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DX成功事例を紹介!攻めのDXの本質とは?

DXを指さす男性

経済産業省は2021年6月に、「DX銘柄2021」と「DX注目企業2021」を発表した。選出された企業は、単なるITを導入したデータの利活用だけではなく、デジタル技術を最大限に活用し、企業価値の向上につながるDXを推進し、今後の活躍が期待される企業である。このように優れたデジタル技術の利活用の実績のある企業を選定するなど、国を挙げて「攻めのDX」を推進する動きが年々高まっている。

今回は、いくつかのDXに関する成功事例を紹介しながら、これから目指すべきDXについて解説する。提供価値を根本から変える「攻めのDX」の実例の紹介を通じて、自社で目指すべき理想のDXの参考にしていただきたい。

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 目指すべきDXとは?

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称である。経済産業省はDXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス・ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織・プロセス・企業文化・風土を変革して競争上の優位性を確立すること」と定義している。つまり、移り変わりが早い昨今の状況下で、企業の競争力を高めるためには、データやデジタル技術を活用して、顧客や社会ニーズに合わせた価値提供ができるように企業変革を行っていく必要があると言うことだ。

今やDXはさまざまな業界で重視されるようになっている。製造業や小売業にもDXの取り組みが広がり始めている。しかし、まだまだITやデジタル技術による業務効率化などの「守りのDX」にとどまり先に進めていない企業が多いのが現実だ。目指すべきDXとは、表層的にテクノロジーやツールを駆使するだけではなく、提供価値を根本から大きく変えることなのだ。

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 DXの理想的な進め方とは?

新しい顧客価値を生み出し、ビジネスモデルを変えていくためには、どのようにDXを進めればいいのだろうか。経済産業省「DXレポート2 中間取りまとめ」には以下のようなステップが紹介されている。

・直ちに行うべきアクション
もっとも迅速な対処策は、製品やサービスの導入により、業務のオンライン化や業務プロセスのデジタル化などだ。ツールを身近なものにし、日常の中に組み込んでいくことが大事。

・本格的なDXを進めるための短期的な施策
DX推進の体制を整備するため、経営層や事業部門、IT部門といったDXを担う関係者間で、自社のDX戦略や目的などの共通理解をしっかりと形成する必要がある。さらに、社会や環境変化に合わせた業務プロセスをデジタルを前提とした顧客起点での見直しを図り、DXの進捗を定期的に把握する体制を構築する。

・変革を続ける組織であるための中長期施策
環境変化に迅速に対応できる、アジャイル開発体制の確立や、ベンダー企業とのパートナーシップの確立を目指す。また、DX人材の確保や、企業間で共通する領域である「協調領域」を形成し、プラットフォームによる相互連携により、投資分配を最適化させていく取り組みが重要となる。

自社のDX状況が把握できていない場合や、次のステップが明確になっていない場合は、経済産業省の「DX推進指標」を参考にされるのもおすすめだ。

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 攻めのDX成功事例6選!

攻めのDXの具体的な成功事例をみてイメージを掴むことが大事だ。今回は、製造業、小売業、金融業、海外事例からピックアップして見てみる。

 製造業​

製造業では以下の3つを紹介する。
・ミスミの「meviy(メヴィー)」
・コマツの「DXスマートコンストラクション​」
・中外製薬の「MALEXA-LI」

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 ミスミが手掛ける「meviy(メヴィー)」

ものづくりのプラットフォーム化として高い成果をあげているのが、株式会社ミスミグループ本社(以下、ミスミ)の「meviy(メヴィー)」​だ。

ミスミは、製造業向けの機械部品や工具、消耗品などの製造や販売を手掛ける企業だ。日本の製造業は人手と時間が不足しており、効率化に大きな課題がある。ミスミは、調達現場における、作図、見積もり、待ち時間に膨大な時間が費やされる問題を、「meviy」というプラットフォームで解決に乗り出した。
顧客が設計データをアップロードすると、AIが形状を認識し、数秒で価格と納期を自動見積もりする。発注依頼を受けると、データが加工機械へ送信させる仕組みだと言う。2Dの図面を作る手間や見積もり完成までに生じる待ち時間をカットし、納期までの時間を大幅に短縮したのだ。

手間を減らして迅速に部品調達できるシステムを作り、今までと違う価値を提供できるようにした取り組みは、まさに「攻めのDX」の成功事例だ。

 コマツの「DXスマートコンストラクション​」

コマツの名で親しまれる株式会社小松製作所(以下、コマツ)には、建設機械の業界をずっと牽引し続けてきた実績がある。世界に目を移しても、2020年の建設機械のシェアは業界2位だ。コマツは、時代や価値観の変化へ柔軟に対応することが得意としている。総合機械メーカーのパイオニア的存在といえる。

「DXスマートコンストラクション」は、コマツが長年ICT(情報通信技術)を活用した課題解決に取り組み続けた集大成だ。発想の原点は、慢性的な労働力不足、高齢化、安全確保とコストの両立など、施工現場が抱える悩みであった。そういった課題の解決には、建機の提供だけではなく、それらを繋いで可視化するような仕組みが必要だったのだ。IoTが普及する遥か前の2001年から、建設機械にGPSや通信システムを搭載し、建機の位置や稼働状況を管理する機械稼働管理システムを導入し、その実績は保守管理や省エネ対策に有効と評価されている。

ありがちなデジタル活用を目的化させず、あくまでも顧客価値の実現としてDXの本質を捉えている。将来的には、複数の施工現場をリアルタイムに繋ぎ、最適にコントロールすることを視野に入れ、ESG課題の解決と収益向上の両立を目指している。

