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コンセプトの考え方とは?共感されるブランドや商品を作るコンセプトのコツを解説

コンセプトの考え方とは?共感されるブランドや商品を作るコンセプトのコツを解説

コンセプトは、ブランドコンセプトや商品コンセプトというようにさまざまな場面で使われているが、製品を生み出す製造業にとっては、特に馴染みが深く、とても重要な意味を持つのではないだろうか。今回はそのコンセプトに焦点を当て、コンセプトがどのようなもので、どうすれば良いコンセプトが考えられるかについて解説していく。

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 コンセプトとは

コンセプトとは、英語の「concept」が語源で、概念、観念、構想や考えといった意味を持つ。日本で使われる場合も同様のニュアンスで用いられている言葉である。商品やサービスだけでなく、創造されるもの全体の基礎となる骨格であり、芯となる発想や観点である。

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 コンセプトの重要性

コンセプトは商品やサービスを創り出す上で非常に重要であり、コンセプトの質はそのまま作り出すもののクオリティに直結するといえるだろう。コンセプトが重要な理由について3つ挙げる。

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 商品やサービスの方向性を保てる

商品やサービスはアイデア着想から生産、試行を繰り返して市場に出る。開発フェーズごとに担当者が引き継がれ、長いプロセスを経る間に方向性がぶれてしまうことも少なくないだろう。そのぶれの発生リスクを抑えるのにコンセプトが重要な役割を持つ。

コンセプトは商品やサービスの「在り方」であり、商品のデザインといった外形的なものにも、機能といった内在的なものにも影響を及ぼす。そのため、コンセプトを明確にしておくことで、どのようなプロセスの地点であっても、商品、またはサービスを「どのようにすべきか」という指針とすることができる。改善すべき点が出てきたり、設定したゴールを変更したりする必要がある場合でも、一貫した道標があれば、見当違いの道に迷い込むことなくプロセスを進めやすくなるだろう。

 独自性を伝えることができる

コンセプトは商品やサービスの基礎的な部分だ。ユーザーに伝えるべき価値であり、より多くのユーザーに共感できることとして受け入れられるかどうかが重要なポイントである。

コンセプトは簡潔な言葉で、さまざまな受け手にとって理解しやすくまとめることが大切だ。ただそれらしい言葉を並べれば良いのではなく、商品やサービス、さらにブランドなどの特徴や方向性を伝えるという視点を持つ必要がある。良いコンセプトを作ることができれば、商品やサービスの独自性をより多くの人に伝えやすくなる。

 コンセプトワークが価値を生み出す

コンセプトワークとは、コンセプトを明確に言語化するための作業だ。コンセプトワークは、商品やサービスを開発する際のスタート地点であり、「どのようなものが社会にとって役に立つものか」「自社で売り出すにあたり、どのようなものを作れば売れるか」といったことを考え、答えを導き出すことである。コンセプトワークにおいて、価値を具体的かつ明確に示すことで、競争優位性を高め、他社製品との差別化を図ることができるのだ。

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 コンセプトの使われ方

コンセプトという言葉は、そのほかの用語と組み合わされて使われることも多い。例として、「ブランドコンセプト」「事業コンセプト」「商品コンセプト」の3つを挙げよう。

 ブランドコンセプト

「ブランドコンセプト」はブランドの価値を言葉で表したものであり、類似した商品やサービスを提供している他社ブランドとの間にある差を明確にして、独自の印象やイメージを形成する目的がある。独自の価値を伝え、ブランドの認知や理解を促すことで、共感や愛着、信頼感を構築できる。ブランドの魅力を端的に言語化したブランドの軸となる重要なものである。

 事業コンセプト

「事業コンセプト」は、事業内容を伝えるための事業構想の概念そのものだ。何を目的とし、どのような価値を生み出すための行動をするのかを端的な言葉で示すことで、協力者や企画承認者にも意図が伝わりやすくなるほか、事業活動の意思決定のぶれを防止することにも有効だ。

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 商品コンセプト

「商品コンセプト」は、顧客に直結する商品の根幹を表すものである。アイデア探索によって生み出されたアイデアは、顧客が理解しやすい形に具体化する必要がある。この商品やサービスがどのようなもので、誰がどのように使い、どのような価値があるのかということを、より顧客の目線と言葉で表現したものが商品コンセプトである。

 コンセプトの考え方のステップ

コンセプトは闇雲に考えるよりも、決まった手順に沿って検討することで考えを整理しやすくなる。ここではコンセプトを考える際のステップをご紹介する。

1.競合と市場の調査

コンセプト着想の前に、想定され得る競合他社や既存製品、参入予定の市場について調査を行う。調査では、市場や競合の調査だけでなく、自社を正しく客観的に把握することも大切だ。外部環境と内部環境の両面から自社の立ち位置を把握し、業界全体の動向を捉える必要がある。分析には、3C分析などのフレームワークを活用すると良いだろう。

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2.ターゲットの決定

調査で可視化した顧客のうち、価値を届けるべきターゲットを明確にする。ターゲット設定では、「典型的な顧客像」を確定するため、年齢、性別、職業、住む地域など、詳細に条件を決定することが重要だ。あいまいなターゲット設定のままだと、商品やサービスの特徴もぼやけたものとなりやすく、価値を打ち出しにくくなる。明確な顧客像を描くことは簡単なことではないが、じっくり時間をかけて検討したいステップである。

