2024年以降の半導体市場の見通しは?需要や各国の動向について
製造業
顧客に選ばれる製品やサービスづくりにおいて、「価値」は切っても切り離せない要素である。しかし、価値を高める重要性は理解しつつも、価値が漠然としたイメージのままになってはいないだろうか?本記事では、そもそも価値とはどういうものなのかということから紐解き、価値を高める方法や成功事例をご紹介する。
「価値」とはどういうもので、どのように製品やサービスの価値を高めれば良いのかをわかりやすく資料にまとめました!
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目次
「価値」とは、その物事がどれ程役に立つかや値打ちを示す言葉であるが、ビジネスにおいて意識しなければならないのは、「顧客にとっての価値(顧客価値)」である。「顧客価値」とは、顧客が製品やサービスから感じるメリットと支払う費用(コスト)の差から生じる。また、顧客が主観的に感じたり、認識したりすることを強調して「顧客知覚価値」と呼ばれることもある。
顧客が感じるメリットには、製品自体の機能や性能だけでなく、付帯サービスや従業員の対応、ブランドの持つイメージなども含まれる。一方、顧客が支払う費用は、金銭的コストだけでなく、時間的コストや入手までの労力、そして廃棄の際の過程、入手及び廃棄における心理的なコストなどのすべてを統合したものだ。
顧客価値が顧客の得られるメリットと負担の差分であることから、この差分が大きくなればなるほど、購買意欲を高めることができる。
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市場競争のグローバル化に加え、顧客ニーズの急速な変化によって、製品やサービスの入れ替わりが激しくなり、その激化する競争のなかで顧客に自社の製品やサービスを選んでもらうためには、価値の差分を競合他社よりも大きくする必要がある。つまり、顧客が支払ったコストに対して、商品やサービスから得られる価値が他社のものより大きくなければならず、市場競争とは「価値の差を大きく広げる」競争といえる。
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ここでは価値を曖昧なイメージとしてではなく、きちんと理解するために分類して解説する。
フィリップ・コトラー氏(Philip Kotler)考案の「プロダクト3層モデル」は、対象の製品・商品(プロダクト)やサービスの価値構造を3層に分けて整理する考え方である。顧客への価値提供を、プロダクトの「製品の中核」「製品の実体」「製品の付随機能」の3つの構成要素に分けることで、中核となる価値やビジネスのあり方を見直すことに有効だ。
製品の中核
顧客の本質的なニーズを満たす部分で、製品やサービスの価値の本質(コア)である。
製品の実体
中核に付随するもので、製品のデザインや品質、ブランドなどの製品を特徴付けている要素が当てはまる。
製品の付随機能
製品の中核には直接的な影響はないが、製品やサービスの価値を高めている要素のこと。アフターサービスや保証などが該当する。
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「ブランドの神様」とまで呼ばれるアメリカの経営学者であるアーカー氏(Daivid Allen Aaker)による「ベネフィット3分類」という考え方がある。元々はブランド価値戦略におけるベネフィットについて説かれたもので、それぞれ「機能的ベネフィット」「情緒的ベネフィット」「自己表現的ベネフィット」に分類できる。提供する製品やサービスの価値を顧客側の視点で分類することによって、どのような価値を生んでいるのかを理解することに役に立つ。
機能的ベネフィット
製品やサービスに備わっている機能や性能によってもたらされるプラスに働く効果を指す。製品やサービスの安さや提供の速さ、使用時の簡単さ、製品の軽さなどといったものだ。
たとえば、調理器具の包丁ならば「よく切れる」「他より安価」などの特徴が機能的ベネフィットである。
情緒的ベネフィット
製品やサービスを利用したり所有したりすることによって、顧客が得られるプラスの感情のことを指す。その感情は、安心感や感動、優雅さなどだ。たとえば車であれば、複数オーナーが所有していた30万円の中古車よりも、新車かつ300万円の車の方が、安全への信頼性が高く、高級感があり所有をしていて充足感を味わうことができる。
自己表現ベネフィット
その製品やサービスを所有したり利用したりすることによって、顧客が自己表現を達成できると感じる、もしくは、理想の自分に近づくことができると感じることができることだ。
具体的な例としては、流行とは異なるデザインの古着屋にある一点ものの洋服を買うことなどだ。その製品やサービスの取得や利用によって、自分が自分らしくいられると感じられるかどうかが、この自己表現価値における大きなポイントである。
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価値をプロダクト側と顧客側の両方で構造的に捉えることで、どの提供価値が顧客価値のどこに結びついているのか、結び付いてる価値は強みとなっているのか、どこを強化すべきなのかが見えやすくなる。たとえば、顧客の求める自己表現ベネフィットを実現するために、現状で不足しているスペックや価値を向上させるような付随機能がないかなどを探してみると良いだろう。また、競合他社の分析も合わせて行えれば、自社製品の状況の理解促進にもつながる。
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それでは、実際に価値を高めるためにはどのようなことをすれば良いのだろうか。価値は、得られるメリットからコストを引いたもののため、メリットとコストを分けて考えるとわかりやすい。
