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プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)とは?活用方法をわかりやすく解説

プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)とは?活用方法をわかりやすく解説

プロダクトライフサイクルは有名なマーケティング用語だが、事業戦略や研究開発に携わる方であれば耳にすることもあるだろう。

近年は、顧客や市場のニーズ変化、技術の発展速度の向上などを要因としてプロダクトライフサイクルは短縮化されつつあり、多くの企業がその対応に迫られている。長期にわたり、事業や会社を存続・成長させるためには、どのような視点が必要なのだろうか。

本記事では、改めてプロダクトライフサイクルの概念の解説とともに、それぞれのステージにおける適切な戦略についてご紹介する。

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 プロダクトライフサイクルとは?

プロダクトライフサイクルとは、企業の製品やサービスが市場に導入されてから、衰退するまでのプロセスを体系的にまとめたモデルのことをいう。製品ライフサイクルやPLCと呼ぶこともある。この概念は、1950年にアメリカのコロンビア大学教授で、経営学者であるジョエル・ディーン氏が論文で発表したものを起源としている。その後「現代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラー氏が2002年に書いた著書『マーケティング・マネジメント』で言及したことで、一躍世界的に広まることとなった。

プロダクトライフサイクルでは、製品や市場の成長プロセスを「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つに分類している。プロダクトライフサイクルを用いることで、現在自社の製品やサービスがどのプロセスにいるかを客観的に理解でき、次の打ち手や戦略を立てることに役立つ。

 プロダクトライフサイクルの短縮化が進んでいる?

プロダクトライフサイクルの短縮化というキーワードは、製造や研究開発の分野のみならず、あらゆる業界で言及されるようになっている。短期化が進んでいる原因は大きく2つだ。

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 技術の発展速度の向上

振り返れば、携帯電話、通称ガラケーと呼ばれる製品が日本で登場したのが1999年ごろ。そこから、わずか10年後の2008年にスマートフォンが発売された。さらに、現在の2023年までの10年間で、デバイスはより小型化・高度化し、今ではウェアラブルデバイスのスマートウォッチやスマートグラス、IoTの登場と、めざましい技術進歩を果たしている。

また別の例では、従来であればイラストを描画するためには専用ツールが必要だったが、デジタル技術の進展によって多様なWebサービスが登場し、今や特定のキーワードを指定すれば、それに近しいイラストをAIが、しかも無料で描画してくれる世界へと変容した。

このように、今は専門性の高い製品やサービスであったとしても、技術の進化によってすぐにコモディティ化しやすくなっているのだ。

 顧客や市場のニーズの多様化・複雑化

この現象の背景には、グローバリゼーションなどの諸要因が複合的に絡まって生じているとみられるが、その中でも通信技術進歩が大きな影響を与えていることは間違いないだろう。

従来のようなマスメディアの発信のみではなく、インターネットを介してさまざまな商品の情報を簡単に入手できるようになったことから、これまで目にすることがなかった商品やサービスを知る機会が格段に増えた。多くの情報に触れるようになったことで個人の趣味嗜好が広がり、顧客のニーズが多様化したのだ。その多様性に商品やサービスを開発する側である企業は応えられなければならなくなった。

経済産業省による調査によれば、10年前と比較して製品ライフサイクルがどのくらい変化しているかという設問に対して、すべての業種で「短くなっている」と回答した企業が多いことがわかる。特に「電気機械」は 34.7%、「化学工業」は 30.2%が「短くなっている」としており、プロダクトライフサイクルの短縮化が進んでいる様子がうかがえる。

 プロダクトライフサイクルを把握するメリット

プロダクトライフサイクルを把握することで、どのようなメリットを享受できるのだろうか。大きく以下の3つが挙げられる。

 最適な事業戦略の立案

先に述べたように、プロダクトライフサイクルは大きく「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」のプロセスに分類される。現状、自社の市場が、どのフェーズにあるかを把握することで、より最適な事業戦略を立案することが可能となる。

 撤退のリスクを最小限に抑えられる

扇風機や炊飯器などの生活必需品は、新機能の追加や小型化はあっても市場そのものが衰退することはない。このように、一部プロダクトライフサイクルに当てはまらないものもあるが、多くの市場は黎明期から始まり成長し、やがて成熟を迎えて衰退の道を辿る。

特に市場が成熟しきっているタイミングは、すでに競合が多く参入しており飽和状態となっている。このような状況下では、ユーザーのニーズの変化や、他のマーケットに飲み込まれる形で需要が低減するなどにより衰退期のプロセスへ移行する。

プロダクトライフサイクルを理解しておけば、衰退期に移行する前に適切なタイミングで戦略的撤退を実現でき、リスクを最小限に抑えることができる

 業態転換など「次の一手」を立てられる

業態転換をするには長い準備期間が必要となる。それこそ市場が成熟する前に次の一手を打ち出さなければ、過当競争に巻き込まれ、たちまちにして企業の資本は削られてしまう。

しかし、業態転換やイノベーションが起こる過程では、イノベーションのジレンマという壁が立ちはだかる。これは、既存事業の成長を維持するあまり、新しい技術や製品開発がおろそかとなり、結果として後発の参入企業に後れを取ってしまう事象を指す。

業態転換を果たすには、既存事業を維持しつつも未来の事業の核となる研究開発への投資を積極的に行い、着々と転換へのタイミングを図るべきである。

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 プロダクトライフサイクルに欠かせない「イノベーター理論」とは?

