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日本の製造業の課題や問題点|現状の動向と、今後生き残るための対策とは

日本の製造業の課題や問題点|現状の動向と、今後生き残るための対策とは

少子高齢化による労働人口の減少、パンデミックの発生、社会情勢の悪化など、さまざまな要因が渦巻く中で「ものづくり大国」日本の製造業はどのような状況下にあるのだろうか。今回は日本の製造業の現状や、今後変化していく環境にどのような課題が発生し、どのような取り組みが必要になるのかを解説していく。

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 日本における製造業の重要性

まず、日本の中で製造業はどのようなポジションにあるのだろうか。2019年の内閣府国民経済計算(GDP統計)によれば、製造業は、GDP・就労人口ともに2割程度を占めており、重要な基幹産業であるといえる。

日本のGDPの成長率は、高度経済成長期から少しずつ低下していると言われているものの、2023年1月時点で、未だ世界3位の規模だ。

また、製造業の平均賃金水準は全産業の中でも高く、雇用規模が非常に大きい。中でも、輸送用機械、化学、電気機械、生産用等機械、情報通信機械、一次金属は賃金水準が高く、かつ雇用規模が大きいことが見てとれる。

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 日本の製造業の現状と、変わりゆく環境

日本といえば、その優れた製造技術によって信頼性の高い製品を生み出し、世界各国から「ものづくり大国」とまで言われた国である。しかし、日本をものづくり大国たらしめた現場力は、今やデジタルの力に追い越されつつあり、製造業の現状はさまざまな課題に直面している。社会情勢や製造業のビジネスモデルの変化、カーボンニュートラルへの対応などの影響を受けた日本の製造業の現状を解説する。

 社会情勢の変化

製造業に影響を及ぼす不確実性の要因とは、非連続的な技術革新はもちろん、新型コロナウイルスなどを含めた疫病や災害、気候変動、米中貿易摩擦やウクライナ紛争などの国際情勢まで、多種多様だ。

2020年版のものづくり白書で指摘されるように、今までは部分的な問題へ対処しておけばよかったのだが、世界規模で同時多発的に不確実性の高い事象が発生すると、問題は複雑に絡み合い、より混迷を極めてしまう。例えば、新型コロナウイルスやウクライナ紛争など複合的な要因によって、原材料やエネルギーコストは世界的に高騰し続けている。さらに、日本では円安の影響を受けて、輸入品の価格も高騰している状況だ。

このように、絶え間なく押し寄せる変化が未来の見通しを悪くし、従来のビジネスモデルだけでは通用しない世の中へと変化してきている。包括的にサプライチェーンのあるべき姿を再定義したり、技術を守りながらもグローバルにビジネスを展開したりすることも同時に必要になるだろう。

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 製造業のビジネスモデルの変化

かつて、日本は10兆円を超える貿易黒字が続いていた貿易立国だった。しかし、2022年は、1996年以降で過去最大の貿易赤字15.7兆円を記録。製造業を問わず、日系企業の海外進出は右肩上がりで増加しており、海外からの投資収益が経営利益の約半分という状況になっている。

これは、国内市場の成熟化や縮小と、新興国市場の成長の双方に伴う圧力による必然的な帰結である。今後、日本国内で生産基盤を維持するには、国内市場の大きさが必要となる。海外市場を狙いながら国内に生産基盤を持つことは、ビジネスの観点から合理的ではない場合が多く、差別化が難しいコモディティ化された製品であるほどその傾向がある。

 カーボンニュートラルへの対応

カーボンニュートラルとは、CO2の排出量と吸収量を均衡させ、実質ゼロにする施策のことを指す。パリ協定では、産業革命以前と比べて、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える努力をする目標が掲げられている。

これを実現するためには、世界全体のCO2排出量を2030年までに2013年比で46%削減、2050年までに実質ゼロにしなければならないとしている。この流れもあって、2021年11月時点で、日本を含む144カ国が、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明した。

特に、製造業はCO2との関わりが深い。2020年度に環境省が発表した温室効果ガス排出量の調査結果によれば、製造業(産業部門)のCO2排出量は、全体の約24%(電気・熱配分前)と高い数値にある。

今後は、エネルギーの採掘、製造、使用、廃棄、リサイクルなど、一連のサイクルにおけるエネルギー効率の向上や廃棄物の削減など、より一層、環境負荷を軽減する取り組みが求められるだろう。

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 製造業の課題や問題点とは何か?

