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社内でDXを浸透するために経営者が担う役割とすべきこと

DXのパズルピースを見る2人の男性

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が浸透し始めてはや数年。その必要性について語られているものの、まだまだ日本では進んでいると言えないのが現状である。

ここでは、日本企業のDXが進まない要因や、DXを進めるために経営者がどのような役割を担う必要があるのかなどを解説する。DXを検討している経営層はもちろん、なかなか進まず悩まれている担当者にも、取り組みのヒントになるはずだ。ぜひ最後まで目を通していただきたい。

 何故日本は思うようにDXが進まないのか?

経済産業省が日本のDXを進めようと旗を振り、レポートなどを発表をするものの、理想と現実はまだ遠く離れている。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が2021年10月に発行した「DX白書2021」には、日米でのDX推進状況に大きく差が出ているとしている。また、業種ごとのDX取り組み状況における製造業では、日本企業の取り組みが58.9%であるのに対して、米国では78.5%と、ここでも差が大きく開いていることについて言及されている。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX白書2021」
https://www.ipa.go.jp/files/000093699.pdf

2020年から蔓延し続けている新型コロナウイルスの影響により、我々の暮らしは大きな転換を求められた。デジタル化がかつてない早さで進み、DXに取り組むには絶好なタイミングと言っても過言ではない。しかし日本の企業の大半がDXに遅れを取っているのはなぜだろうか。

まず、DXに対する理解が足りていないことがあげられる。そもそもDXについて、経済産業省は「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」にて、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。つまり、ビジネスモデルの変革など全社的な取り組みの必要性があるにも関わらず、単なる部分的な業務効率化や、デジタルツールによるコスト削減などを重視してしまっている経営者も多い。元来の目的を達成するためには、まず役員や上層部といった指揮する者が「DXとは何か?」を理解していなければならない。

また、DXには柔軟なスタンスが欠かせない。これまで収益を上げていたモデルへのしがみつきは、DXを阻害する要因になりかねない。時にはあえてリスクをとることや、意思決定を迅速に行うことなど、多種多様な価値観を受容することが必要不可欠である。まずは会社で決裁権を持つ者が率先してリードしていかなければ、いつまで経ってもDXへの理解は表層的な段階から脱しないだろう。

 国が発信している「DX推進ガイドライン」とは?

「DX推進ガイドライン」とは、経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」を基に、DXの実現のために経営者が押さえるべき事項を示したものだ。大きく分けて「DX 推進のための経営のあり方、仕組み」と「DX を実現する上で基盤となる IT システムの構築」の2構成となっている。その内容について簡単に解説する。

 DX推進のための経営のあり方と仕組み

この項目で示されているのは、経営戦略やビジョンを明確にすることなど、経営層のDXに対する強い意思を示すことと、DX推進のための組織体制の整備についてだ。

特に重要なのが、経営戦略の設定や経営層のコミットメントだ。経営戦略が曖昧なまま進めても、やがて組織が疲弊して衰退していくのは想像に難くない。また、経営者が明確なビジョンもなくDX推進を現場の人間に丸投げするやり方は失敗の要因である。大切なのは、デジタルディスラプションの起こりを想定し、どの事業分野でどのような新たな価値を生み出すことを目標とするのかを定め、その目標達成のための戦略をどのように取っていくのかを提示できるかだと述べている。

また、DX推進のためには、組織のあり方や体制、企業文化や風土などの変革が求められるため、トップが変革を行っていくという意思を強く持つことが必要だとしている。多くの変革は必ずと言っていいほど痛みを伴う。DXの過程で反対意見が出ることも想定しておかなければならない。経営者は毅然とした態度と高い熱量で、なぜDXが必要なのかを伝えられなければならない。

これら経営トップの強い意思決定のもと、DXを実現させるための各事業部門の整備、適切な人材配置や確保、投資の采配など、組織全体の体制を整備することについて言及されている。

 DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築

日本の企業のITシステム構築によく見られるのが、事業部門ごとに最適化され、複雑かつブラックボックス化しているパターンだ。DXを円滑に進めるためには全社を横断し連携できる仕組みづくりが必要で、ベンダーに全てを任せるのではなく、ユーザー企業自らがシステム連携基盤の企画や、要件の定義付けを行う必要がある。

また、既存のITシステムも経営環境の変化に合わせ、費用対効果を考慮した上で、廃棄などの対応を行い、新規ITシステムの導入には刷新することが目的とならないように注意する必要がある。新しいITシステムが完成したかではなく、ビジネスモデルの変化に迅速に対応できるかということと、ビジネスで成功に繋がっているかということで評価することも大切だとしている。

 DXを成功に導く経営が果たす役割とは?

