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研究開発型の新規事業開発にありがちな課題の解決策とは?

ビジネスコンセプト壁画

研究開発型の新規事業開発においては、「アイデア創出」、「企画作成」、「合意形成」に課題を感じている方が多いのではないだろうか。これらの壁を越えていくにあたって、適切な情報収集とその活用が非常に重要である。この記事では、研究開発型の事業開発における課題を把握するとともに、情報収集のDX(デジタルトランスフォーメーション)による解決策がどのように有効かをユースケースを交えて解説する。

※当記事は2022年2月24日に開催したオンラインセミナー「ユースケースから学ぶ事業・製品・技術が生まれる新しいリサーチ体験」の内容をもとに作成しています。

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 製造業の研究開発における新規事業開発の課題

新製品開発のプロセスは、テーマ探索やアイデア出し、企画の作成、仕様設計、試作、顧客へのヒアリング、テストマーケティング、本投入の検討が一般的な大まかな流れとなるだろう。これらのプロセスを経て製品が市場に出るまでの期間は3年から5年と中長期となることが多い。特にステージゲート方式を採用する企業では、各ゲートに3カ月や、長ければ数年が費やされることになる。

昨今、先行きの不確実性が高まり、製品ライフサイクルの短期化とコモディティ化が進むなか、さらなる製品開発の効率化・迅速化が求められている。日本全体でDXが叫ばれ、製造業でもマテリアルズ・インフォマティクスやスマートファクトリーなどのデジタル活用が進む。一方で、開発プロセスにおけるアイデア出しや企画作成、合意形成などの仮説構築がアナログの手段のまま取り残されているのが、研究開発部門の根底にある課題となっている。

 アイデア発案の壁

最初の難関であり、多くの方が苦労するのがアイデアの創出だ。研究開発では、自社のコア技術や担当する技術を活用して新たな価値を生み出すこと、次世代のスタンダードや新たな事業の柱を作り上げていくための、もとになるアイデアを数多く出す必要がある。また、アイデアをステージゲートの次のステップに進めるためには、アイデアの量もさることながら質も求められていることは言うまでもない。しかし、量も質も担保したアイデア出しは並大抵のことではない。

発想やひらめきとは無の状態から生まれるのではなく、既存×既存、既存×新規、新規×新規などの知の掛け合わせから生まれる。これはイノベーションの創出においてよく言われていることである。しかしそれにもかかわらず、なぜアイデアの創出にこれほどまでに悩まされているのか。そこには情報不足が大きく起因している。

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 アイデア発案を困難にする「情報の網羅性」の要因

情報オーバーロード

情報オーバーロードとは情報過多のことである。超情報化社会により、不必要な情報に埋もれて本当に知るべき情報が得難くなるのだ。また、情報の精査に時間が取られて肝心なインプットを行う時間が取れなかったり、そもそも情報精査を行う時間が取れないことも多い。

情報範囲が狭い

自社技術や担当技術の知識があっても、その用途や関連技術などの周辺知識が不足していることで良い情報を見逃してしまうこともある。顧客課題についても、背景の深掘りや抽象化が足らずアイデアにつながらないことも要因である。

刺激不足

いつも見ている範囲の情報だけになると偏った情報ばかりになり、新しい知の掛け合わせである新結合が生まれにくくなる。異分野の情報などの新しい刺激が不足することでもアイデア不足につながるのだ。

 企画作成の壁

発案したアイデアが次のステージに進み、事業性の評価の段階で壁となるのが企画書の作成だ。上司から「次の会議までに時間をかけなくていいから簡単に現状を把握してほしい」と指示が出されるケースは少なくないだろう。しかし、最新の市場状況を収集して整理することは、決して簡単にできることではない。アイデア発案の段階で過去のレポートは調査していたとしても、最新の状況を新たに調べ直し、集めた情報を整理するのは非常に時間がかかり骨の折れる作業であるからだ。

企画書や企画作成の一般的なプロセス。事業領域や環境分析が課題となりやすい

 企画書作成を困難にする「情報整理」の要因

現状把握に時間がかかる

自力で調査を行う場合、情報整理の方法に迷ったり、整理方法がわかっていたとしても取り組むには時間がかかってしまう。しかし、コンサルティングや調査会社に依頼をするとなるとコストがかかる。また、この段階では依頼内容も曖昧なため外部への依頼を選択肢に入れることは難しいだろう。

ストーリー作りに時間がかかる

情報整理が行えていないため、集めた情報から仮説が見えていないかったり、自信を持って進められるほど腹落ちしていないことが、企画書作成を困難にしている。

根拠を揃えるのに時間がかかる

仮説の可否を決める情報や、関係者による疑問の回答となる情報を集め整理することに時間がかかる。

 合意形成の壁

ステージが次へと進むことで、これまで意見を交わしていた部署の他にも新たな部署が加わりアイデアの評価が行われるようになる。ここで重要なカギを握るのが合意形成だ。合意形成とは、具体的に社内での情報交換や、打ち合わせ、企画会議などの場において関係者の意見を一致させることだが、この合意形成をスムーズに達成するために必要なのが情報の共有である。

 合意形成を困難にする「情報共有」の要因

前提や背景がずれている

一番よくある要因となっているのが、前提や背景のずれである。プロジェクトへの参加者が増えたことで、前提情報や企画の背景についての理解にばらつきが生じやすい。たとえプロジェクトの前提の共有を行ったとしても一度の共有では腹落ちが難しく、さまざまな局面で何度も目的や狙いを共有する必要性に迫られる。

思考プロセスがずれている

前提や背景を共有していたとしても、他事業部に暗黙的な評価視点があり、その視点が抜けていることで正しく判断ができなかったり、企画立案までの手順や経緯が共有されず、企画全体に納得感が得られないということもよくある話である。

