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二次電池のひとつ「リチウムイオン電池」の仕組み|寿命や安全性をわかりやすく解説

二次電池の1つ「リチウムイオン電池」の仕組み|寿命や安全性をわかりやすく解説

スマートフォンやパソコン、車載用のバッテリーなどに使用されているリチウムイオン電池。今ではよく耳にする言葉だが、目覚まし時計や懐中電灯などに入れる使い捨ての乾電池とは何が違うのか。本記事では、リチウムイオン電池の仕組みや種類、特徴や安全性について解説していく。

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 リチウムイオン電池とは?

リチウムイオン電池とは、電極にアルカリ金属の一種であるリチウムを使用し、リチウムイオンが電解液の中の正極と負極の間を移動することで、充放電する電池のことをいう。

リチウムイオン電池の起源は意外にも古い。アメリカの化学者であるマイケル・スタンリー・ウィッティンガム氏は、石油ショックをきっかけに石油の代替エネルギーの開発を進めた。1976年に正極に二硫化チタン、負極に金属リチウムを用いたリチウムイオン電池を発明。これが最初期のリチウムイオン電池とされる。その後、1983年に旭化成の吉野彰氏が現在のリチウムイオン電池の原型を開発した。

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 リチウムイオン電池の仕組み・原理

改めて、リチウムイオン電池の仕組みや原理について解説しよう。リチウムイオン電池は、正極と負極、それらを隔てるためのセパレータ、隙間を埋める電解液で構成されている。正極にあるリチウムイオンが電解液を経由して負極、またはその反対に負極から正極に移動することで、充電や放電が起こる。従来の電池に比べ、劣化しにくいだけでなく、より大きな電力を扱うことができる。

 リチウムイオン電池とその他電池との違い

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 リチウムイオン電池とリチウムポリマー電池の違い

リチウムイオン電池とリチウムポリマー電池の最も大きな違いは、正極と負極の間の化学電解質だ。リチウムポリマー電池は電解液ではなく、ゲル状もしくは固体のポリマー材料を使用している。そのため揮発しにくく、リチウムイオン電池と比較すると安全性が高いとされている。

 リチウムイオン電池とアルカリ電池の違い

電池は繰り返し使用可能かどうかで「一次電池」と「二次電池」に大別できる。アルカリ電池は完全に放電すると再使用できない使い捨てタイプの「一次電池」であるのに対して、リチウムイオン電池は何度も使用可能な「二次電池」だ。また、リチウムイオン電池は、アルカリ電池よりも電圧が高いため、長時間の使用が想定されるスマートフォンやパソコンなどのバッテリーとして重宝されている。

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 リチウムイオン電池と全固体電池の違い

リチウムイオン電池には引火性の電解液が使用されており、発火や破裂などのリスクがある。一方、全固体電池は固体電解質を使用しており、発火などの危険性が低く、リチウムイオン電池よりも安全といわれている。

 リチウムイオン電池を構成する材料

リチウムイオン電池は、大きく正極、負極、セパレータ、電解液、電解質の5つの材料で構成される。

 正極・負極

主にリチウムイオンの貯蔵・放出を行う「活物質」、接着剤の役割を担う「バインダー」、電極の抵抗を低減させる「導電助剤」を材料として構成される。

 セパレータ

ポリプロピレンやポリエチレンなど樹脂(ポリオレフィン)製の微多孔膜のことで、正極と負極を分離するために用いられる。

 電解液

電解液は、電解質を水などに溶解させた電気伝導性のある溶液のことで、正極と負極の間を移動する通路のような存在であり、性能に大きな影響を与える。電解質にはリチウムの無機塩や有機塩が用いられ、代表的な素材としては、ホウフッ化リチウムや六フッ化リン酸リチウムなどが挙げられる。

