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マンダラート(マンダラチャート)のやり方|研究開発のアイデアを量産するフレームワーク

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正しい答えのない新規事業開発や新製品開発などにおいては、限られたリソースや得られた情報から、いかに成功を手繰り寄せられるかが重要だ。しかし、複雑な要因が絡み合った課題を前にして思考や情報が煩雑になることで、気付かぬうちに的外れな方向に進んでしまうこともあるだろう。予算や納期が限られているなか、できるだけ効率的に抜け漏れのない筋の良いアイデアや課題への対策を見つけたいと思う方も多いだろう。そこでおすすめしたいのが「マンダラート」と呼ばれるフレームワークだ。散漫な思考を整理できるだけでなく、目標までのプロセスを具体化してくれる。

本記事では、マンダラートを使うメリットや、作成におけるコツについて解説する。ぜひ、研究開発におけるロードマップの作成と、事業化などの場面で役立ててほしい。

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 マンダラートとは?

マンダラートとは、株式会社ヒロ・アートディレクションズ代表の今泉浩晃氏が1987年に考案・開発したフレームワークだ。このマンダラートという名称は、仏教の世界観を視覚的に表現した絵画「曼陀羅」とアートを組み合わせた造語である。

9×9の合計81マスにキーワードを記入することで、短時間で思考整理や新しいアイデアの創出ができることから、新規事業のアイデア創出や、研究開発における課題の可視化などにも役立つ。とりわけ有名なのが、大谷選手が高校時代に作ったとされる「夢実現シート」だろう。これは、マンダラートの手法に則って作られたものであり、若いうちから目標意識の高さが伺えるエピソードといえる。

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 マンダラートとマトリックス法の違い

マトリックス法とは、縦と横に配置した要素を交差させることで、アイデアを整理したり、新しいアイデアを着想させたりするフレームワークだ。非常によく使用されるフレームワークで、ボストンコンサルティンググループが考案した「BCGマトリックス」や、7つの習慣に登場する「時間管理のマトリックス」などもマトリックス法を下地に作られている。

マンダラートとの大きな違いは、縦軸と横軸の関係性が固定されていることだ。一方マンダラートは、あくまで9マスという制約のみで縦軸と横軸の固定はない。テーマに沿ったものであれば自由に記述することができ、より柔軟にアイデアを膨らませることができる。

 マンダラートのやり方

ここからは、マンダラートの使い方、やり方について解説する。適切な方法で活用しないと、テーマや課題から逸れた解決策や結論を導くことになるため注意が必要だ。

 中央に目標や課題を記入する(大目標の記入)

まず、81マスの中心に、達成したい目標や解決したい課題を記入する。ここがいわゆる大目標、マンダラートの起点となるため、「新規事業の売上を3倍」「技術の棚卸がうまくできていない」など、なるべく明確でアクションの起こしやすい書き方を意識した方が良い。なお、具体的な数値が含まれていた方がわかりやすいが、必ずしも入れる必要はない。

 周囲の8マスに具体的なアクションを書く(中目標の記入)

大目標が記入できたら、次にその周囲8マスに達成のために必要なアクション(中目標)や関連する事項を記載していく。ここに関しては、ひとまずマス目を埋めることが最優先になるので、現実性を気にせず記述することが肝心だ。ただし、ほかのマスと重複しないものを選ぶ必要がある。周囲の8マスが記入できたら、外側にある残り8ブロック(3×3のマス目)の中心に転記する。

大目標には達成したい目標や解決したい課題、
中目標には大目標を達成のために必要なアクション(中目標)や関連する事項を記入する

 8マスをさらに掘り下げる(小目標の記入)

ここからは、最初の9マスを埋めたのと同じ手順で、中目標の周り8マス(小目標)の記入を進める。この際、意識したいのが、大目標、中目標、小目標と小さくなるにつれ、上位の目標を達成するための施策として具体性をもたせることだ。ただし、あまり熟考しすぎると埋めることが難しくなるため、一旦の質は度外視し、評価は後で行うようにすることがポイントである。

 研究開発におけるマンダラートの活用例

たとえば、「研究開発部門発の新規事業を〇件生み出す」をメインテーマに設定した場合、その課題を解決するために検討すべき事項や関連事項として、下図のように展開することができる。この中目標から、さらにそれぞれの具体的なアクションを考えながら81マスを埋めるようにすることで、研究開発部門の課題に対して取るべき具体的な施策の方針が見えてくるだろう。

