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再生可能エネルギーの現状の課題と問題点とは?今後行うべき対策について

再生可能エネルギーの現状の課題と問題点とは?今後行うべき対策について

いずれ枯渇の危機が迫る化石燃料から脱却し、再生可能エネルギーを主力電源にしようという動きが世界で活発化している。しかしながら、日本は地震や噴火、洪水、台風といった災害が多く、かつ島国であることから、隣国同士で送電線を通して融通しあうことができない。そのため、欧州などと比較すると、コストが高い、電力供給が安定しないといった課題が存在する。

本記事では、日本が抱える再生可能エネルギーの普及における課題と対策について解説したい。

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 再生可能エネルギー(自然エネルギー)とは?

再生可能エネルギーとは、枯渇することなく永続的に利用できるエネルギーのことを指す。「自然エネルギー」や「グリーンエネルギー」とも呼ばれる。温室効果ガスを排出しないため、化石燃料を代替するクリーンなエネルギーとして注目されている。代表的なものとして、水力発電、太陽光発電、バイオマス発電、風力発電、地熱発電、太陽熱発電などが挙げられる。

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 日本における再生可能エネルギー(自然エネルギー)の現状

まず、現状で日本が直面しているエネルギー問題について取り上げていきたい。

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 日本のエネルギー自給率は10%台

その最たるものがエネルギー自給率の低さだ。日本のエネルギー自給率は、2021年度は13.3%とほかのOECD諸国と比較しても38ヵ国中37位と低い水準にとどまっている。

なお、石炭・天然ガス(LNG)・石油などの化石燃料は海外からの輸入に依存している状況で、2022年度では、石油は90%以上を中東、石炭・天然ガス(LNG)は70%以上をアジア・オセアニアから輸入している。

※OECD…経済協力開発機構。ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関。

 化石燃料の割合は80%以上、再エネはわずか10%

もうひとつの問題は化石燃料への依存度が高いことだ。2022年度の一次エネルギー供給構成は化石燃料が83.5%で、再生可能エネルギーはわずか10.3%に過ぎない。水力発電や原子力発電を合わせても、16.5%と全体の20%にも満たないのが現状だ。

2023年に資源エネルギー庁が発表した調査によれば、再生可能エネルギーによる電源構成の内訳については、太陽光発電が最も多く9.2%、次点が水力発電で7.6%、その後にバイオマス発電は3.7%、風力発電が0.9%、地熱発電が0.3%だった。

2030年度までには、再エネ比率を36〜38%まで拡大させて主力電源化させるとしており、現状で山積する課題解消と積極的な普及に向けた動きをしていくことが急務となるだろう。

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 日本が直面する再生可能エネルギー(自然エネルギー)の課題や問題点

日本が再生可能エネルギーを主力電源化させるためには、現在直面しているいくつかの課題や問題点を解消する必要がある。

 電力の安定供給が難しい

再生可能エネルギーは電力の安定供給が難しい。その理由としては、日本の国土の特性に大きく関係している。日本の地理は南北に細長く伸びており、気候の特徴は地域によってさまざまだ。また、日本には四季があり、年間日照時間は世界平均の約2,500時間と比較すると約1,850時間程度と短い。

また、周りが海で囲まれた島国で、欧州諸国のように送電線を介して供給しあうことが難しい。これらの要因から安定的な電力供給が難しく、ほかのOECD諸国と比較して普及がなかなか進まないのだ。

 設置場所が限られる

日本は国土が狭く、また山地の面積が国土のおよそ75%を占めている。さらに、日本は台風、豪雨、豪雪、地震といった災害が多い国であるため、現実的に施設やプラントの設置・建設ができる場所も限られてしまう。

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 発電コストが高い

先に述べた日本固有の地理や天候の問題から、大規模な施設の建設・運用を行おうとすると、どうしてもコストが高くなる傾向にある。技術発展やFIT制度などの導入などにより、少しずつコストは安くなっているものの、先進諸国と比較しても買取価格別でみると太陽光で2倍近く、風力で3倍近くの開きがある。

