日本や世界の半導体メーカー・会社・企業【分野別で紹介】
製造業
新型コロナウィルスが世界中で猛威を奮っているいま、各国がウィルスと共生する新たな道を歩もうとしている。日本企業も同様に、パンデミックを引き起こしている新型コロナウィルスと向きあうべく、これまでの働き方やビジネスの在り方などを見直し始めている。
一方で日本において注意しなければいけないのは、新型コロナウィルスは健康被害や経済への打撃を与えただけではなく、これまで閉ざされていた日本社会における歪みをあぶり出す結果となったことだ。日本が世界を牽引する国として生まれ変わるためには、これまで築いてきた社会構造や企業の組織構造を見つめ直し、根本的な改善を行い、生まれ変わらなければならない。
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高度経済成長期から40年以上に渡りヒトや現場主義の「労働集約型の経営」で成功を収めてきた日本企業は、IT投資によってデジタルの力でビジネスを走らせることを過小評価してしまった。
日米の生産性を比較してみると、日本は1991年まで製造業、非製造業とも米国を同水準を維持していたが、それ以降は引き離された。背景にはデジタルの力があると考えられる。
しかし日本だけが世界の経済成長から取り残されている要因としては、かつての「ヒトや現場主義」の成功体験が大きく、「デジタル化」することのインパクトの大きさを過小評価することになり、結果としてデジタル・トランスフォーメーションに乗り遅れたと考えられる。
この一連の遅れは、1995年以降、日米の産業構造の大きな違いとして現れる。ハーバード大学グロースラボが作成している経済の複雑性のデータによれば、日米の輸出項目のデータを見る通り、アメリカはサービス(IT産業含む)の輸出項目が増大しているにも関わらず、日本の産業構造はほとんど変わっていないことがわかる。
アメリカは2008年以降、Google、Amazon, Facebook, Appleなどの飛躍的な伸びと共に、リーマンショックなどを乗り越えて成長し続けている。一方で日本はこれまでの成功体験を抜け出せずデジタル化による構造変革ができていない。
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日本のデジタル化の遅れについてIT産業の構造からも紐解いていく。ソフトウェア投資におけるパッケージソフトウェアと委託開発ソフトウェアの比率を見ると、日本のITの使われ方や質に課題があることが見える。日本のユーザ企業は、受託開発に相対的に多くの費用を投じ、パッケージソフトへの支出は少ない。
つまり日本では、ユーザ企業が外部に委託して独自仕様を盛り込んだソフトウェアを作成し、パッケージソフトの活用が進んでいないことがわかる。これはソフトウェア産業における多重下請け構造が原因となっており、この構造がいわゆる日本のITガラパゴスと言われている。
日本では、ITエンジニアの70%がITベンダーに所属しており、その多くはシステムインテグレーター(SIer)または、開発業務を引き受けるソフトウェア会社などに所属している。これに対し米国はITエンジニアの70%がユーザー企業に所属している。
結果として日本の情報システム部門の多くが、少ない人数と技術力不足によって、ITベンダーへの要件の整理と発注業務を担うだけの限定的な役割となり、実質的にITベンダーにほぼ丸投げ状態になっているのが実状である。
有力なSIer企業と協力し、丸投げに近い形でリスクを分け合う体制の中でのウォーターフォール型の開発は非常に生産性が低く、IT業界において世界市場で成功する「ソフトウエアをコアとしたサービス」を生み出すことを不可能とした。
そして現在、5GやIoT、MaaSといった新たなテクノロジーの発達により、日本企業が死守してきた製造業の分野においてもデジタルの力による変革を行わなければ淘汰される時代となった。
ITは従来の業務効率を高めてコストを削減するものから、事業を創造する材料(事業を推進して売り上げを伸ばすもの)に変化している時代において、ITガラパゴス構造は大きな課題である。
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より多くの企業が「DX」すなわちデジタル変革が求められる時代となった。これまでの「守りのIT」から「攻めのIT」へとシフトし、デジタルの力を活かす組織へ進化しなければならない。特に「イノベーション」の世界では、「要件すら見えていない」ものであり、作り上げるべきなのは、まだ世の中にない、ニーズが検証されていない新サービスである。この分野ではリーンスタートアップ型の企画と開発が一体となって考え、試行することが必要とされる。
イノベーション文化を醸成するには、企画・開発が一体化した組織のあり方、現代のソフトウエア文化を支えるスクラム開発やアジャイル開発を理解する必要がある。
イノベーションは「内的モチベーション」から発生する。「世界を変えたい」と思っている人たちに権限と裁量を与えるのが一番であり、そういった組織や人材を育てていくことが重要である。
DX推進やR&Dなどのリスク許容度の高いイノベーションを担う部署を中心に、既存事業部署との関係を強く持ちながら進めることが重要である。むしろ、企業の強みを生かす意味でもやるべきであり、既存事業はその企業の強みが存在している場所でもある。全社員が自律的に考え、開発と企画の一体となった組織横断でサービスをつくり、新しいユーザー体験づくりや、データ分析も含めて一体化させ、意思決定を素早く細かく行えるような、イノベーションが生まれる組織づくりが必要である。
デジタルテクノロジーが業界の壁を破壊し、外的環境の変化やビジネススピードが加速した今、改めて日本を見直したとき、世代を超えて自律化しイノベーターになるべき時代になった。昔の慣習を見直し、成功体質を醸成する必要がある────。