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論文を読むコツとは?論文の読み方を解説

論文を読むコツとは?論文の読み方を解説

論文を漠然と読むだけでは、効果的に論文の内容を吸収し、自身の研究開発や論文執筆に十分に活かすことは難しい。論文の読み方にはコツがあり、適切にポイントを抑えて読み解くことで、自らの研究の糧とすることができるのだ。今回は、論文の読み方について解説していく。

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 論文とは?

そもそも論文とは、1つのテーマや命題を立て、そのテーマに関するこれまでに明らかになっている事実や研究を整理してひとまとめにし、まだ明らかになっていない部分について、自分自身の考えを根拠立てて見解を示したものだ。

テーマは「問い」であり、最終的に述べるものは筆者の問いに対する「答え」である。これまでの研究で分かっていることを、テーマに沿って分解、再構築し、論理的な「答え」が明示されている必要がある。論文では、事実や既存情報の確認や調査だけでは不十分で、筆者自身の答えを証明しなければならないということだ。

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 論文の読み方を学ぶメリット

論文を適切に読むことは、自身の研究や論文執筆に活かすことにつながる。具体的にどのようなメリットが得られるのか、以下に2つご紹介する。

 「良い」論文がどのようなものなのかがわかる

まず、論文には良し悪しがあるという点に注意したい。ここで言う「良い」論文とは、筆者の「問い」と「答え」が明確で、客観的な根拠を示した上で論理的に「答え」が出されている論文のことだ。避けたいのは、提示された問いと答えの関係がズレているものや、根拠が不十分なもの、論理性が乏しい論文である。

論文の読み方や押さえるべきポイントを理解することで、世の中にあるさまざまな論文のうち、どのような論文を参考とすべきかが判断しやすくなるだろう。また、論理性があり納得できる論文とはどのようなものかを知ることで、自身の研究の「仮説」を構築し、論理的に答えを導き出すことに役立てることができるだろう。

 効率的な読み方を見つけられる

日々の業務をこなしながら限られた時間内で膨大な量の論文を読み込むためには、短時間で理解を深められるように論文の要点や目を通すべき箇所を把握しておく必要がある。効率的な論文の読み方を確立できれば、一定の水準で多くの論文を読めるようになるだろう。

また、さまざまな論文を読めるようになれば、自身の研究開発テーマの選び方の妥当性や、答えを出すために最適な研究手法の着想を得ることもできるだろう。

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 論文を読むためには構成を知ることが重要

論文の構成や構成要素の名称は、統一されているわけではないため全てが同じというわけではないが、一般的には以下のような構成となっている。

・要旨
・序章
・本論
・終章
・参考文献

論文を読む際、論文の構成を把握してどのような順番でどう読むかを意識して読むことで、論文の読み方の効率性を上げることができる。ここでは、論文の基本的な構成要素を確認する。

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 要旨

まず、要旨(Abstract)が構成の一番初めに位置し、論文の概要について記載されている。要約は要旨や抄録とも表現され、論文の目的となる「問い」、論文の結論となる「答え」など論文全体の内容が簡潔に記載される部分である。文字数は日本語の場合は200〜400字、英語であれば200〜300語程度が一般的である。その論文が自分にとって読む価値があるものなのかを測ることができる部分である。

 序章

序論、もしくは序章(Introduction)と呼ばれる部分では、当該論文のなかで取り上げるテーマについて、どのような契機から研究するに至ったか、その背景や課題、先行研究などの関連研究に触れながら「問い」の提起を行う。すでに関連研究などテーマに関わる物事で明らかになっていることを示しつつ、なぜこの「問い」を明らかにすることに価値があるのかということを記載している。「問い」に焦点を当てるため、「答え」に関わる仮説などについては簡潔に述べられていることが多いだろう。実験方法などの研究手法についても触れられている場合もある。論文の理解を高めてくれる部分のため、できるだけしっかりと読んでおきたい。

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 本論

本論は論文の本体となる部分だ。実験方法(Material & Method)や結果(Result)、考察(Disscution)と、本論そのものを分解して構成を形成する場合がある。本論は、「問い」に対する「答え」を論理的に証明していくパートである。実験や調査によって得たデータや、資料などの根拠を提示して、客観性を高めて、自身の仮説を検証していく過程を記す。方法論は他の研究者が同じ方法で再現できるよう、使用した器具や装置以外にも、さまざまな環境要因について記載されている。結果から「答え」を論証する上で重要なポイントである。

 終章

終章は結論や、おわり、まとめとも書かれている場合があり、英語ではConclusionやSummaryと表現される。終章は、論文のなかで示した内容について簡潔にまとめる部分だ。論文構成に沿って序章で問題提起した「問い」、その「問い」に対する研究や実験結果からなにを発見したのか、筆者の考察とこれからの展望について記載されている。

要旨と同じく本文内容をまとめるものではあるが、終章は論文のなかで最終的に伝えたいことや新規性について簡潔にまとめる趣旨があり、目的が異なる。

 参考文献

論文を執筆するにあたり、参考にした論文、文献などの参考資料について、明記する部分である。テーマに関連する先行研究を知ることができるため、研究を行う者にとってはよく見る箇所だろう。参考文献の表記は、分野によって表記の手法が変わるが一般的には以下のように記される。

【参考文献の表記】
書籍:著者名.書名.出版社,出版年,[総ページ数],[シリーズ名].
論文:著者名.表題.雑誌名.出版年,巻数,号数,p.始め〜終わり.

