや製品、技術など比較対象を知ることは基本であろう。しかし、技術の発展が広く行き渡り、デジタルの進歩の恩恵を受ける現代において、競争相手となるのは自業界の企業のみならず、他業界の企業や全く予想していなかった企業となることも考えられる。つまり、これからは業界を越境した競合調査ができているかも重要なポイントとなる。

 自社環境

自社分析においては、前述したような武器となるコア技術を把握することも重要なことなのだが、他にも自社の目指すビジョンや、現在の事業の置かれている立場や、製品の現状なども押さえておきたいところである。また、自社のコア技術や市場における立ち位置・状況などは、取り巻く環境や市場の動向に伴って変わっていくことが考えられるため、定期的に情報を更新していくことが好ましい。

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 過酷な市場競争を勝ち抜くために必要なこと

差異化戦略を取るには、自社のみならず他社の製品や技術に対する客観的な視点と知識が必要である。また、研究開発部門にもこれまで以上の事業貢献が求められる傾向であることから、ターゲットとする顧客のニーズと合致した研究開発を目指すこととなり、より一層市場や顧客に対する理解を深めなければならないだろう。つまり、技術の探求のみならず、ビジネス視点やマーケティングの視点を持つことが必要になると考えられる。

また、昨今の開発スピードは、さらなるデジタル化の発展によりますます加速していくことが予測できる。なおかつ、ワールドワイドな流通網が発達していく中で、今後さらに似たような製品が市場にあふれ競争が激化するだろうことも想像に難くない。そのような今日の市場動勢で勝ち残るためには、業界を越えた多岐に渡る情報収集と集めた情報の分析によって、市場環境を構造的に捉えることの重要性が増している。いかにタイムリーで適切な情報を集め、効率的に活用できるかが製品開発の成功と失敗の岐路となるのだ。

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