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 リチウムイオン電池の種類

さまざまなリチウムイオン電池が存在するが、ここでは代表的な4つの種類を紹介する。

 コバルト酸リチウム

モバイル機器用バッテリーの正極材料として広く使われているリチウムイオン。容量は少ないが、電子伝導度に優れている。ただ、コバルトはレアメタルであり価格変動が激しいため、安定供給の面からマンガンやニッケルなどと混合して製造されることが多い。

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 ニッケル酸リチウム

正極材料に用いられるリチウムイオンで、主に電気自動車などに使われる。高い容量をもつ利点があるものの、過充電をすると発火など安全面でのリスクが懸念されている。

 チタン酸リチウム

負極材料に用いられるリチウムイオンだ。急速充電が可能、かつ長寿命で安全性も高いが、エネルギー密度が低いことが難点。車載用バッテリーや大規模蓄電施設、エレベーターなどに活用されている。

 マンガン酸リチウム

正極材料に用いられるリチウムイオンで、熱安定性に優れており安全性が高く、原材料の価格がコバルトよりも安価であることがメリットだ。主に車載用バッテリーなどに活用される。

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 リチウムイオン電池の特徴・メリット

リチウムイオン電池は、従来の一次電池では実現できなかった急速充電や軽量化などができ、その汎用性・利便性の高さから、スマートフォンやパソコン、電気自動車、人工衛星など、さまざまな分野で利用されている。

 急速充電できる

リチウムイオン電池の最大の特徴は急速充電できること。1C充電の場合は約1時間後には90%まで充電が可能となる。なお、1C充電とはバッテリーの放電容量と同じ電流で1時間かけて充電することをいう。

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 自己放電に強い

通常、蓄電池は使用しなくても内部で化学反応が起こり、電池に蓄えられている電力が時間の経過とともに減少していく。しかし、リチウムイオン電池は極めて自己放電が起きにくく、1ヶ月で1〜5%程度といわれている。

 軽量化・小型化しやすい

リチウムイオン電池は、鉛バッテリーやニッカド電池、ニッケル水素電池など他の二次電池と比べて小型化や軽量化がしやすい。そのため、ワイヤレスイヤホンやICレコーダー、電子タバコなどへの転用が可能となっている。

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 リチウムイオン電池のデメリット・課題

非常に利便性の高い電池だが、発火や爆発などの危険性を指摘されており、使用方法には十分な注意が必要となる。

 発火の危険性がある

過充電や過放電などによって、発熱が繰り返されて温度の制御不能に陥る「熱暴走」を引き起こすリスクがある。最悪の場合、破裂や発火などを招く。

近年では、ダラスからフロリダ州オーランドに向かうスピリット航空の機内で、電子機器に内蔵されたリチウム電池が発火し、緊急着陸する事案が発生した。このようなリチウムイオン電池による発火事例は、たびたび報告されている。

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 寿命年数が短く、劣化しやすい

リチウムイオン電池は自己放電に強い特性をもつが、先に述べたように1ヶ月で1〜5%程度電池の容量が減少する。使用条件によって寿命年数は異なるが、スマートフォン用のリチウムイオン電池で2〜3年程度、電気自動車でも約8年から10年が目安とされる。

 温度変化に弱い

リチウムイオン電池は、高温や低温環境に弱い性質をもつ。周囲温度が5℃以下になると、リチウムイオン電池の内部抵抗が増加して放電容量が減少する。許容周囲温度は最高で約45℃までとされ、電池の寿命を縮めるだけでなく、電池本体の性能低下や発火などを引き起こす恐れがある。

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 まとめ

リチウムイオン電池は、軽量で繰り返し利用できる非常に高性能である一方で、温度変化に弱い、発火の危険性があるなどの課題も存在する。ただ、リチウムイオン電池を含む二次電池は、日々さまざまな企業によって改善・性能向上のための研究開発が行われている。

今後も、各国の動向や各社の取り組み、新しいリチウムイオン電池や二次電池の技術の活用状況など広く情報を収集し、自社の発展に活かしていただきたい。