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脱炭素社会の実現に欠かせないものとして、世界的に電気自動車の普及が進んでいる。2022年度の調査によれば、日本におけるCO2排出量のうち、運輸部門が占める割合は18.5%(1億9,180万トン)で産業部門に続き2位だ。従来のガソリン車から電気自動車へ転換することで生じるインパクトは大きいといっても過言ではないだろう。近年は、HEV(ハイブリッド車)だけでなく、PHEV(プラグインハイブリッド車)やFCEV(燃料電池車)など、多様化しつつある。本記事では、電気自動車の種類とそれぞれの仕組みや構造について解説したい。
EVに革命を起こすと期待されている「全固体電池」を分かりやすく解説!
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目次
電気自動車とは、電気をエネルギー源として動く自動車のことを指す。英語ではElectric Vehicleとよび、近年はEVと呼ばれることも多い。また、HEV(ハイブリッド車)やFCEV(燃料電池車)など電気自動車の種類が多くなったことから、諸外国では電動車(xEV)という総称が用いられつつある。
CEVは、Clean Energy Vehicleの略で日本ではクリーンエネルギー自動車のことをいう。従来のガソリン車などに比べてCO2の排出量が少ない自動車全般を指している。そのため、電気自動車だけでなくクリーンディーゼル自動車(CDV)も含む。
一方、ZEVはZero Emission Vehicleの略で、CO2や窒素酸化物(NOx)など有害なガスを一切排出しない電気自動車や燃料電池車の総称を指す。
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電気自動車(EV)の種類は、HEV(ハイブリッド車)、BEV(バッテリー式電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池車)の4つに大別される。
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HEVとはHybrid Electric Vehicleの略で、ハイブリッドという字面のごとく「ガソリン」と「電気」2つの動力を備えている自動車だ。さらにHEVは小型で出力の低いモーターでエンジンをアシストする「マイルドハイブリッド」と、電力だけで走行できる「ストロングハイブリッド」の2種類に分かれている。
マイルドハイブリッドとは、エンジン走行をベースに、発進時や加速時などには補助的にモーターが動くことで燃費効率を向上させる仕組みだ。ハイブリッドは制御方法を3つの方式に分けることができるが、マイルドハイブリッドはこの3つのうち一番単純な構造である「パラレル方式」である。
ストロングハイブリッドには、「シリーズ方式」と「スプリット方式」の2種類がある。シリーズ方式では、エンジンはバッテリーへの蓄電のみに用いて走行はモーターで制御する。
スプリット方式は、文字通り走行状態に合わせてエンジンとモータを使い分ける。たとえば、大きなエネルギーが必要となる発進時や加速時などにモーターも稼働させることで、コストや燃費を抑えることが可能となる。
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BEVとはBattery Electric Vehicleの略で、ガソリンを一切使用せずに搭載されたバッテリーを使って走る車のことをいう。一般的にEVはこのBEVを指すことが多い。「日産リーフ」や、「LEXUS UX」、「テスラ Model3」などが挙げられる。環境にやさしい電動車のひとつだが、1回の充電で走行できる距離の短さや、充電設備が普及していない点において課題がある。
PHEVとはPlug-in Hybrid Electric Vehicleの略。HEVと同様にガソリンと電気を併用できるが、最も大きな違いは外部電源からの充電が可能な点だ。
電気を基本の動力源として走行し、バッテリー残量が少なくなったらガソリン走行に切り替えることができる。まさに、HEVとBEVの良いところをひとつにまとめたEVといえるだろう。
EREVはExtended Range Electric Vehicleの略で、モーター走行の航続距離を延ばすために作られたPHEVだ。BEVでは、バッテリーの残量がなくなると走行ができなくなり、充電をしなければいけない。しかし、EREVはバッテリーの残量が低下すると、搭載された発電機が作動しバッテリーに電気を補給する。
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FCEVとはFuel Cell Electric Vehicleの略で、タンクに貯蔵された水素と空気中の酸素を化学反応させ、電気を作り出しモーターを駆動させる車のことを指す。トヨタの「MIRAI」や、ホンダの「CR-V e:FCEV」などが代表的だ。なお、ここでいう燃料電池とは蓄電池ではなく、水素(H2)と酸素(O2)を化学反応させて直接電気を発生させる装置にあたる。走行中には、水(H2O)が排出されるだけでCO2などは発生しないため、エコな自動車として注目されている。
似たものに水素エンジン車があるが、こちらはガソリンの代わりに水素を燃焼させて走行する仕組みをもつ。FCEVと同じく走行時にはCO2を排出しない。
BEVやPHEVなどと比べると充填時間は短く、車種によってはわずか数分で完了する。しかしながら、エネルギー補給場所となる専用の水素ステーションは2023年12月時点で161ヶ所のみで、他のEVと比べると実用性にやや劣る。
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CO2排出量のうち、20%弱を占める運輸部門で電気自動車への転換が進めば、間違いなく日本全体のCO2排出量に好影響を及ぼすことは間違いない。しかし、EV充電スタンドや水素ステーションといったインフラも合わせて整備・拡充していく必要があり、即座に進められない点があるのもまた現実だ。ただ、政府は2035年までに販売する乗用車の100%を電動車にすると宣言しており、法規制などによって包括的に推進されていくものと思われる。今後の動向に注目したい。