2024年以降の半導体市場の見通しは?需要や各国の動向について
製造業
バンドギャップは、電子が存在することのできない領域のことで、その領域を「禁制帯」とも呼ぶ。導体である鉄などの金属にはバンドギャップが存在せず、電子が自由に移動できるため電気を通すことができる。逆に、ゴムやガラスなどの絶縁体では、このバンドギャップの幅が大きいため、電子が移動することができず電気を通すことができない。半導体では、小さい幅のバンドギャップがあり、電気誘導のコントロールを行ううえで重要な役割を果たす。電子がバンドギャップを越えて移動するには、一定のエネルギー(光や熱)が必要であり、この遷移を制御することでさまざまな機能が実現されるためだ。
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半導体のバンドギャップエネルギーは温度に影響を受ける。たとえば、温度が上昇すると原子振動の振幅が増え、原子間の距離が大きくなるため、バンドギャップエネルギーの幅が狭くなる傾向がある。
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バンドギャップを越えて移動するためのエネルギーが多く必要な半導体を「ワイドバンドギャップ半導体」と呼ぶ。ワイドバンドギャップ半導体は、絶縁破壊強度(物質が絶縁破壊を起こす一歩手前の限界値)や高温耐性、放射線耐性などが高く、耐久性が高い半導体だ。ワイドバンドギャップ半導体の代表例として、窒化ガリウムや炭化ケイ素、シリコンカーバイド、ダイヤモンドなどが挙げられる。これらの素材は、電力変換デバイスや高耐久性が求められる機器などに広く利用されている。たとえば、鉄道車両用のインバータでは、シリコンカーバイドが使用され、電力の直流から交流への変換や電圧・周波数の変換などの機能を持っている。