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製造業の用途開発のアプローチ方法とは?ビジネスチャンスを生み出すために必要なこと

パズルを持つ手の画像

製造業において用途開発は事業拡大の要である。新しい価値や、新たなビジネスモデルの創出が求められる現代において、用途開発の重要性は増している。しかし、用途開発をどのように進めたらいいのか、自社技術をどのように生かせるのか見出せていない企業も多いのではないだろうか。

この記事では用途開発へのアプローチ方法や、成功事例、用途開発でのポイントなどを紹介する。

事業創出の鍵を握る「用途開発」でビジネスチャンスを拡大する!
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 用途開発の意義とは?

技術や製品などの新たな用途での活用方法を、探求し見つけることを用途開発と言う。たとえば「サラダチキン」は鶏胸肉を茹で薄く味付けしたものである。本来はサラダのトッピングやダイエットフードとして利用されるのだが、最近は「ペットフード」として売れている。サラダチキンは薄味で、犬や猫でも問題なく与えることが可能で、ペットフードに比べ価格が安い。そしてコンビニで売っていることもあり入手しやすいということから、ペットフードとしての需要が高まっており、今後の成長性も高いと見込まれる。この例と同じように日常生活の中でも、製品を正規の使用方法と別の用途で試してみたら案外使い勝手がよかったという経験をされた方も多いのではないだろうか。このように別の側面から新たな用途を見出すことが用途開発である。

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 ビジネスチャンスの拡大

技術が磨かれ、その技術の別の用途を見つけることができれば、新たな顧客層や市場をターゲットとしたり、新しい事業や、未開拓の新たな分野に挑戦したりすることができる。新しい業界の先駆者になることもあるかもしれない。用途開発によってビジネスチャンスはいくらでも広がると言える。

またサラダチキンの例のように、本来の用途やターゲットに向けて開発したものが思いもよらぬ需要が生じるパターンもあり得る。それだけを狙うのは難しいが、想定外の需要の発生を見逃さず、いかに次につなげられるかが重要だ。

 必要とされる「技術」とは

求められる製品とは「課題を解決できるもの」だ。製品の価値はいかに問題を解消できるかにあると言える。優れた技術があれば、機能性の向上、新しい機能や技術の追加、製品そのものの耐久性やデザイン性の向上など、製品に高い付加価値を与えることができる。技術は製品開発に欠かせないものである。しかし、求められていない課題を解決できる製品を作ったとしても、高い価値のある製品とは言えない。重要なのは、技術と製品、さらにその先にある顧客のニーズをつなげて考えるかどうかなのだ。

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 自社技術の棚卸し

用途開発をする上でまず行う必要があるのが「自社技術の棚卸し」である。自社の技術がどのような業界で活用できるのか、どのような課題を解決できるものなのかなどを洗い出し、自社技術がどのようなものであるかということを再度確認するのだ。自社技術を正しく理解できていなければ、新たな分野への技術の転用はできない。

自社技術の棚卸しをする際に、自社の技術、またはそれに類似した技術が使われている製品を分析することが有効だ。「その技術が必要である理由」や「その技術でなければできないのかどうか」、「他の技術で代替えができるのか」などさまざまな視点から深掘りを行う。技術の棚卸しをじっくり行い自社技術の強みや競合との差を知ることで、可能性や目指すべき方向性を見出しやすくなる。

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 用途開発アプローチ

用途開発には2通りのアプローチ方法がある。1つは自社で発見するという方法、もう1つは自社以外に発見してもらうという方法である。

 自社で発見する

用途開発での最大のポイントは、「製品やサービスの課題」を見つけることにある。自社で発見するには、最初に行った技術の棚卸しで把握した自社技術で解決できる課題と、同じ課題を持つ別の製品やサービスを探すことがおすすめだ。他社の課題も自社技術で解決できる可能性があるためだ。また、他社の製品やサービスを別の角度から調査することで、用途開発のヒントとなることもある。しかし、同じ課題を持つ製品やサービスをすぐに見つけられるわけではない。日頃から幅広く情報収集を行い、製品の構造や機能などの知識を得ておく必要がある。

 自社以外(顧客や他社)から発見してもらう

もう1つのやり方は、サラダチキンの例のように顧客から新たな用途を見つけてもらうことや、他社に見つけてもらう方法である。顧客に見つけてもらうのは狙ってできることではないが、他社による発見を促すことはできる。

他社に見つけてもらうためには、自社の技術がどういったものであるのか、強みはどこにあるのかなどを説明した資料を作成し、多くの人に知ってもらえるようオープンにする必要がある。資料は、他業界の技術者でもわかりやすくすることと、技術を活用するときのイメージがしやすいようにすることが重要だ。技術に関する資料を公開することで、この技術を求める相手から問い合わせが来るだけでなく、技術資料に興味を持つ人の傾向や、どのような情報を求めているのかがアクセスデータから得ることができる。