関係者のやりたいことが理解できていない

プロジェクトメンバーから反対意見を出されたとしても、背景にあるその人の業務業の役割や考え方、このプロジェクトで実現したいことなどが理解できていないと、終始表面的な意見交換となってしまう可能性がある。関係者の考えや思考が読めない分、合意形成が難しくなるのだ。

 壁を乗り越えるためのリサーチDX

先述したとおり、仮説構築のプロセスにおけるアイデア発案や企画作成、合意形成などの課題解決には、「情報の網羅性」「情報整理」「情報共有」がポイントとなる。そこで思い出していただきたいのだが、冒頭に述べた通り製造業の研究開発における新規事業開発の根底の課題が、これら「情報の網羅性」「情報整理」「情報共有」をアナログで行っていることにある。常に情報オーバーロードにさらされる環境、加速する製品開発サイクルなどの取り巻く状況を考えると、デジタル技術による情報の集約や整理・分類の業務と、人による思考や発想などのクリエイティブな業務を分業する必要性が増しているのだ。つまり、情報収集のデジタル化(リサーチDX)がこれから取り組むべき重要課題のひとつと言える。

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 ユースケースでみる仮説構築におけるリサーチDXの有用性

ここではストックマークが提供する自然言語処理技術を強みとしたAIサービス「Astrategy」と「Anews」を用いた、ひとつのユースケースをご紹介したい。今回は、センサー事業を例として環境問題への関心の高まりに向けた新たな事業を探る。

 アイデア創出のための網羅的な情報収集

「Astrategy」を活用し、環境問題で話題のキーワードである「カーボンニュートラル」を軸に、課題を表現するようなキーワードを掛け合わせて、どのような業種で話題になっているのか、どのような企業が注目されているのか、どのようなテーマがあるのかなどの情報を集める。

話題性が視覚や数値(ニュース掲載数)として理解しやすい

次にテーマ一覧のなかで気になったキーワード「水素」と自社技術である「センサー」、テーマ一覧で話題性が高かった「耐久性」を掛け合わせることで、参入している企業や具体的な取り組みの事例から、アイデアのタネを見つけることができる。ここまでおおよそ2分ほどの作業時間だ。

一方「Anews」は、収集したいキーワードを登録することで、毎日そのキーワードに関する情報を集め定点観測をサポートするプラットフォームだ。先の「Astrategy」によって見つけたキーワードを登録し、関連情報を日々受け取ることが出来る。AIの学習機能により使えば使うほど精度が上がり、よりパーソナライズされた有益情報の提供と、他のメンバーの収集情報(組織値)を新しい刺激として受け取ることができる。これら、参入企業やテーマを連携させた網羅的な情報収集、定点観測、認知外情報や組織知の集積がリサーチDXの基盤だ。情報不足解消と全体感の把握というアイデア創出の壁を乗り越えるために必要な部分を整えることが可能だ。

 企画を考えるための現状把握

企画作成で課題となっていた現状の全体感の把握は、「Astrategy」を活用すれば最短1時間ほどで以下の項目の調査をまとめることが可能だ。

①市場分類
②市場規模
③プレイヤー(市場の主要プレイヤーや急成長している企業、新興企業など)
④キーワード(主要なキーワード、急に注目を集めているキーワードなど)
⑤カオスマップ(キーワードに対して、どのような企業が参入しているか)
⑥プレイヤー比較(参入企業の中でも重要なプレイヤーを比較)
⑦将来年表(注目プレイヤーの今後のアクション)

今回はアイデアの軸である「水素」をキーワードとして検索する。カオスマップの機能により、「グリーン水素」や「ブルー水素」などに対して各社がどれぐらい取り組みを行っているのかが見て取れる。記事の中身を読んでみたり、他の機能を活用することにより、自身が注目する企業がどのような取り組みを行っているのか、パートナーを組んでいる企業はあるか、どれくらいの市場規模を目指しているのか、実用化の段階にあるのか、いつまでにどのようなことを目指すのかなどをさまざまな切り口で把握することができる。

「カオスマップ」からニュースの中身を確認することもできる

 合意形成を促す情報共有による認識合わせ

「Anews」を活用し、他のメンバーにも目を通してもらいたいニュースにはメンションを付けて共有したり、興味のあるニュースにマークをつけたりすることで、関係者間でお互いに何に興味を持って、どの情報を重要と捉えているかの前提の共有を行う。また、ニュースを起点とした会話が生まれ、日頃からの認識合わせを行うことで合意形成を行いやすくする。

「Anews」と「Astrategy」についてはこちら!

 リサーチDXによるこれからの研究開発とは

下図は「アイデア発案」や「企画策定」、「合意形成」における現状と、AI技術を活用したリサーチDXを取り入れた場合を比較したものだ。

人力で行うアイデア発案や企画策定では、膨大な情報から必要な情報を見つける必要があり、情報をまとめるだけでも手間と時間を要する。また、合意形成の段階で認識合わせを行おうとするため、認識の共有のための時間を別に取る必要がある。しかし、ご紹介したリサーチDXにより、膨大な情報のなかからAIがニュースを必要な情報としてまとめ、さらに最新情報をもとに現状把握や事例を分類し定点観測を支援してくれる。しかも、ニュースから得られる情報を日頃から気軽に共有し認識を合わせることで中身の濃い議論となり合意形成をよりスムーズにする。

リサーチDXは、日々、情報収集にかけていた時間を短縮し、企画の進行や開発スピードを加速させる。ニュースを必要な情報としてすぐに活用できる環境づくりのために、AIなどのデジタル技術を活用したリサーチDXを検討されてみてはいかがだろうか。

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