日本や世界の半導体メーカー・会社・企業【分野別で紹介】
製造業
新型コロナウイルスの影響でテレワークが続く中、多くの企業が業績の修正を余儀なくされている。今回は、企業の売上の源泉である営業組織において、リモートワークでどのような変化と課題が起きるのかを解説していく。
営業活動がリモートワークになる中で大きく変化するのは対面営業からWeb会議へ変わることだ。移動時間がなく、資料の印刷も不要。効率良く商談を行うことができるため、生産性向上が見込まれるという側面もあるが、実は大きなデメリットも存在する。
それは「提案資料にない要素を議論する中で、意思疎通が取りづらい」という点だ。
B to Bの営業活動だと資料を提示した上で、要件を詰めたり、要望を聞きながら議論を重ねていくということが一般的である。
対面でのコミュニケーションであれば、相手の動作や表情、雰囲気などで反応を伺いながら、時にはホワイトボードなどで説明することも可能。
しかしWeb会議だと、なかなか顧客に意図が伝わらないということもあるのではないだろうか。これは「メラビアンの法則」と「多義語問題」が関係している。
メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した概念で、感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと数値化したものである。
話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であると言われており、この割合から「7-38-55のルール」や「言語情報=Verbal」「聴覚情報=Vocal」「視覚情報=Visual」の頭文字を取って「3Vの法則」とも呼ばれている。
人は言語情報以外の視覚情報や聴覚情報を含めた情報で物事を捉え、判断をしている。
この法則自体は感情的な表現や好き嫌いの場合に適用されるとされており、事実や要望は言語のみでも十分に伝わるが、営業の場面は必ずしもロジカルに進められることだけではなく、感情的な要素も含まれるため、この法則を無視することができないのだ。
多義語については聞いたことがある方も多いだろう。パッケージという言葉を例にしてみるとよくわかる。
旅行業界:パッケージツアーの略
包装資材業界:ビニール袋やダンボールなどによる包装のこと
半導体業界:半導体パッケージ(=基盤)
同じ言葉なのに、異なる意味を持つことが日本語では多くあり、文脈やお互いの情報レベルの認識が合っていないと、多義語によって誤解が発生しやすくなってしまう。細かく前提を確認しながら、コミュニケーションをしていく必要があるのだ。
営業のコミュニケーションが変化していく中で、今後はこれまで以上に「提案をどのように作っていくのか」の重要性が高まっていく。
対面でのコミュニケーションだと、資料の補足説明を様々な方法で行うことができるため、資料だけで全てを伝えることができなくても成り立っていたという背景があった。
しかし、前述した「メラビアンの法則」や「多義語の問題」がある中で、提案資料の中でこれまで以上に明快に提案内容を伝える必要性が高まっている。
そのためこれからの営業現場では
1.ストーリーを作る力:顧客から決裁を取るためのストーリーを作る力
2.ストーリーを表現する力:ストーリーを資料として表現する力
3.ストーリーを伝える力:顧客へWeb会議上で適切に伝える力
の3つを高めることで、新しいコミュニケーション手法の中で提案を成立させていくことが重要となる。
一方で、提案書の作成については以下のような課題も存在している。
この調査は弊社が2020年3月に実施した調査であり、リモートワークが常態化していない時期でも、「類似提案書の検索」や「資料の収集」への課題が顕著に見られる。より資料の高度化が求められている現在では、課題が顕在化しているのではないでだろうか?
提案資料を高度化するためには何を行うべきなのか。
結論から言うと、ナレッジを組織に還元する仕組みを構築していくことである。
新人の営業の方がすぐに顧客に響く提案を作れるわけではないということは誰もが想像できる。
そもそも、人ができないことをできるようになるプロセスとは、
・わからないという状態
・見える/わかる状態
・できる状態
の3つのプロセスがある。
例えば、クラウドストレージを導入して、営業の資料を集約していくことで良い提案を参照することができるようにしていくことで、社内のトップセールスの資料や他の案件の勝ちパターンを参考することが可能になり、組織に営業ノウハウが還流・蓄積していくことを実現できる。
「見える/わかる」状態を作ることで、「できる」状態へ近づける行動を取れるようになり 、一連の流れを仕組み化していくことで誰もが顧客に響く提案資料を作成できるようになるのだ。
新型コロナウイルス以前から営業組織の属人化が課題であった企業様も多いと思います。
アフターコロナになった今は改めて「デジタルワークプレイス」や「デジタルセールス」などのキーワードが注目を浴び、デジタル上で活動を行っていく必要性が叫ばれ、加速しているのは事実である。
しかし、誰もが正解を持っているわけではないことも事実である。新しい働き方を模索する上で、まずは売上の源泉になる営業組織から考えていくのが良いのではないか。