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 用途開発の事例紹介

実際に用途開発を行うことでどのような結果が得られたのか実例を紹介する。今回紹介する事例は「3M」と「富士フイルム」である。

 3M

3M(3 M Company)はポスト・イットなどの事務用品で馴染みが深い企業である。大ヒット製品であるポスト・イットも最初から作ろうと思ってできたものではなく、強力な接着剤を開発しようと研究する過程で生まれたものだ。「良く付くが、簡単にはがれる」という特徴を持った接着剤に興味を持った研究者は、社内のあらゆる部門に使い道を相談し、趣味の領域での研究や情報共有を行っていた。その話を聞いていた一人が、礼拝に訪れた際に挟んであったしおりが落ちるのを見たことから、接着剤をしおりに活用することを思い付いたと言う。

つまり、本来の目的ではないものであったとしても、技術の特徴に着目し、情報収集や共有を行うことで良いアイデアが生まれるきっかけを作ったのだ。

用途開発や用途探索に欠かせない、アイデアの生み出し方や考え方についてのポイントは、ぜひこちらの記事をご覧いただきたい。

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 富士フイルム

富士フイルム(富士フイルム株式会社)は幅広い分野の基盤技術を蓄積している企業であり、ヘルスケアや高機能材料、光学デバイス、グラフィックシステム・インクジェットなど様々な事業を行っている。今回成功事例として紹介するのは「ヘルスケア」事業である。富士フイルムのフィルム事業の根幹であった抗酸化技術を突き詰めることで、それを人間の肌に応用する化粧品事業に生かせるのではというアイデアが生まれたのだ。

満を持して市場投入したはずの初の化粧品は、まったく上手くいかず売上は伸びなかった。しかしそこで諦めることなく、唯一売れた製品の調査を行った。分析を行っていくうちに、ブランドへの信頼と技術への期待から購入につながり、効果を実感してくれたのではという仮説を立てた。顧客にとっての商品価値を考え直し、商品企画や開発などの根本から変えたのだ。つまり、顧客に求められる商品を作るには、顧客や市場から学ぶ姿勢が必要だと考えたのだ。この学びをもとに開発されたのが「アスタリフト」で、同製品はスキンケア化粧品分野で業界トップ5に入ると言われるほどの成功を収めた。

富士フイルムの元副社長兼CTOの戸田氏は「製品ライフサイクルに終わりがあるのは仕方がないことだ。しかし、商品を通して得られた技術や知識、経験には寿命はない。うまく転用することで生かし続けられる」と語る。自社技術の棚卸しを行い、強みがどこにあるのかをしっかりと把握することで、技術の特徴を生かせる事業領域を見定めることにつながるのだ。

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 ニーズに応える製品化のための情報収集

用途開発では情報収集が欠かせない。情報収集の手段としては論文や特許情報を調査することが多いのではないだろうか。しかし、VUCAという先行きの不透明な時代において、顧客や市場のニーズは急速に変化し、製品のライフサイクルも短命化している。そうした背景により、自社技術の延長線の用途開発だけではなく、より顧客や市場ニーズに結びつけた用途開発を行っていかなければ、競争上の優位性を得ることはできない。それは富士フイルムの例からも読み取れたのではないだろうか。

激化する競争を勝ち抜くためには、ニーズや競合の動向を追うことはもちろんだが、他業界の取り組みやスタートアップなどのユニークな取り組みなどの多くの情報を取得していく必要がある。このような情報は、情報鮮度が高い必要があり、今までの収集領域であった論文や特許情報などでは得られない情報だ。こういった鮮度の高い情報はオープンデータを活用することが有効だ。つまり、これまでの情報収集に加えて、新たな領域の情報も取得していくことが求められる時代となっており、より高度な情報収集力と分析力が必要となっているのだ。

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 まとめ

用途開発では、自社技術を見直し、既存商品の新たな価値や顧客ニーズと結び付けて考えることが非常に重要だ。技術と知識、経験をさらなる次の製品や事業につないでいくためには、技術や製品の理解を深めることだけではなく、社会情勢の移り変わり、顧客や市場ニーズ、他業界を含めた競合の動向など、さまざまな情報に触れ、蓄積しておくことが大切なのだ。

急速に変化する状況と膨大な情報の波から、必要とする情報を適切なタイミングで捉えるために、今こそリサーチ力が必要とされている。人力だけではなし得ない網羅的な業界リサーチを行うAIを活用した事例として、以下の記事もぜひ参考にしていただきたい。

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