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製造業
事業開発や研究開発において重要なのがアイデアだ。しかし、限られたリソースのなかで、秀逸なアイデアを生み出すのはそう容易ではない。そこで紹介したいのが、限られた時間で多くのアイデアを創出するのに効果的なフレームワークSCAMPER法だ。本記事では、このSCAMPER法の概要や活用法について解説する。
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目次
SCAMPER法とは、アイデア発想法の1つ「オズボーンのチェックリスト」を下地に、アメリカの創造性開発の研究家、ボブ・エバール氏が開発したフレームワークである。アイデアの発想にはいくつかの典型的なパターンがあり、典型パターンに沿った質問によってアイデアを導き出す方法である。SCAMPERという名称は7つの質問の頭文字を組み合わせたものだ。アイデア創出における「発散」のフェーズで有効で、汎用性が高い手法であることから、ビジネスシーンだけでなく、研究開発における製品や事業のアイデア出しの際にもおすすめなフレームワークだ。
SCAMPER法のメリットは、短時間でアイデアが量産できることだ。短時間で多くのアイデアを出さなければならないとなれば、何をどのように考えればいいのかわからず、考えが堂々巡りしてしまい時間がかかってしまうこともある。しかし、SCAMPER法では、7つの質問リストに回答していくだけで、それらの質問をきっかけに短時間でアイデアを広げていくことができるのだ。また、さまざまな切り口でアイデアを考えることで、幅広いアイデアの創出が可能となることもメリットのひとつである。
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ここでは、SCAMPER法の核ともいえる7つの質問リストについて、それぞれ掘り下げて解説していこうと思う。質問の解説だけでなく、具体的なイメージが湧くよう、具体例も合わせてご紹介する。
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何か別のものに置き換えができないかを探る質問だ。
質問例
・プロセスや手順を置き換えるとどうなるか
・成分や材料を置き換えるとどうなるか
・五感(音・触感・色・香り・味)に関するものを置き換えるとどうなるか
・場所、時間、人、方法を置き換えるとどうなるか
具体例
もっとも身近な例が、1987年にモスバーガーが考案したライスバーガーだろう。バンズであるパンをお米に置き換えるという非常にシンプルな発想の転換により誕生した製品だ。今やモスバーガーの代表的なメニューの1つになっている。
2つ以上のものを組み合わせて新しいアイデアを生み出す質問だ。
質問例
・まったく異なる2つの製品を組み合わせる
・目的や方法を組み合わせる
・一部の機能を統合する
具体例
スマートフォンの概念は、携帯電話とパソコンを組み合わせることから着想したものだ。通話機能に、インターネット検索や電卓、アプリ、音楽プレイヤーなどパソコンの要素をミックスさせることで、今までにない画期的な製品が誕生した。
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もともとあるアイデアを応用することで、新しいアイデアを着想する質問だ。
質問例
・他の業界のアイデアを当てはめるとどうなるか
・過去の成功事例を応用できないか
・他にどのような使い方ができるか
具体例
ドローンの農業転用が良い例だろう。もともとドローンは空撮用のロボットとして普及していた。近年は農地の栽培状況の確認や、農薬散布などでも有効活用され、担い手が不足しているなど農業が抱える課題を解決する存在として重宝されている。
製品やサービスを修正・変更することで、新しいアイデアの発想につなげる質問だ。
質問例
・重さを変えてみたらどうなるか
・機能を弱く/強くしたらどうなるか
・製品を短く/長くしたらどうなるか
・製品を小さく/大きくしたらどうなるか
・動作を遅く/早くしたらどうなるか
具体例
これに該当する例が、サイクロン掃除機のダイソンだ。従来の紙パック掃除機では、紙パックがゴミでいっぱいになり始めると吸引力が低下するという課題があった。サイクロン装置を掃除機に応用させたことで、圧倒的な吸引力を実現。掃除機の吸引力の「強化」と吸引力が持続するように「長く」したことで、今やダイソンは累計生産台数は5000万台以上と、世界的な大ヒット商品となっている。