プロダクトライフサイクルを押さえるうえで重要な概念がある。それがイノベーター理論だ。イノベーター理論とは、1962年にアメリカのスタンフォード大学の教授、エベレット・M・ロジャース氏の著書『イノベーション普及学』で言及した理論で、価値観や行動などで消費者を5つのタイプに分類し、市場に新しい製品やサービスが浸透するプロセスを表している。以下では、イノベーター理論で示される5つのタイプをそれぞれ詳しく解説する。

 イノベーター

最初期にサービスや製品を利用する層のこと。市場全体の約2.5%を占める。非常に情報感度が高く、新しいものを積極的に受け入れる傾向がある。

 アーリーアダプター

イノベーターに次いで、新しい製品やサービスにアンテナを張っている層。イノベーターと同様、トレンドに非常に敏感。割合では市場全体の約13.5%を占める。

 アーリーマジョリティ

ブリッジピープルとも呼ばれる。イノベーターやアーリーアダプターに比べると、新しいものを受け入れることには慎重だが、関心はきわめて高い。市場全体の約34%を占め、商品やサービスを市場に浸透させる重要なレイヤーとして位置付けられている。

 レイトマジョリティ

新しい製品やサービスに対して慎重な姿勢を示す層だ。市場全体の34%を占める。周りの動向を確認してから購入する傾向があることから、フォロワーズとも呼ばれている。

 ラガード

5つの分類で最も保守的な層を指す。伝統主義者とも言う。新しい製品やサービスに懐疑的であり、文化に浸透するレベルに到達してはじめて導入の検討を始める。割合は市場全体の16%を占めている。

 キャズム理論について

イノベーター理論を語るうえで外せないのがキャズム理論だ。アメリカのコンサルタント、ジェフリー・ムーア氏が提唱した理論で、イノベーター・アーリーアダプターと、アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ・ラガードの間には大きな溝が存在し、ここを乗り越えられない限り、メインストリームに普及・浸透しないと定義している。

このキャズム理論をプロダクトライフサイクルに当てはめて考えると、イノベーター・アーリーアダプターは「導入期」に大きく貢献する層といえよう。つまり、裏を返せば、アーリーマジョリティ以降の層にまでサービスや製品が浸透していれば、市場が成熟しているという証になる。

 プロダクトライフサイクルにおける4つの成長段階と戦略

ここまでイノベーター理論やキャズム理論など、プロダクトライフサイクルを補完する概念を解説した。ここで再度、本題に戻ってプロダクトライフサイクルの根幹である4つの成長段階、そしてその段階ごとで適切な戦略について深堀りしていく。

 1.導入期

市場の初期段階で、いわゆる黎明期だ。市場そのものがこれから創出されていく段階であり一般にも認知されていない。そのため需要も小さく売上も少ない。

<適切な戦略>

このフェーズでは、研究開発だけでなく認知拡大にも積極投資することが肝要といえる。いち早くイノベーターやアーリーアダプターにリーチできるかが、市場獲得競争の勝負の分かれ目となるだろう。

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 2.成長期

認知が拡大し市場が伸長するため、後発企業の参入も増えてくるだろう。各社が強みを活かしたサービスや製品を開発するようになるため、ユーザーのニーズも多様化していく。

<適切な戦略>

市場の規模が拡大するため売り上げは伸びるが、戦況を見誤ると後発の競合企業にシェアを奪われる恐れも出てくる。需要拡大に合わせ、製造体制の整備・拡充、販路の拡大はもちろん、他社との差別化や製品の改良なども行う必要がある

 3.成熟期

市場の成長が鈍化し、各社の売上や利益が頭打ちになる段階がこの成熟期にあたる。類似した製品が増えるため、差別化を図るべく価格競争が起こるようになる。

また、顧客のニーズに応えるあまり要求以上の高品質で高性能な製品やサービスが乱立し、顧客ニーズとの乖離が起こる「オーバーシューティング(過剰解決)」という現象が生じる。

オーバーシューティングについての詳しい解説は以下の記事がおすすめだ。
解説記事を読んでみる

<適切な戦略>

市場が成熟しているため大半のニーズは充足された状態になっている。そのため原点に立ち戻り、ユーザーの本質的な課題を見極めることが重要といえよう。価格競争から離れ自社のブランド価値を高める方向に舵を切ることが大切だ。

 4.衰退期

衰退期では市場が縮小していき、売上や利益が減少していく。シェア上位企業を除けば、広告や研究開発に割く投資の余力は残されていないだろう。

<適切な戦略>

最終的には、撤退するかイノベーションを生み出すかの2択しか生き残る道はない。目先の戦略としては、コストを下げながらも既存顧客の維持を行いつつ、撤退も見据え業態転換などの戦略を立案していく必要があるだろう。

 まとめ

CMでよく耳にしていたチューインガム。「クールミント」「キシリトール」などのブランドは爆発的なヒットを生んだが、2007年をピークにガム市場は縮小し、2023年3月には主力メーカーである明治がガム事業からの撤退を発表した。

成長期、成熟期の最中にいると、未来永劫、市場が成長すると錯覚しがちで正確に自社が置かれている現況を把握することは難しい。しかし、冷静に見極めなければ気がついたときには市場が衰退に向かっており、手遅れになることは十二分にあり得る。

今一度、本稿で紹介したプロダクトライフサイクル、そしてイノベーター理論を活用しながら、中長期的な事業戦略を考えてみてはいかがだろうか。

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参照記事
第3節 市場の変化に応じて経営革新を進め始めた製造企業
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2016/honbun_pdf/pdf/honbun01_03_01.pdf