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 中外製薬の「MALEXA-LI」

中外製薬株式会社(以下、中外製薬)は、2040年までにヘルスケア産業のトップイノベーターになることを目指し、DXを”全社ごと”として取り組みを行っている。成長戦略にもデジタルの活用を明記し、「デジタルを活用した革新的な新薬創出」を基本戦略のひとつとしている。
近年における医薬品開発では、年々増大している新薬開発の期間やコストをどのように短縮し削減するかや、創薬の難易度が高まる中、どのように開発の成功率を高められるかが課題である。中外製薬は、それらの課題に対して進歩し続けるAI技術の活用で、創薬プロセスの短縮と医薬品開発の成功確率が大幅に改善できると見込んでいる。

具体的な取り組みでは、中外製薬が独自に構築したAI技術である「MALEXA-LI」だ。MALEXA-LIは、中外製薬が長年の研究から蓄積してきたデータを活用し、AIの機械学習により抗体の最適な分子配列を提案するもので、その結果として従来よりも1,800倍以上も結合強度の高い抗体の取得に成功している。

さらに中外製薬は、こういったハード面の取り組みだけではなく、人が財産であると考え、デジタル人材の強化や挑戦する組織風土の形成にも力を入れている。会社の一部だけがDXを行うのでなく、全社横断的に取り組み、新しい価値の創出の仕組みづくりができている良い例と言える。

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 小売業

小売業でのDX成功事例として株式会社三越伊勢丹ホールディングスの事例をご紹介する。

 三越伊勢丹の例​「YourFIT365(ユアフィットサンロクゴ)」

YourFIT365は、伊勢丹新宿店の婦人靴売場のリニューアルのタイミングで始まったプロジェクトだ。近年、日本人の健康志向の高まりとともに、コロナ禍で免疫を良好に保つためにスポーツが効果的であることも一因となり、ランニングやフィットネスの人気が上がった。それに伴い、自身の足に合った靴に対する需要が高まっている。しかし、人の手によって都度顧客の足型を計っていたため、これまで対応できる件数は限られたものであった。

YourFIT365では、一度計測した足型データをクラウド上に保存できる。専用のアプリを使えば、オフラインだけでなくオンラインで自身にフィットする靴を選ぶことが可能になったのだ。計測した足のデータを靴の木型情報とマッチングさせることにより、店頭やストックの1,000種類前後の中からおすすめの商品を選ぶ事ができる。

従来のやり方に比べ、販売員が最適な靴を選び出す時間を大幅に短縮できる、画期的なマッチングサービスと言える。

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 金融業

続いて金融業に関する攻めのDX事例をご紹介する。ここでは、株式会社みんなの銀行(以下、みんなの銀行)を例にあげる。

 みんなの銀行の事例​

みんなの銀行は「銀行を新しく作るならSNSのような場所が良い」というコンセプトで始まったサービスである。みんなの銀行が軸にしているサービスは、「フリクション(摩擦)レス」「ハイパーパーソナライズ」「成果主義へのシフト」「コミュニティ重視」の4つ。

この中で最もわかりやすい事例はフリクションレスだ。スマートフォンのみで即日の口座開設が可能で、店舗にわざわざ足を運ぶ必要がない。銀行とウォレットが一体化しており、現代人の生活にフィットするサービスといえる。名前・住所・マイナンバーカード等の本人確認書類は、ビデオ通話を通して行うだけという手軽さは好評を博している。店舗へ赴かなくて良い、かかる時間はわずか10分程度と、今までとは全く違う価値を提供できている攻めのDXの良い例であろう。

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 海外の注目DX事例

スイスのビジネススクールである国際経営開発研究所(IMD)が発表している「世界のデジタル競争力ランキング」によると、2021年の日本の順位は64カ国・地域のうち28位だった。2017年から毎年行われている中で、過去最低を更新してしまっている。そのためDXの事例は日本だけでなく、海外の事例も参考にすることがおすすめだ。海外で注目されている事例をひとつご紹介する。

 Coloplast(コロプラスト)

福祉大国として名を馳せるデンマークは、過去に世界幸福度ランキングで何度も首位に輝いたことがある。Coloplast(コロプラスト)は、そんなデンマークに拠点を置く医療用装具の開発・製造メーカーだ。人工肛門のストーマ用装具に対する知見が高いことで有名である。

Coloplastでは、オストミー患者(人工肛門保有者)の負担を少しでも減らそうと、自社で作った製品と連動した健康管理アプリを開発した。専門医と連携し、アプリで正しい行動や、データ追跡を行い、ユーザーに健康習慣を定着させることで、通院の回数をさげるなど、患者のQuality of life(クオリティ オブ ライフ)改善を狙った。ユーザー満足度に焦点をあて、細部に至るユーザーテストを行ったことで、治験者の約8割の満足が得られている。まさに顧客のニーズに答えたDXと言えるだろう。

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 まとめ

この記事では具体的なDX事例を紹介してきた。一口にDXといっても、自社が解決したいと考えている課題や業界業種によってDXの取り組みもさまざまである。DXには誰もが成功するという手法はない。自社をしっかりと見つめ直し、さまざまな情報に触れ、各社のDXの取り組みや失敗例を参考に、挑戦と失敗を繰り返しながら手探りで行っていくしかないのだ。

そのためにも取得する情報や事例はとても重要だ。効率的に必要な情報を得て、DX推進のヒントに繋げられるよう、情報取得の仕組みづくりから検討されてみてはいかがだろうか。

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