3.課題の抽出

設定したターゲットがどのような価値を求めているのか、ターゲットの持つ不満や不便といったネガティブな要素を洗い出していく。業界や競合他社、競合製品だけでなく、自社や自社製品に対するネガティブな意見も参考にすると良い。そういったマイナス要素の裏に、理想のあり方や求めている価値、ターゲット自身も気がついていないような潜在的なニーズが隠れているかもしれないからだ。

4.課題に対する解決策の洗い出し

見えてきた課題に対し、実現可能性が高い解決策を考えていく。ひとつではなく、複数挙げられると良い。また、最初に確認した自社の強みや競合が持っていない要素を含めるようにすることで差別化につながる。

5.解決策や理想のあり方を抽象化しコンセプトとしてまとめる

顧客へ新規価値を提供するために、これまで検討してきた解決策やあるべき姿を抽象化する。洗い出した複数の解決方法やあるべき理想の姿をわかりやすい言葉で目的や方向性を抽象化して表現することで、それらを統一する伝わりやすいコンセプトが見つけやすくなるのだ。

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 コンセプトを検討する上でのポイント

ここでは、より良いコンセプトを構築するために気をつけたい3つのポイントをご紹介する。

 多角的な視点で抽象化を行う

抽象化してコンセプトを言語化する際は、多角的な視点を持って抽象化を行うことが必要不可欠である。抽象化とは、具体性を持つ「実体」から、形のない「概念」を導き出すことだ。実体に引きずられることなく、さまざまな角度から実体の本質を掴むことがなにより重要である。

たとえば、実体「スマートフォン」から抽象度を上げた概念をいくつか抜き出してみる。

・電話するもの
・テキストでのコミュニケーションをとるもの
・情報を調べるもの
・音楽をきくもの
・映像をみるもの
・買い物をするもの

まだたくさんの概念を出せると思うが、このようにさまざまな切り口で抽象度を高くすることで、「スマートフォン」は「生活を充実させることに欠かせないもの」という視点が見えてくる。概念を多角的に抜き出すことができるかどうかが、コンセプトの質に大きく影響を与えるといえる。

 価値を届けるという意識

「ターゲットの決定」のステップでも触れたが、誰にどのような価値を提供するのかということがコンセプト作りにはとても重要なポイントとなる。ターゲット設定があいまいだと、結局「誰にとっても価値のないもの」となる可能性がある。明確に需要と結び付けなければ、商品やサービスに対してお金を払う人は現れず、利益は生まれない。また、顧客自身は、商品やサービスそのものが欲しいのではなく、それを利用することで得られる利益や体験(=価値)を求めている。つまり、製品やサービス自体ではなく、「顧客価値」に注力する必要がある。

コンセプトを決定するとき、まずは受け手である顧客がどのようなものを求めているのか、顧客の持つ理想像について仮説を立てるための「顧客視点」が大切である。この顧客視点はコンセプトの検討段階だけでなく、商品やサービスを作るとき、提供するとき、改良するときなど、どのフェーズでも常に意識し続けなければならないものだ。

ただし、顧客は必ずしも自身の理想像や不満について言語化ができているわけではない点に注意する必要がある。顧客の理解を深め、すでに見えているニーズだけでなく、まだ表に出てきていない潜在的なニーズを言語化できれば、新たな価値につながる可能性がある。

 商品コンセプトの事例

ここでは商品コンセプトが、多くのユーザーに共感を持たれて成功した事例をご紹介する。

 バーミキュラ

バーミキュラは、メイドインジャパンの鋳物ホーロー鍋であり、「暮らしを変える鍋」というコンセプトが設定されている。バーミキュラは3万円程度と高価格だが、素材本来の味を引き出し、手料理の質を上げることができる鍋として大ヒットを記録している。バーミキュラは、自社の強みであった鋳造技術と精密加工技術を活かし、コンセプトを最大限体現し、顧客のニーズとうまく結びつけた好例である。ターゲットの設定が明確で、製品やブランドを貫くコンセプトが大ヒットにつながっているといえるだろう。

 フリクションボールペン

フリクションボールペンは簡単に書き直しができるボールペンで、「書いて、消して、また書ける」といったコンセプト設定がされている。これまで、ボールペンは消すことができないものであったが、特殊なインクの開発によって「消せるボールペン」がこの世に誕生した。発売から約10年で20億本も売れ、現在もヒットを続けている革新的な製品である。ボールペンは消せないという当たり前の事実に対し、顧客が感じていた無意識的な課題を言語化し、製品に落とし込むことができている良い事例である。

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 まとめ

商品やサービスの開発には膨大な時間や費用がかかる。製品を顧客に届けるまでの長い道のりで、提供したい価値がぶれてしまわないようにコンセプトをしっかりと設定する必要がある。

また、顧客の共感を得られるコンセプト作りには、明確なターゲットの設定や顧客課題を見つけることが重要だ。そのためには、市場や自社の立ち位置、顧客の理解を深めるための情報収集をしっかり行うことが必要だ。情報収集により地盤をしっかりと作り上げ、顧客価値から離れすぎたコンセプトとならないようにしたい。