日本や世界の半導体メーカー・会社・企業【分野別で紹介】
製造業
製造業を取り巻く環境は急速に変化し、用途開発に取り組むもののなぜかうまく行かないとお悩みの方も多いのではないだろうか。この記事では、用途開発のプロセスにおける市場調査フェーズや企画フェーズでの課題や、その課題の根底にある問題点を洗い出し、今後のあるべき姿やすべきことについて解説する。
▶︎用途開発を成功させるための3つのポイントをまとめた資料を配布中!
無料ダウンロードはこちらから
目次
製造業はいま、予測困難で先行き不透明な時代において、ニーズの多様化に伴い先手を打たなくてはいけない状況に立たされている。製品ライフサイクルの短期化や新興国メーカーの積極的な投資による価格面の競争激化、あるいは多数の国内メーカーや他業種からの市場参入による競争の激化で、市場シェアの低下とコモディティ化が加速しているためだ。そのような状況のなか、既存の市場を飛び出し、新たな市場を見つけるための用途開発の重要性は多くの方が感じていることであろう。
▶︎用途開発を成功させるための3つのポイントをまとめた資料を配布中!
無料ダウンロードはこちらから
用途開発プロセスでは、どの工程においても情報を収集して把握することが必要不可欠である。用途開発の情報収集における重要な問いとは、「顧客は誰か」「課題は何か」「技術は何か」だ。既存顧客、現状の課題、現時点で保有する優位な技術の把握はすべての基盤となる情報で本命情報である。しかし用途開発においては、本命情報だけでなく、現在の顧客と類似する顧客、将来の課題、優位な開発可能な技術など、本命の周辺にあたる情報や、今後顧客となりうる急成長企業、他業界の課題、他用途技術の応用などの飛び地的な情報も必要である。つまり、表層で見えやすい本命情報だけでなく、深く潜り込むような情報収集が求められるのだ。一方で、その情報の性質の深さが増せば増すほど情報量が膨大になるため、すべての情報を見切れないというのが現実である。
ここでは現在行われている用途開発の一般的なプロセスと各工程における課題について振り返る。
▶︎用途開発を成功させるための3つのポイントをまとめた資料を配布中!
無料ダウンロードはこちらから
用途開発全体における市場調査プロセスは、大きく分けると「自業界を把握する」「自業界の変化を把握する」「解決すべき課題を発見する」の3つである。以下に3つの工程における現状や課題感をまとめた。
■自業界を把握する
顧客や自社技術、業界に対する理解を深めるプロセス。普段から顧客の課題を耳にしていることや、自業界の知識も十分あると思えることから、改めて自業界を俯瞰して分析することが少ないのではないだろうか。
■自業界の変化の把握
最新の技術情報は経済誌や業界誌、GoogleアラートやRSSフィードなどから追っているものの、得た情報を整理せずに単発的な収集に留まっているため、変化を明確に捉えられていない。また、情報量が増え続けることによって、なかなか必要な情報に辿り着きにくい課題もある。
■解決すべき課題の発見
幅広い領域の用途開発を考える際に全体感が分からず、膨大な情報を前に参入企業や課題、解決策を見つけられない、あるいは非常に調査に時間がかかっている。
調査プロセスの現状を確認したとおり、「自業界の変化の把握」や「解決すべき課題の発見」のステップで、必要な情報をすぐ見つけられず時間がかかってしまうという問題に直面し、初めて課題として顕在化する。しかしその根本にある問題として、最初のステップである自業界の理解が不足していることが挙げられる。顧客は誰で、顧客の課題はなんであるのかなどの現在地がぼやけてしまっているため、用途開発に着手しようと論文や特許情報を見ても、方向性がいまいち明確になっておらず右往左往することになるのだ。つまり、情報の基盤である本命情報を飛び越えて、いきなり飛び地部分を探ろうとしていることに問題点があるのだ。方向性を見失わない情報収集とするためには、本命→周辺→飛び地という段階を追って探索範囲を広げることがポイントである。
用途開発の情報収集で理解を深めるためのもうひとつのポイントとして、サプライチェーンを把握することも重要である。製造業における商品販売に至るまでの過程には、非常に多くの企業が関わっていることが特徴のひとつである。その中で、サプライチェーン全体を含めた広範囲な情報収集が必要なだけでなく、関係性を適切に把握する必要もある。また、サーキュラーエコノミー※のような昨今の社会環境に伴う取り組みの加速により、川上、川中、川下にかかわらず全体の流れや関係性の把握の重要度が増している。さらに、新型コロナウイルスが引き起こしたパンデミックや社会情勢の変動など、さまざまな環境の変化に伴い、リアルでの情報収集が制限された状況下で正確な情報を取得しなければならない情報収集の難易度がより一層高まっている。
※サーキュラーエコノミー
