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要素技術で差をつける!製品開発を加速させる要素技術開発の考え方とは?

要素技術で差をつける!製品開発を加速させる要素技術開発の考え方とは?

多くの企業が他社と差別化した製品開発を標榜する中、製品を構成する要素技術の開発は製品ロードマップや現場の開発方針に大きな影響を与える重要な観点だ。1つの技術領域が複数の事業領域に対して影響をもたらす現在の事業環境において、開発している技術が陳腐化してしまうこともあるだろう。

一方で、要素技術開発をうまく推し進めることができれば、製品の差別化につながり、長期的には企業の技術的な強みとなる可能性を秘めている。このような中で、どのように要素技術開発を検討するべきなのか。今回の記事では、要素技術とコア技術の違いや、開発方針の策定について解説する。

自社の強みである技術を活かした製品作りには「マーケティング」の視点が欠かせない! 技術と市場をつなぎあわせるマーケティング思考についてわかりやすく解説!
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 要素技術とは?

「要素技術」は製品やサービスを構成するための、基本的な個々の技術のことを指す。これらの技術は単体で使用されることもあるが、多くの場合では要素技術を組み合わせることによって、複雑な製品やシステムを構築するために活用されている。

例えば、最先端技術の集約であり、様々な技術が組み合わせられて構築されている「ロボット」においても要素技術は以下の4つの技術に集約されると言われている。

ロボットを構成する要素技術
1.人工知能
2.センシング
3.制御
4.駆動

1つの製品を開発していく中で、これらの要素技術を開発し発展させていくことによって製品そのものを他社と差別化や模倣困難性を高めることが可能になる。また、こういった要素技術は異なる産業や市場での用途開発への期待もできる。

このような観点で、要素技術の開発は重要であり、特に自社事業の継続的な成長においては、基盤となる技術領域として位置付けられ、企業の中長期的な競争力の源泉となるのだ。

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 コア技術と要素技術の違い

一方で「コア技術」という概念もある。両者ともに製品やサービスを構成する技術の一部だが、その位置付けや役割に違いがある。

コア技術とは、自社が明確に競争優位性を有する技術であり、各事業の中核を担う技術のことを指す。製品やサービスの競争力を決定する技術であり、どの技術をコア技術として考えるかは、企業の特徴や強みを表すのだ。

近年、コモディティ化やモジュール化が進む中で、コア技術の特定に向けた技術の棚卸しや評価に関しては多くの企業が取り組みを進めており、中長期的なコア技術の開発戦略を掲げることも合わせて重要になっている。

要素技術は、製品やサービスの性能・機能・品質・コストなどを決定づける重要な要素であり、前段で述べた通り重要度は高い。ただし、これらの技術単体では事業における競争力を決定するキーテクノロジーとは言えず、あくまでも技術の集合体として製品の差別化や模倣困難性を高めるものである。

また、ある企業においては要素技術となっている技術が、別の企業においてはコア技術として設定されていることもある。技術がコア技術であるか要素技術であるかは、製品やサービス、またその企業のおける技術的な考え方によって決まるのだ。

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 要素技術の開発方針を決めるための2つの視点

要素技術の開発が重要である中で、どのように開発の方向性を決めるべきなのかというお悩みをお持ちの方も多いだろう。ここでは、開発において検討するべき点をご説明する。

 製品やサービスの未来から考える

要素技術は製品やサービスを構成する技術である。すなわち、特定の製品において、中長期的に共通して活用されることが想定される技術群が要素技術と定義されているはずだ。一般的な製品開発では、特定の1年から3年といった期間での製品開発ロードマップに従って、目標とされる仕様を実現するための技術開発を行う。

要素技術は更に長いスパンでの視点で、どのように製品が進化していくのか、その上で必要とされる技術は何なのか?という観点で、製品やサービスの将来像を想定しながら、必要な技術の開発に投資を行っていくことが重要となるのだ。

 技術の未来から考える

また、技術の未来から検討を行うことも一つの手段だ。既に要素技術として設定されている技術群に対して、それぞれの技術がどのように発展していくかを考え、技術の発展可能性の中で、自社に必要とされる部分を開発に落としていく考え方だ。

