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パワー半導体とは?今後の動向や課題をわかりやすく解説【脱炭素・EVの普及に不可欠】

パワー半導体とは?今後の動向や課題をわかりやすく解説【脱炭素・EVの普及に不可欠】

5G、AIやIoTなど、次々と登場するテクノロジーによって、日々我々の生活はより便利になっていっている。しかしながら、これらのテクノロジーの多くは電力によって下支えされており、高度な開発が進むほど大量の電力が必要となる。

電力供給で懸念されるのがCO2の排出量だ。現在、再生可能エネルギーを原力とした電気も存在するが、依然として化石燃料に多くを依存している。

このような背景で、現在注目されているのがパワー半導体だ。パワー半導体は、大きな電圧や電流を扱うことができる半導体で、エネルギーロスが少ないために、省エネの観点から注目されている。本記事では、パワー半導体の定義、需要動向、課題などについて解説する。

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 パワー半導体(パワーデバイス)の定義とは?

パワー半導体とは、高い電圧、大きな電流の制御や変換ができる半導体のことを指す。通常の半導体では、一定以上の電流や電圧がかかると熱暴走を引き起こし、最終的には半導体だけでなく、デバイス本体や周辺機器の破損につながることもある。

通常の半導体は、電流や電圧を制御するために抵抗器によって変換が行われる。パワー半導体は、スイッチング動作によって柔軟に電力・電圧変換を行うため、電力損失が少なく済むのだ。

そのため、近年は省エネルギー実現に欠かせないキーデバイスとして、パソコンやスマートフォンといったデジタル端末や、テレビやエアコンといった家電製品、さらには、人工衛星、次世代通信基地局など、幅広い分野で使用されている。

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 パワー半導体(パワーデバイス)の用途や役割

パワー半導体の主な用途や役割は、各種電力のスイッチングだ。具体的には、直流電圧の変換、直流と交流間の電力変換、交流の周波数の変換などが挙げられる。これを活用すると、モーターを精度良く低速から高速まで回したり、太陽電池で発電した電気を効率的に送電網に送電したりすることが可能となるのだ。

パワー半導体の役割

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 パワー半導体(パワーデバイス)が注目される理由

パワー半導体が注目される理由は、ずばり省エネルギーであることだ。

今、世界は深刻な電力不足に直面している。一般社団法人日本電機工業会トップランナーモータによれば、全世界の電力消費量のうち40%〜50%は「モータ(電動機)」、日本に限定すれば約55%を占めるといわれている。

モータは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換するための機器で、工場の操業や装置製造に電力供給する役割を果たすもののため、絶対使用量を減らすことは現実的に難しいだろう。

パワー半導体を利用すれば電力効率が向上し、今までの電力消費を低減することができる。さらに、SiCパワー半導体などを代表とする「次世代パワー半導体」に代替すれば、原子力発電所数基分に相当する省エネができると試算されている。

次世代パワー半導体とは、基板材料にSiC(炭化ケイ素・シリコンカーバイド)もしくはGaN(窒化ガリウム)を使用したパワー半導体だ。従来のSi(シリコン)製のものと比べると、格段に性能と電力効率が向上するといわれている。ちなみに、炭化ケイ素を使用したものを「SiCパワー半導体」、窒化ガリウムを使用したものを「GaNパワー半導体」と呼ぶ。

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 パワー半導体(パワーデバイス)とアナログ半導体・ロジック半導体の違い

アナログ半導体とは、光や音、温度、気圧、心拍数など、非連続的なアナログ信号を処理・制御するための半導体を指す。

一方、ロジック半導体とは、電子機器の「頭脳」の役割を担う半導体。身近な例では、パソコンやスマートフォンのCPUなどに使用されている。

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 パワー半導体(パワーデバイス)の種類

パワー半導体の種類には、大きく以下の3つがある。

 サイリスタ

直流と交流をスイッチングして電流制御を行う電子部品のことを指す。アノード、カソード、ゲートと呼ばれる3つの端子をもつ。

 パワートランジスタ

電気信号の増幅やスイッチングを行う電子部品で、動作時の許容電力が1W以上のものを「パワートランジスタ」という。IGBT、パワーMOSFET、バイポーラトランジスタなどの種類がある。

 ダイオード

電気を一方向にしか流さないように制御する半導体。基本的にスイッチングは行わず、整流作用や検波、電圧制御、電流変換などを行う。

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 パワー半導体(パワーデバイス)の市場動向や今後について

