2024年以降の半導体市場の見通しは?需要や各国の動向について
製造業
新規事業の最初の壁にして最大の関門であるアイデアの創出には、苦労や悩みを持たれている方も多いだろう。また、1つの製品やイノベーションを成功させるためには3,000のアイデアが必要だと言われている。一方で、狙いがずれているアイデアをたくさん出したとしても、アイデアの素案の数が増えるだけで、新しい製品や事業の創出へとつながる可能性は低い。アイデアの質と量を保ちながら、アイデアを継続的に創出し続けることは並大抵のことではない。
今回の記事では、アイデア創出における課題に着目し、筋の良いアイデアとはどのようなもので、どのように考えていくべきかを3つのステップにしてご紹介する。
新規事業のアイデア創出を実現するための重要な視点とは?
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目次
新規事業における良いアイデアとはどのようなものだろうか。ここでは、筋が良いとされるアイデアが持つ、価値の新規性、顧客課題に対する解決性、安定した利益につながる収益性について解説する。
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良いアイデアとして重要なのが、これまでにない新しい価値を提供できるかという点である。既存の常識とは違う要素がポイントとなり、提供するものが既に市場にある商品やサービスであったとしても、付加価値が独創的で新規性があればよい。大切なことは、競合他社との競争において自社の優位性を保てるか否かである。
次に重要な点は、アイデアが顧客課題を解決できるかどうかである。顧客に提供する以上、顧客の需要がなければ事業の成功はあり得ない。アイデアは奇抜な新しさだけを求めれば良いということはなく、対象とする市場ニーズを把握したうえで、顧客の課題と提供する価値が結びついていなければならない。つまり、新規事業のアイデアには新規性だけでなく解決性も重要な要素となるということだ。
ビジネスとして成立し収益性の見込めるアイデアであるということも、新規事業における良いアイデアの重要な要素の1つである。たとえば、確たるニーズはあるが莫大なコストがかかるため利益がほとんどでない、または安定した十分な量の供給が難しいために事業拡大ができないなど、新規性と顧客課題解決性を備えていても収益性がなければ、事業の実現と継続が難しくなる。また、新規事業は利益を出せるようになるまで時間がかかることが大半だ。そのため、中長期的な収益を得る仕組みを事前に計画しておく必要がある。
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製造業の製品化・事業化では、開発に最低でも3年から5年を要することが多い。生産プロセスの構築や量産体制の確立のため設備投資が必要になることや、開発プロセスが中長期化することから、着手段階であるアイデア創出の質は製造業にとって、より一層重要である。
必要とされるアイデアは、アンゾフの成長マトリクス図でも語られている通り、既存の技術・製品と既存の市場・顧客の領域を越えられるようなものだ。しかし、多くの日本企業の課題は、新たな事業領域を見出せていない点にある。
その要因のひとつとして、アイデア創出の段階で市場性や課題解決性を結びつけられていないことが考えられる。
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市場性や解決性を考慮した良質なアイデアを生み出すためにはどうしたら良いのだろうか。ここではアイデアを考えるための具体的な方法を紹介する。
「技術を機能化する」とは、自社の持つコア技術にはどのような機能や性質があるのかを言語化し、技術が持っている新しい可能性を見つけることである。まずは、自社のコア技術がどのような機能や性質を備えているのか、わかりやすい言葉に置き換える。
具体的な例として、「センシング技術」を挙げよう。コア技術であるセンシング技術を、細分化すると「制御技術」「測定技術」「感知技術」に分けることができる。これら細分化した技術をさらに「どのような環境でも動く物体であれば検知できる」という性質までわかりやすい言葉にすることができれば、技術名から考えていた時よりもイメージを膨らませやすくなるであろう。
このように技術が持つ性質まで落とし込むことができれば、技術の持つ可能性がわかりやすくなり、顧客課題やニーズと結びつけて考えやすくなるのだ。
この技術を機能や性質に落とし込んで、市場や顧客課題と結び付ける手法をMFTフレームワークという。MFTフレームワークに関する詳細は以下の記事をご覧いただきたい。
市場性を考慮したアイデアを出すためには、事業ドメインを考える必要がある。「事業ドメインを考える」とは、市場規模や競合の状況、目指す未来などのさまざまな切り口から、今後新たに生まれそうな市場や発展・拡大する可能性の高い事業ドメインを探すことである。
新製品や新事業の伸び代は、現在や将来における市場の大きさに依存するところが大きいため、事業ドメインの検討は重要なステップとなる。
「事業ドメイン」はどうやって考えればよい?