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 論文の読み方のポイント

ここでは効率的に論文を読むために、意識したいポイントをご紹介する。

 論文を読む目的を明確にする

まず、なぜその論文を読むのかといった目的を自身で明確に理解しておく必要がある。他者の研究を知り、何を得たいのかといった目的意識を言語化しておくことで、フォーカスすべき内容が見えてくる。

現在行っている自身の研究をより深めるためや、これから研究するテーマを見つけるためなど、論文を読む目的はそれぞれ異なる。たとえば、自身の研究のブラッシュアップのために読む場合は、先行研究などの論文と自身のものを比較し、活かすことができそうな実験結果や知識などを見つけていくことが主目的になるだろう。また、研究開発テーマを探す場合は、関連テーマ同士の論文を比較し、それぞれの類似性や違いを確認し、次の課題を見つけ出すことが必要になるはずだ。

自らの目的に合った適切な論文中の重要箇所のピックアップが効率的な読み方の最初のステップだといえる。

 論文を探す

論文はインターネットや大学図書館などを利用して探すことができる。基本的には、インターネット上で、見つけたい情報にアクセスすることができるだろう。さまざまな論文検索のサービスがあるため、それらをうまく活用していくことがおすすめだ。

調べたい研究分野のキーワードを的確に打ち込むことで、知りたいことが書かれた論文や参考にできる論文に近づくことができる。入力するキーワードが重要なため、いくつかのキーワードの候補を挙げ、キーワードに優先順位をつけ、優先度の高いキーワードを軸に組み合わせを考えていくと良い。

ヒットする論文が多い場合は、手当たり次第に乱読するのではなく、どの論文から読んでいくべきか、タイトルや引用数、筆者などを参考に優先順位をつけて振り分けてから読むことをおすすめしたい。

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 気になる参考文献も読んでみる

論文は本文だけでなく、参考文献を読むことも重要だ。テーマについての理解を深めるためには、前提となっている参考文献を読むことが有効だからだ。特に、タイトルなど気になったものは積極的に読んでいくと良いだろう。

また、これまでに多くの研究がなされてきた分野を取り扱いたい場合、学ぶ内容は多岐に渡り膨大となる。無限に時間があるのであれば、いくらでも論文を読み込むことができるだろうが、他の業務を行いながら論文を多読するには、研究分野を理解するためには最低限どれくらいの論文を読む必要があるのか予測し、1つの論文に対してかけられる時間がどれくらいあるのかを逆算しておくことがポイントだ。

 重要なポイントを探しながら読む

論文を漠然と読み進める場合、効果的に知識や理解を獲得することは難しいだろう。論文を自身の言葉でまとめつつ重要なポイントを探りながら読むことで、より理解を深めることができる。

特に、タイトル中の語句、問い、筆者、研究手法、論文内で示された知見や、提示された図・表は論文の重要なポイントで、このポイントを探しながら読むことで、さらに理解のスピードが上がるはずである。

また、読む上で大切なことは、自分なりの疑問点を見つけることだ。専門用語や研究手法など、疑問は些細なことでもよく、気になった点はメモを残しておく。さらに、論文中の筆者の主張について、自身が疑問に思うことはないか、反論できる点はないかなども考えられるとよい。

 論文を自分の言葉でまとめる

最後に、論文を読み進めつつメモした内容を端的に1行でまとめる。自身の言葉で論文の内容をまとめることで、論文の内容を整理し理解を深めることができる。読んだ論文を自分の中で整理できれば、次にどのような論文を読むべきか、そしてどのような点を自身の研究に活かすことができるか、どのような課題が残っているのかなどということにつなげやすくなる。メモを取るだけではなく、内容を整理し自身の言葉にまで落とし込むことが、読んだ論文を活かすために重要なポイントとなる。

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 まとめ

論文は漠然と読むだけでは自身の研究に活かすことは難しい。意識的に、かつ、効率的に読むことで、論文から得られる知見は大いに増える。限られた時間のなかで膨大な論文を読み込むためには、要点を押さえつつ理解を深められる論文の読み方を確立することが重要なのだ。遠回りなようだが、こうした地道な取り組みが研究開発の質を高める一助となる。この機会に今一度、ご自身の論文の読み方を見直す時間をとってみてはいかがだろうか。

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