また、設定するテーマは達成したい目標や課題だけでなく、自分自身の研究テーマや自社技術、自社製品、興味・関心のある社会課題などを選択することもおすすめだ。各テーマに対して情報を整理し、理解を深めることができるためだ。さらに、マンダラートで導き出した要素を別のテーマの要素と結びつけて考えることで、新しいアイデアや連携できる領域の発見がしやすくなる。

こちらの例は粒度が大きいが、細かく機能や課題を分解すれば
新しいアイデアの結びつきが見つけやすくなるだろう

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 マンダラートで得られるメリット・効果

マンダラートを活用すると、新規事業や新製品開発のアイデア創出において、どのようなメリットや効果を得られるのだろうか。

 短時間で新しいアイデアを生み出せる

決められたプロセスに沿って81個のアイデアを出すので、比較的短時間で思いもよらなかった新しいアイデアを生み出すことができる。ただし、前述したように、適切な方法でマンダラートを利用しないと、間違った結論を導き出すことになってしまうので注意が必要だ。

 課題解決までのプロセスを明確にできる

マンダラートでは、大目標、中目標、小目標の順番にアイデアを深堀りする。そのため、課題の発見、中間目標の明確化、具体的な施策の洗い出しが行えることによって、課題に対するプロセスを明確化することができる。課題解決に非常に有益なフレームワークといえる。

 思考や情報の整理ができる

通常、制約を設けずにアイデアを出そうとすると、その人独自の視点や経験則などに引っ張られてしまい、抜けや漏れが発生してしまう。また、言語化が苦手な人だと、一貫性のない情報となり、収拾がつかなくなることもあるだろう。

しかし、マンダラートは、テーマや課題に関連したキーワードを多角的にあぶり出すことができる設計になっているため、抜け漏れなく偏りのないアイデアを生み出すことができるのだ。また、闇雲に考えを広げて煩雑になってしまった思考や情報を整理し、シンプルで明確な形に落とし込むことができる。

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 マンダラートの作成のコツ

下記のポイントを押さえると、さらに効果を実感できるだろう。ここでは、マンダラートの作成のコツについてお伝えする。

 マス目は全て埋める

マンダラートは、81マス全て埋めることでその効果を発揮する。なお、9×9マス以上になるのは問題ない。ポイントは、実現不可能なことでもとりあえず記入することが大切であるということだ。1つのアイデアから、新たなアイデアを着想することもあるため、順番は気にせず、書けるところから埋めていく。考えすぎを防ぐため、制限時間を設けてみるのも良いだろう。

 達成期限を設ける

「今年、研究開発部門に、データサイエンティスト人材を3名採用する」、「自社が保有する技術や特許の棚卸を、今年の8月までに完了させる」など、現実的に達成可能な期限を設けると、より効果的になる。なお、全ての項目に達成期限を設ける必要はない。かけるものだけでもよいので、できるだけ期限を意識して設定したい。

また、期限を設定する際は、大目標→中目標→小目標の原則を忘れないようにしたい。大目標の段階で、明確に期限を引いてしまうと、小目標が書きにくくなるためだ。

 より具体的に小目標を記載する

小目標は、目標達成のためのアクションにつながるように、具体的に記載することがポイントである。「新規開拓先のリストアップ」「新製品のペルソナ設計」くらいの粒度で問題ない。明日すぐにでも動き出せそうなタスクを目安とすると良いだろう。万が一、小目標をうまく書き進められない場合は、大目標や中目標が具体的すぎるか、あるいは大目標の設定自体が間違えている可能性がある。今一度、見直してみる必要がある。

 まとめ

マンダラートで重要なのは、大目標に記載するテーマないしは課題である。マンダラートは決して万能なフレームワークではない。テーマや課題がずれていると、良いアイデアも湧き上がってこないどころか、見当違いの仮説が弾き出されることになる。本日紹介したポイントを参考にしながら、設定しているテーマが適切か周囲の意見を聞いたり、他のメンバーと一緒にマスを埋めたりして、抜け漏れを防ぐのも良いだろう。新規事業や新製品開発などの際に、ぜひ活用してみて欲しい。

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