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「技術の機能化」や「事業ドメイン」で考えたことを具体的にし、顧客と課題の組み合わせを検討するステップである。注目した事業ドメインの中で「自社の技術で解決できる課題なのか」と「その課題を持っている顧客がどこにいるのか」の組み合わせを考えていく。ここでは課題と顧客像の組み合わせを数多く出すことが重要なポイントとなる。
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ここでは3ステップを行ううえで気をつけたいポイントについて紹介する。
ご紹介した3つのステップ、「技術を機能化する」「事業ドメインを考える」「顧客×課題を洗い出す」は、一方通行で進めるのではなく、行き来を繰り返すことでブラッシュアップしていくことがポイントである。
たとえば、ステップ3の「顧客×課題を洗い出す」まで進んでいたとしても、自社技術で見つけた課題の解決が困難だと判断された場合は、別の顧客と課題の掛け合わせに焦点を当て直したり、前のステップに戻って参入する事業ドメインを検討し直したりと、ステップを反復しアイデアの選択肢を増やし、既存要素の組み合わせを探していくことが重要である。
「事業ドメインを考える」「顧客×課題を洗い出す」ステップで、現在の環境分析や他企業の取り組み、将来の動向を把握するためには、情報収集が重要であることは言うまでもない。また、膨大な量の情報から必要な情報を集め、収集した情報の整理と分析を行う必要もある。このステップでいかに有用な情報を集め分析し、アイデアの掛け合わせが考えられるかどうかが、最終的に創出されるアイデアの質や量に大きな影響を与える。
一方で、これら一連の作業を、研究開発の本業務がある中で、人力のみで行うのはなかなか難しいだろう。アイデア創出の助けとなる情報収集は、AIなどのテクノロジーの力を借りて効率化していくことも1つの手である。
アイデア創出のために必要な情報収集の効率化にはAIの自然言語処理技術が助けに!
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ここではアイデア出しに行き詰まった場合や、新たな視点からテーマを考えたいときにおすすめな3つのパターンをご紹介する。ただし、既に市場や事業などについて、ある程度の知識や情報の収集ができていることが前提となる。
アイデアは、「すでにある要素」を「これまでにない掛け合わせ」を行うことで生まれやすくなる。掛け合わせの可能性を増やすためには、異なる業界や市場、技術領域にも目を向けて、要素となりそうな情報を集め、引き出しを増やすことが重要だ。また、ゼロベースで新しいアイデアを発想するより、試しにいくつかの要素を掛け合わせてみるなど、できるだけ多くのアイデアを出してみることから始めてみることががおすすめだ。
アイデアを考える際、いったんこれまでの枠組みから離れてみることも大切だ。枠組みとは、たとえば既存事業やこれまでの企業での方針、企業を運営する側からの視点などだ。想定する顧客の目線も、これまでのユーザー以外の顧客目線で考えてみるなど、固定観念に縛られず自由に発想することで新しいアイデアにつながりやすくなる。また、アイデア出しの段階では、アイデアの想像の幅を狭めないために、アイデアの良し悪しの判断基準からも離れてみることをおすすめする。枠に捉われることなく、多くのアイデアを出すことを最優先しよう。
これまでと違ったアイデアを出すきっかけとして、「不安」「不満」「不便」などの自らが日常生活を送るなかで感じる困りごとや、こうだったらいいのにと思うことをヒントとすることができる。常日頃から日常で感じた不満や違和感をメモして、アイデアのストックとして貯めておくことも1つの手である。
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ここでは3ステップでご紹介した手法や思考法以外の有効なフレームワークをご紹介する。
9×9の合計81マスにキーワードを記入し、マス目を埋めていくことで自然にアイデアを膨らませ、発想を広げるフレームワークだ。解決したい課題や達成したい目標を中心に置き、そこから具体的なアクションにまで落とし込むことで、散漫になった考えをまとめアイデアを思いつきやすくしてくれる。
マンダラートのやり方やメリットなどの詳細については以下を参照していただきたい。
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オズボーンのチェックリストとは、既にある特定のテーマについて、9つの項目について回答することで多角的発想・思考ができるというフレームワークである。さまざまな切り口から具体的な検討を行うアプローチ方法である。
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KJ法は、断片的な情報やアイデアを効率的に整理することに長けた手法だ。データをカードに記述し、そのカードをグループごとに整理して、分類されたデータをさらに整理、分析を加えていくフレームワークである。小さいグループから大きいグループにまとめていき、グループ化したアイデアを、関連性の高そうなグループの近くに置き、相関性を表す矢印を入れて図にする。その図をもとに文章化を行う。文章を作る際に無意識的に入れた補足が新たな発見や気づきにつながるのだ。ブレインストーミングとの相性が良く、日本の文化人類学者である川喜田二郎氏によって紹介された手法で、発案者のイニシャルから名付けられている。
良いアイデアに辿り着く道は日常の思いがけないところから伸びている。いわゆる「セレンディピティ」と呼ばれる、思いもよらないことがきっかけとなり、予想外のものを偶然に見つけることだ。ただし、これは闇雲にアイデアを探すことや突然の思いつきで起こるものではなく、これまでに蓄積してきた知識や情報などに、外部から新たに得られた要素が結びつくことで新しい発想が生まれて起こるものである。つまり、セレンディピティは新しいものを取り込もうとする行動の結果ともいえる。インプットの質と量は、セレンディピティが起こる確率に深く関わる。普段からアンテナを張り巡らせ情報収集を習慣化し、創造性を常に刺激し続けることが大切だ。
また、アイデアを出しやすく、思考しやすい環境を整えることも重要だ。多くの分野の情報に触れることができ、さまざまな知見を持つ人々と情報やアイデアについて、気兼ねなくコミュニケーションを重ねられるような環境が、良いアイデアを生み出す人々を基盤として支えることになる。
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良質なアイデアを創出するためには、新規性だけでなく、収益が出せることを考慮した市場性や顧客課題の解決性を考慮する必要がある。そのためにはアイデア出しの初期の段階からさまざまな視点から多角的に深掘りを行う必要がある。既存領域を飛び越えられるようなアイデアを創出するためには、これまでの領域に縛られない幅広い情報の収集が必要なのだ。