価値の差分を大きくするためにできることの1つめは、顧客の払うコストを下げる方法である。コストを下げると聞いて思い付きやすいのが、価格を下げることではないだろうか。値下げそのものも有効な一手ではあるが、一度値下げしてしまうと元に戻すことが難しかったり、元に戻した際の売り上げに影響が出たりという懸念がある。また、価格競争に陥りやすく、長期的な戦略を基に実行しなければ、ブランド力や商品価値の低下などといった負の連鎖を招くリスクもある。そのため値下げは最終的な手段としたいものだ。
顧客の払うコストは価格だけでなく、購入手続きの簡略化などで購入時の手間や時間を省くこと、また購入の決断に必要な情報を顧客が得やすい状態にするなども顧客の払うコストを下げることにつながる。まずは現在の自社製品やサービスの何がコストになっているのかを検討することから始めてみると良いだろう。
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製品やサービスの品質や機能を高めることも重要なことだが、価値を高めた状態で維持していくためにはブランド価値を上げることも大切である。ブランド価値は、所有や利用によって満足感や優越感を与える要素だ。性能や機能などで製品同士の差異が大きくない場合に、購買の決め手となるものである。つまり、ベネフィット3分類にあったように、機能的ベネフィットだけでなく、情緒的ベネフィットや自己表現ベネフィットにも目を向けて考えていく必要があるのだ。そのためには、そもそも顧客が製品やサービスを通じてどのような欲求や目的を満たしたいのかなどの顧客理解を深めていくことが大切であり、これまで以上に顧客に寄り添った視点を養う必要がある。
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「付加価値」とは、自社の製品やサービスにつける独自の価値のことだ。他の企業にはない自社ならではのこだわりを持つことによって、市場でのポジションを守ったり、確立したりすることができる。つまり、付加価値が他社よりも優れていれば、価格が高くても選ばれる可能性があり、価格競争から逃れる手段にもなるのだ。市場における付加価値を高めるためには、「新製品の開発」と「新市場の開拓」の2つの方法がある。
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新しい製品やサービスの開発は、付加価値を生み出すための方法の1つだ。自社にしかない製品づくりが他社との差別化になるためだ。付加価値の高い製品を創出するためには、アイデア出しや戦略立案のフェーズでも付加価値を意識することが重要だ。また、将来の世の中で何が起きて、何が顧客に受け入れられるのかの予測が難しいなかで製品開発を行っていくためには、最小限のコストで仮説と検証を繰り返すリーンスタートアップやアジャイル開発などの手法も有効な手の1つである。
リーンスタートアップやアジャイル開発については以下の記事を参照にいただきたい。
「リーンスタートアップとアジャイルの違いは?分かりやすく解説!」
新市場の開拓も付加価値を生み出す方法となる。新たな市場で顧客の囲い込みに成功すれば大きな利点となるためだ。しかし、どこの市場も飽和した状態となっている日本の市場で、新しい市場を開拓することは困難であることも事実だ。とはいえ、急速に変化する社会環境や顧客ニーズによって、ポジティブな変化が起こり新たな市場が生まれるチャンスもある。そうした変化にいち早く気が付くための情報収集を常日頃から行っておくことが望ましい。
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「価値」とはどういうもので、どのように製品やサービスの価値を高めれば良いのかをわかりやすく資料にまとめました!
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ここでは付加価値を高めることに成功した企業をいくつかご紹介する。
株式会社ジンズホールディングスは「ジンズ」の名で広く知られており、ジンズは2011年にブルーライトカットの機能を持った眼鏡「JINS PC」を販売開始し、現在はブルーライトカットの眼鏡は販売本数の約3割を占めている。従来の視力を矯正する役割に目の保護やファッション性という異なる価値を付加したことで、普段眼鏡をかけない顧客層にもリーチすることができた例だ。
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株式会社バルカーは、ガスケットやパッキンなどのシール製品、半導体製造機器やプラントの配管などの内張等に使用するフッ素樹脂加工品を販売する企業である。シール材は国内シェアトップを誇り、質の高い製品というだけでなく、シール製品の選定や正しい利用方法、メンテナンスなどといったサービスを提供しており、顧客への提供価値を高めることができている。製品のみならずサービスで付加価値を高め、他社との差異化に成功した事例だといえる。
花王株式会社は、化粧品、スキンケアやヘアケア、ヒューマンヘルスケア、ファブリック&ホームケア、ケミカルの5事業分野を持つ企業である。高齢世代を中心に人気があった洗濯洗剤「アタック」のブランドイメージを刷新するため、従来品の生産を終了し、若年層でのシェア獲得のため、製品ラインナップを顧客ニーズに適したブランドイメージへ変更した。また、従来の液体洗剤の容器ではなかったプッシュ式を採用している。新たな顧客開拓と高付加価値に成功した事例である。
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この記事では、「価値」を構造的な要素に分解し、価値をどう高めていくべきなのかを確認した。この記事の内容を参考に、ご自身が担当する業務のなかで現在取り組んでいるものが、どのような顧客価値につながっているのかを意識してみることから始めてみてはいかがだろうか。