廃棄物の発生を最小限に抑えようという取り組み。これまでの川上から川下への一方通行ではなく、経済を循環させて製品、素材、資源の価値を可能な限りの保全と維持を目指す。「循環経済」の意。
これまでに述べたとおり、用途開発における情報収集には、本命・周辺・飛び地の「情報の性質」と、サプライチェーンにおける関係性を把握するための川上・川中・川下の「情報の範囲」が重要である。これら情報の性質と範囲の中から必要な情報を収集するためには、膨大な情報を取捨選択していく必要がある。
近頃は製造業界でもDXが叫ばれ、研究・製品開発や工程設計、生産などのプロセスでは、マテリアルズ・インフォマティクス、3DCAD、デジタルツイン、スマートファクトリーなどのAIを含むデジタル技術の導入が推進され始めている。
一方で、その前段階である市場調査や企画フェーズにおける情報収集では、いまだにアナログな手法や個人スキルに依存したままである。すでに業務DXの常識となっている、リアルタイム(速さ)、オートメーション(自動)、シェア(共有)の部分に手がつけられていないため、調査・企画フェーズ以降の工程の迅速化に追いつけていないというのが現状だ。膨大な情報から「情報の性質」と「情報の範囲」のような用途開発に必要な情報を収集するには、情報収集の速さ、自動、共有のような「情報の活用」が必要不可欠なのだ。
つまり、用途開発で良い企画を生み出すためには、「情報の性質」である本命、周辺、飛び地と、「情報の範囲」である川上、川中、川下、「情報の活用」である速さ、自動、共有の「トリプル3」が揃っている必要があるということだ。
▶︎用途開発を成功させるための3つのポイントをまとめた資料を配布中!
無料ダウンロードはこちらから
では、トリプル3を実現するためのボトルネックである、「情報の活用」ができている状態とはどのような状態であろうか。以下に情報収集レベルをステージとして表した図を掲載する。ご自身の情報活用状況がどのステージにあるのかを今一度ご確認いただき、どこを目指すべきなのかの参考としていただきたい。
業務として再現性のある情報収集を実現するためには、属人化や根性論のような情報収集のやり方を変えていかなければならない。現状として一定数当てはまるのがステージ0の状態だ。情報収集業務が定着しておらず、思いついたときに各個人が調べ、集めた情報は調べたまま放置されてしまっている状態である。この状態だとなかなか組織として情報の利活用が進みにくい。ステージ1は、情報の重要性に理解があり、組織として情報を活用すべきという意識を持っているステージだ。決まった担当者が新聞のクリッピングやメール配信の業務ミッションを担い、社内に情報を流通させる取り組みを行っている状態だ。ステージ3は、情報感度が高く、情報の共有が活発に行われており、情報収集においては優秀な状態を表している。一方で、共有された情報や集められた情報が散在しており、必要なときにすぐに見つけることができず、社内で情報を探すことに一定の時間がかかってしまう課題を持っている。最後のステージ3は理想的な情報収集・活用・整理が適切にできているステージで、業務で必要な情報がすぐ入手できる状態のことだ。用途開発に活かすことのできる情報の収集と蓄積を実現するためには、ステージ3の状態を目指すべきなのだ。
これまで見てきたように、用途開発には広範な情報収集と情報の性質を深堀していくことだけでなく、集めた情報を整理・分類し、つながりや関係性を把握する必要がある。しかし、他業務を行いながらリサーチ業務を並行するとなると、人力だけでは情報収集だけで力尽きてしまったり、思うような情報収集ができず腹落ちできないまま進めることになり不完全燃焼となってしまうことも少なからずあるだろう。膨大な情報を扱うことになる用途開発には、トリプル3のひとつの軸である「情報の活用」や、情報収集ステージ3を実現するために、デジタル技術を活用したツールが必要不可欠なのだ。
ストックマークが提供する『Astrategy』は国内外約35,000サイトを探索しており、高度な自然言語処理技術が強みである。膨大な情報の中から急激に伸びている企業の情報や関連する周辺情報などのビジネスにおける重要情報をAIが自動抽出を行いリサーチ業務を手助けする。用途開発においては、単一記事だけではなく各企業の重要事例を比較し、全体感や分析的な定性情報の把握が必要である。また、用途や性能を複数業界で比較し、検討領域を発見・定義することも重要だ。検索した情報をAIが目的別に企業名やテーマ名で自動的に構造化してくれることで全体感を把握しやすくなる。類似記事や意外な企業、見逃しテーマなどをAIが見つけて補完してくれることで、「こんな情報があったのか」という手戻りを軽減できるため、予備調査の手間を大幅に削減することが可能となる。
人では見つけられない、見逃してしまうような情報をAI技術によって拾い上げ、トリプル3によって用途開発を迅速かつ円滑に進められる。それがこれからの時代、目指していくべき用途開発の情報収集のあり方なのだ。