では、日本の製造業が直面する課題とは何であろうか。ここでは4つの問題点を挙げる。

 製品化・事業化率

日本における研究開発費は年々増加傾向にある一方で、それに見合った成果が出せていないという認識を持つ経営層が増えている。その表れとして、経営層が認識する研究開発部門の重要課題として、「経営戦略・事業戦略との一貫性ある研究・開発テーマの設定」や「研究・開発成果の製品化・事業化率の向上」が上位となっている。つまりこれまで以上に、自社が持つ技術などの強みを活かして、収益化につながるような価値に転換していくことが課題となっている。

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 長期化しやすい開発期間

前段で確認したように、製造業を取り巻く環境は、労働人口の減少など国内の問題だけでなく、社会情勢や環境問題などの世界的な影響を受け急速に変化している。また、顧客ニーズの多様化と技術革新のスピードの加速で、製品ライフサイクルが短期化し、市場競争は激化の傾向が強くなっている。アイデアの創出から製品化までの開発期間が通常3〜5年と長い製造業では、アイデア創出や研究開発の段階で市場や顧客の課題や価値が見えにくいことに課題がある。

 後れを取るDX(デジタルトランスフォーメーション)

デジタル化の波が製造業にも押し寄せ、マテリアルズインフォマティクスやデジタルツインの導入が前提となりつつあり、近頃では生成AIの活用も急速に広がっている。企業の競争力強化のためには、もはやDXは欠かせない取り組みである。

しかし、材料開発や製品の生産にかかる時間が大幅に短縮される一方で、アイデア創出や意思決定などに大きな影響を与える情報収集プロセスは未だ個人のスキルに委ねられ、デジタル化が上手く進んでいないのが現状だ。製造業が成長を続けるには、研究開発・製造プロセスを加速させるための最新情報や技術を常にインプットしつづける必要があるだけに、この部分のデジタル化の遅延は大きな課題といえる。

 後継者不足・技術継承の遅れ

人材不足によって連鎖的に問題となるのが「後継者不足」と、それに伴う「技術継承」の課題であろう。新しい人材が不足することで教育や技術継承が滞ってしまえば、今いる人材が失われた時に生じる損失は計り知れないものになる。

これはITの分野においても大きな問題であり、社内のプログラムを作った人材が退職したが、後継者が存在しないためプログラムを改善する事も、問題が発生した場合の解決方法もわからないという事態になり得る。

製造業も同じで、後継者不足によって技術継承が滞った結果、生産効率が低下したり、新しく開発する事が難しくなったりなど、さまざまな問題に直結する。

対処法・解決策は、技術継承の難易度を下げ簡略化することだ。今までベテランの経験や勘などの現場力に頼ってきたプロセスやノウハウなどを、データで読み解き再現できるようにすることで、技術継承がスムーズに行えるだけでなく、ノウハウの共有によって全体的な効率化にも繋げることができるだろう。

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 製造業の今後のあり方とは?着手すべき対策【次なる事業に向けて】

変わりゆく時代において、製造業ではこれまで行ってきたような先進的で優れた技術の追求や、要求スペックの解決、特許・論文の取得だけでは不十分であり、今後は技術を効率的に価値に変換していくことが焦点となっている。ここでは、変化する社会や、顧客ニーズに合わせた製品をつくり続けるためのポイントを解説する。

 顧客価値と結びつけた製品・事業開発

どんなに優れた技術を使って開発した製品や事業だとしても、顧客に受け入れられなければ利益を生むことは難しい。事業化や収益化につながる製品や事業の開発には、顧客が何を求めているのか、何に価値を感じるのかという顧客価値を知る必要がある。また、開発プロセスを効率化し短縮していくためには、開発プロセスの初期段階である研究開発フェーズから市場を意識したアプローチが重要となる。つまり研究者や技術者も、研究や技術に注力するだけでなく、担当する研究や技術がどのように顧客や社会に役立つのかということを、今まで以上に意識した取り組みを行わなければならない。

 プロセスを効率化し競争力を強化する

顧客ニーズの多様化、社会情勢の急激な変化、カーボンニュートラル社会への転換が起こるなか、その変化に対応し製品や事業へ結びつけていくために必要なものは「情報」である。また、海外市場の重要性の増加や業界外からのディスラプター出現の脅威が増している今、見るべき情報の幅はさらに広がっている。情報視野の広さは破壊的技術やイノベーションを生み出し競争力の強化につながる。とはいえ、現代のようなさまざまな情報が瞬時に蓄積され、情報があふれている超情報化社会においては、適切な情報を適切なタイミングで捉えることは至難の業である。この情報収集プロセスを効率化し、いかに限られた時間で業務課題を解決するインプットができるかが競争力強化のための重要なカギとなる。

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 まとめ

取り巻く環境が劇的に変化し、まさに変革の最中である製造業。従来の方法論や価値がすぐに陳腐化してしまう厳しい状況下で、企業が存続と成長を続けるためには、自社の技術を顧客価値に転換し、競争力の強化を行う必要がある。社会や市場、顧客が発する変化の小さな兆しを的確に捉え、ビジネスチャンスへと転換していくためには、これまで以上に見る情報の質を高め、幅を広げることが重要である。

しかし、日々の業務に追われ、次の一手を見つけるための情報収集に時間が取れないとお困りの方も多いだろう。情報精査にかかる時間や必要情報の収集漏れ、収集した情報や情報収集スキルの属人化など、これまでの直面してきた情報収集の課題を、製造業の情報収集に特化したAIの力を借りて解決することを検討されてみてはいかがだろうか。

参考資料
経済産業省製造産業局「製造業を巡る動向と今後の課題」
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/009_02_00.pdf
製造産業局「製造業を巡る現状と課題 今後の政策の方向性」
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/014_04_00.pdf
環境省「2020年度温室効果ガス排出量(確報値)概要」
https://www.env.go.jp/content/900518857.pdf