「DX推進ガイドライン」でも言及される通り、DX成功のためには経営層が果たすべき役割は大きい。ここでは、経営者がすべきことととして2つのポイントをお伝えする。

 DX推進に必要な立ち回り

これまでお伝えした通り、経営層のDXに対する思いの強さやコミットすること、経営戦略やビジョンを明確にすることの大切さはお分かりいただけたかと思う。さらに経営層として求められる役割として以下のポイントがあげられる。

・変わることを受け入れる
同じことを繰り返していても新しいものは生まれない。新しい価値を創出するためには、慣行に囚われず、異質な考え方や方法を積極的に取り入れ、経営者自らが殻を打ち破っていく姿勢が必要だ。

・組織の自立性や自発性を育てる
経営層がDX推進を牽引することも大切だが、全てを経営層が握っていては組織は育たない。ときには権限を渡して、任せてみることも必要だ。組織に属する個々がそれぞれDXの必要性を感じ、自発的に考え行動することが、変革し続けられる組織へと成長できるのだ。

・新しい挑戦をする者の評価を変える
DXや新規事業など新しいことに挑戦する部門のメンバーの多くが感じるのが『不適切な評価制度』だ。新しい挑戦には既存事業のような積み上げてきた価値や顧客、実績は存在しない。新たにそれらを創ることが仕事だ。だからこそ、経営層は挑戦する者を、既存事業とは異なる指標で評価することが重要になる。

・共創を意識した取り組みを行う
これまでは限定されたマーケットで同業者同士の競争を行ってきた。しかし、これからは自社のコア技術を洗い直し、不足する部分は他社と連携を組むことも必要となる。そのためには、常に変動する顧客ニーズや市場、競合や他業種の動向などを迅速にキャッチできるようにしておくべきだ。

 経営層と現場のギャップを埋める!同じ目線を作るために必要なこと

​DX阻害要因のひとつとして、経営層と現場の溝があげられる。特に大企業では一人ひとりの業務が細分化されているため、その溝が大きくなりやすい。経営層が策定した経営戦略や掲げたビジョンが、なかなか自らの仕事に結び付きにくいためためだ。また、経営者側からすれば、必要な改革であったとしても、現場にとって慣れない業務への変更は大きなストレスとなり改革が受け入れられなくなる。このようにDXが根付かない企業ほど、経営者と現場にギャップがあることに気付いていない。

経営層と現場の溝を埋めるためには、先にあげた経営層側の役割を遂行することがポイントであることに変わりはないが、さらに両者の歩み寄りを進めるためにはコミュニケーションの密度を高めることが重要である。また、現場の社員のDXに対する理解を深めるためには、経営層と同様に顧客や市場、競合、社会の動向などのさまざまな情報に触れ、自社の置かれる状況を把握し、しっかり自分ごととして捉えることが大切である。つまり、経営層やマネジメント層、現場の社員が方向性をしっかり合わせ、目線を揃える必要があるのだ。
さらに、変革を生み出し続ける組織となるためには、縦だけではなく横の繋がりも強化すべきである。そうすることで部門を飛び越えた連携により、今まででは考えられなかったアイディアを生み出し、組織文化や風土を変えていくきっかけとなるだろう。

 まとめ

DXを実現する上で経営陣が果たす役割は重要である。まずはDXへの理解を深め、戦略として取り入れ、ビジョンを明確にする。
その上で、
・今までのやり方に囚われず新しいものを受け入れる姿勢
・全てをコントロール下に置くのではなく、権限を委譲して任せてみる
・渡しっぱなしにせずに、後ろ盾となりDXが円滑に進むように支援・適切な評価を続ける
・さまざまな情報を得て広い視野を持ち、他社と協力していくことも検討するなどのポイントがある。これは経営層に限らず、マネジメント層やリードする立場にある者にも同じことが言える。
また、経営層と現場のギャップができないように、コミュニケーションをしっかり取れる体制づくりと、社員一人ひとりが自分ごととして捉えられるように、各メンバーが多くの情報に触れ感度を高められるようにすることも大切だ。

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