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技術や素材などをこれまでとは別の使い方や目的で使用することができないかを探る質問だ。
質問例
・他にどのような使い道が考えられるか
・業界を変えたらどうなるか
・ターゲットを変えたらどうなるか
具体例
職人向けの作業服店として圧倒的なシェアを誇っているワークマンが、カジュアルなアウトドアショップ「ワークマンプラス」を始めたことは記憶に新しいだろう。ワークマンは、過酷な気象条件下での作業を想定して開発した防寒服が、バイクに乗るライダーから大きな支持が得られた経験から、一般向けの市場の可能性を見出した。徹底的な市場リサーチにより、新しいターゲットに向けた戦略を取ったのが「ワークマンプラス」で、その売上高は既存店舗売上平均の2倍以上にまで成長する店舗となった。
プロセスや機能を排除、削除することで新しいアイデアを出す質問だ。
質問例
・機能やサービスを最小限にできないか
・プロセスや過程を簡略化できないか
・見た目やデザインをシンプルにできないか
具体例
わかりやすいものだと、サービスを最小限にし、航空輸送サービスを安価で提供することを実現した格安航空(LCC)、近年でいえばレジを丸ごとなくした「Amazon Go」などが挙げられる。
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逆にしたり、並べ替えたりして、再構成をすることで新しい発想を生み出す質問だ。
質問例
・プロセスや順序を入れ替えてみる
・原因と結果を逆にしてみる
・表面と裏面を入れ替えてみる
・弱みを強みに転換してみる
具体例
真逆の発想で生まれた製品に「逆さ傘」がある。濡れた面を内側に畳めるようにしたことで、これまで畳んだ傘によって服や車内が濡れることがなくなる。そのため使用直後に畳んだ傘を腕に掛けて両手が自由にできる。従来とは逆の発想で製品を生み出した好事例である。
ここでは、SCAMPER法で事業アイデアを創出する手順について解説していく。
まず、SCAMPER法で議論するテーマを用意する。SCAMPER法は、何もない状態からアイデアを創出する議論には不向きなためだ。事業課題や開発したい製品など、核となるテーマを決めておく必要がある。
あらかじめ詳細な質問項目を入れ込んだチェックリストを用意する。時間制限を設けたうえで、思いつくままに質問に対する回答を次々と記入していくのだ。回答が難しい質問に関しては、一旦スキップしてしまっても構わない。また、議論を行う際に、チェックリストと回答をメンバー全員が見える場所に設置しておけば、その回答をもとに新たなアイデアが着想する連鎖が生まれることもある。
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出てきたアイデアを、さまざまな切り口でカテゴライズし、今回の検討のなかで注目したいアイデアに焦点を当てる。そして、実現可能性や費用対効果などを検討し、具体的な施策に落とし込んでいく。施策に採用されなかったアイデアは、ボツとせずに次回の議論まで残しておくと良いだろう。アイデアはあくまで点であり、点同士が結びつけば線となり、1つの画期的なアイデアになる可能性を秘めているからだ。
SCAMPER法を利用するにあたって、注意すべきポイントがある。ここでは2つご紹介する。
SCAMPER法を活用する際には、時間の制約を設けた方がよい。じっくり時間をかけたからといって、良いアイデアが出るものでもないからだ。それよりもできるだけ短時間で多くのアイデアを出すことに注力し、悩む質問は後に回し、浮かびそうなものから順に進めることがおすすめだ。
アイデア出しで大切なのは質よりも量である。アイデアの数が多ければ、そのアイデアを元に別の発想が生まれるかもしれないからだ。その瞬間は「非現実的でくだらない」アイデアだとしても、後で振り返ったら「実は新製品のタネだった」ということもある。アイデアに対する評価は、すべてのアイデアを出し終わったあとで構わない。他者が出すアイデアを否定せず、また思いついたアイデアは躊躇せずに出し続けることが肝心だ。
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SCAMPER法は、一人よりも幅広い年代や役職、部署に囚われない多様なメンバーで意見を出し合うと、さらに効果的なフレームワークとなる。新規事業や新商品、問題の解決方法のアイデアを創出する際にも、非常に有効な手段でもあるため、ぜひ活用してみて欲しい。