ここでは、半導体そのものの起源や成り立ち、市場動向、そしてパワー半導体、さらには次世代パワー半導体の市場動向や市場規模について解説する。

 パワー半導体(パワーデバイス)の起源と歴史

改めて半導体の歴史を振り返ろう。起源は定かではないが、1874年にドイツの物理学者であるフェルディナント・ブラウン氏が、半導体の基礎となる原理を発見したのが最初とされている。

その後、1947年にベル研究所にて、アメリカの物理学者ジョン・バーディーン氏とウォルター・ブラッテン氏が、点接触型トランジスタを発明。その翌年にはウィリアム・ショックレー氏がサンドウィッチ型トランジスタを発明したことで、半導体の需要は高まっていく。1957年には、パワー半導体の1つ「サイリスタ」が、米GE社によって初めて商品化された。

 パワー半導体(パワーデバイス)の市場動向

パワー半導体の市場動向を解説する前に、我が国における半導体市場のシェア率についておさらいする。1980年代後半、日本は「日の丸半導体」と持て囃されるほど、半導体市場で圧倒的なシェアを誇っていた。

総務省の調査によれば、1988年時点で日本は50.3%で世界シェア1位で、2位のアメリカの36.8%と大きく差をつけていた。しかし、1990年代以降は衰退し、韓国やアメリカなどにその座を許してしまう。2019年にはシェア10%にまで落ち込んでいる。

かつての勢いを取り戻すことは難しいと推測されるが、パワー半導体分野においては、高い技術力をもつ日本企業が一定のシェアを有している。Omdiaの調査によれば、パワー半導体メーカーの売上高世界ランキングトップ10に、三菱電機、富士電機、東芝、ルネサスエレクトロニクス、ロームの5社がランクインしている。さらに近年は、各社ともSiCパワー半導体の開発や生産体制を強化するということで、今後に目が離せない。

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 パワー半導体(パワーデバイス)の市場規模

パワー半導体に限定すると、世界でどのくらいの市場規模があるのだろうか。

矢野経済研究所の調査によると、2021年のパワー半導体の世界市場規模は前年比20.1%増の223億7,000万ドルだった。2022年はパワー半導体メーカーへの受注は好調であったものの、需要の拡大や、アメリカが中国へ半導体製造装置の輸出規制を行ったこと、また新型コロナウイルスによる工場の操業停止などが相まって、半導体に必要な材料や装置・部品の需給が逼迫し、市場推移は落ち込んだ。

しかしながら、パワー半導体は人工衛星、再生可能エネルギー向け産業機器、電気自動車など、需要の裾野が広がっており、2023年は前年比8.0%増の258億1,000万ドルになると予測されている。さらには、「2050年カーボンニュートラルの実現」などのトレンドもあり、2030年には369億8,000万ドルまで拡大するといわれている。

また、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの次世代パワー半導体の市場規模も堅調だ。情報通信分野、エネルギー分野、電気自動車分野などで需要が増えており、2025年には、SiCパワー半導体の市場規模は29億2,000万ドル、2030年にはパワー半導体市場の17.4%を占める64億5,000万ドルに成長するという見立てもある。

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 パワー半導体(パワーデバイス)の課題

ここまでパワー半導体市場の将来性について解説したが、一方で課題も多く残っている。

パワー半導体は大きな電圧や電流を扱うため、放熱のための回転ファンやヒートシンクが機器内部に備え付けられているが、電子機器の小型化・高性能化に伴い、パワー半導体そのものの効率化や小型化が求められている。しかし、現在パワー半導体の多くで採用されているSiパワー半導体では大幅な性能改善は難しいとされている。

そこで注目されているのが、先に述べた「SiCパワー半導体」や「GaNパワー半導体」などだ。しかしながら、次世代パワー半導体にも「ゲート」と呼ばれる部分での欠陥が問題視されている。さらに、SiCパワー半導体の材料となるSiCウェーハのシェア上位はすべて海外企業であり、SiCのウェーハを充分に供給する体制が日本には整っていないという課題も存在している。

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 まとめ

さまざまな産業でのDX化、さらにはAIやIoT、電気自動車などの登場によって、世界における電力消費量は漸次的に増え続けている。さらに日本は、2020年に「カーボンニュートラル」を2050年までに実現することを宣言したため、省電力化への動きは避けられなくなった。

パワー半導体、そのなかでも次世代パワー半導体は発展途上の市場だ。現在は、SiCやGaNだけでなく、酸化ガリウム(Ga2O3)やダイヤモンドなどの新素材開発も積極的に行われており、多くの会社に参入のチャンスがあるといえるだろう。

参照記事
・総務省「令和3年版情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/01honpen.pdf