各研究機関の先行研究や公表論文、特許情報やグラント情報などの技術動向を幅広く追いながら、自社の要素技術とされる技術領域がどのように発展していきそうなのか、その中でも自社技術と親和性が高く、勝ち残っていく領域はどこなのか、このような観点で検討を行うことで、競合優位性のある要素技術の開発が可能になるのだ。

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 「未来のあるべき姿」から考えるバックキャスティングの思考法

前述の2つの考え方に共通するのが、未来を考えるという視点である。ここでは、その一助になるような、バックキャスティング思考をご紹介する。

バックキャスティングとは、「未来のあるべき姿」を思い描き、その未来像から現在に遡って、何をすべきかを思考する方法だ。対義語として、フォアキャスティングという言葉が挙げられるが、こちらは未来を現在の延長として捉える思考法である。

フォアキャスティング思考で物事を考えると、どうしてもこれまでの経験や情報を根拠に思考するため、確実性が高い解決策を取る傾向が強まり、斬新なアイデアが生まれにくくなる。そのため、発想を飛躍させるためには「バックキャスティング思考」が有用であり、要素技術の開発においては、この思考法で考えることによって、非常に長いスパンでの技術開発方針が立てやすくなるのだ。

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 より良い要素技術開発のための2つのポイント

要素技術の開発方針の策定において、バックキャスティング思考で未来のあるべき姿を描くことに加え、重要な2つの観点をここでは紹介する。

 1.一歩先を行く”顧客ニーズ”を捉える

要素技術開発は、今ない機能の開発において重要な役割を果たす存在であり、製品ロードマップに則した技術開発とは違い、非常に長い目線で検討することが必要だ。

そのような背景の中で、「こういうことは技術的に可能か?」といった顧客からの声や新機能に関する相談を受けることが多いのも事実だ。技術のことだけを考えれば良いわけではなく、技術者の目線と顧客の目線をバランスよく保つことが求められる。

どうしても技術的な観点に目線が行きがちにはなるが、ただ単に高性能な製品を開発するための技術を考案するのではなく、顧客が求める本質的な課題解決やニーズを意識した上で、企画部門や営業部門などの他部署と連携をしながら開発を行っていくことが必要となるのだ。

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 2.コストの観点を意識する

もう一つ意識する必要があるのはコストだ。要素技術は1つの製品やサービスを中長期的に支える共通技術である一方、「本当にこの技術を共通化するべきなのか」という問いを忘れてはいけない。莫大なコストをかけて開発を行ったとしても、永続的に活用がされなければ意味がない。

いざ、要素技術の開発が成功したとしても、将来にわたって長く活用し続けることができなければ、開発費用が無駄になってしまう場合もある。技術に賞味期限があることは、長く開発に携わる方であればあるほど強く痛感するところでもあるだろう。この見極めを適切に行い、開発を推し進めることが重要だ。

 日々の業務と並行して未来を担う要素技術を開発するために

要素技術の開発は他社と差を付けるために、どの製造業企業でも避けては通れないものだ。開発した技術がしっかりと製品を下支えし、その上で顧客に受け入れられるようにするには、バックキャスティング思考で開発方針を策定し、顧客ニーズを捉えながら開発を行っていくことが重要視される。

その反面、自身の専門とする技術領域以外にも、周辺技術領域や市場動向など幅広い知識を有することが求められる。日々の開発を進める中で、これらの情報を追い続けることは難しく、限られた時間の中で対応を行うことの方が多いだろう。

昨今、多くのデジタルテクノロジーによって、マテリアルズインフォマティクスやデジタルツイン、スマートファクトリーなどで、研究・開発・生産といった各工程は効率化されているにも関わらず、こういった見えない業務である「情報収集」はアナログのままとなり、属人化し続けている。

効率的に開発に活かせる情報収集を行うために、学術論文や特許、公開されている先行研究や他社事例をなど、「研究・開発に活かせる情報がワンストップで届く」AIを活用した情報収集プラットフォームの活用も一つの手だろう。

参考記事
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術戦略研究センター(TSC)
「技術戦略研究センターレポート TSC Foresight Vol.7」
https://www.nedo.go.jp/content/100764486.pdf