 電力系統の制約がある

また、上記の電力の安定供給やコスト面などを解消しても、物理的に電力系統に空きがないことが問題視されている。電力系統とは、発電設備や送電設備、変電設備、配電設備などの電力生産から消費までを行う一連の設備全体を指す。現状では、公平性の観点から電力系統への接続は先着順となっているため、電力系統の新設や増強を行うことが必要となるが、そうすると事業者と利用者が負担するコストが高くついてしまう。

 エネルギー変換効率が悪い

化石燃料を用いた火力発電のエネルギー変換効率は35〜43%程度とされている。日本でも古くから利用されている水力発電は80%と高いが、ほかの再生可能エネルギーの風力発電は約25%、太陽光発電は約10%、地熱発電は約8%、バイオマス発電は約1%と変換効率が悪い。

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 再生可能エネルギー(自然エネルギー)の課題解決に向けて行われている対策

近年は、再生可能エネルギーの普及において障害となる課題を解消するために多くの対策がなされている。

 電力系統の増強や整備

電力系統の新設には多大なコストがかかる。そこで現在試みられているのがコネクト&マネージだ。コネクト&マネージとは、非常時用に空けている容量や、最大発電量を下回る時間帯などのすきまを活用する仕組みで、主にイギリスなどで導入されている。ノンファーム型接続とも。

2021年1月から運用が開始され、従来の先着順の接続ではなく系統の容量があるときにそれを活用する柔軟な新しい方法だ。ただし、系統の容量が少なくなった際には出力制御がなされるため、今後は「安全を最優先に、電気を安定的に、できるだけ安い価格で、環境に配慮して提供することが重要である」という考え方である、S+3Eを考慮したメリットオーダーによる供給方法の検討が議論されている。

 次世代型太陽電池の開発・量産化

先に述べたように、現状で再生可能エネルギーのなかでもっとも普及しているのが太陽光発電だ。しかしながら、設置コストや発電量の安定性などの面で課題を抱えている。これらの課題を解消すべく、塗布技術や印刷技術で作製が可能なペロブスカイト太陽電池などを筆頭とした次世代型太陽電池の開発が行われている。現在、ペロブスカイト太陽電池のエネルギー変換効率は30%近くにまで到達しており、主力電源である火力発電に追い付く勢いだ。

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 オフサイトPPAの普及

PPAとは、Power Purchase Agreementの略で、企業や自治体が再生可能エネルギー発電事業者(PPA事業者)と売電契約を直接締結する仕組みのことをいう。PPAには大きく「オフサイトPPA」と「オンサイトPPA」の2種類がある。

このうち、オフサイトPPAでは太陽光発電設備の建設や運用にかかるコストは発電事業者が負担するため、企業や自治体は初期費用やランニングコストがかからない。そのため、再エネ電力を長期的に安定した価格で調達することが可能となる。

 蓄電池の活用

蓄電池とは、一回限りではなく充電をすれば何度も利用できるバッテリーのことだ。天候に左右されやすい風力発電や太陽光発電で使いきれない余剰電力を蓄電池に貯めることで、再生可能エネルギーが抱える課題のひとつである電力の安定供給を実現できるとして期待されているのだ。また、日本は地震や台風などの災害も多く発生するため、緊急時の電力確保としても有力視されている。

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 まとめ

エネルギー変換効率や発電コストといった技術的課題に着目しがちだが、電力系統の制約緩和など既存ルールの整備やアップデートなど、解決しなければいけない課題は未だ多く残されている。

再生可能エネルギーの普及はほかのOECD諸国と比べると出遅れているものの、ある意味ビジネスチャンスと捉えることもできるだろう。政府は、2030年度までに再エネ比率を36〜38%とする目標を掲げていることから、今後さまざまな緩和政策を打ち出すことが考えられる。再エネに関する政策や動向に常に目を光らせ、商機がないかチェックすることが肝要だ。