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イノベーションにおける大きな課題ーアイデア発想のための情報収集

Innovation

国内だけでなくグローバル規模で競争が激化している製造業では、イノベーション創出の重要性が叫ばれて久しい。一方で、イノベーションを生み出すことに苦戦する企業や、悩みを抱える担当者が変わらず多く存在するのはなぜだろうか。今回は、イノベーションを正しく捉え、イノベーションの課題のひとつであるアイデア発想のプロセスに着目し、アイデア創出を促す環境を作るには何をすべきかについて解説する。

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 背景を理解する

多くのビジネスパーソン、特に製造業関係者は、昨今の外部環境のめまぐるしい変化を実感していることだろう。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、多くの企業が事業存続の危機にさらされ、混乱渦巻くなか、環境の変化にいち早く対応する企業と対応できていない企業で大きく差が開くこととなった。また、不確実性を助長する要因はパンデミックだけでなく、原材料の高騰、世界的な資源獲得競争の激化などさまざまである。先行きの見えにくい状況下では、事業環境の変化に対応できる能力と、これまでの考え方に囚われない柔軟で自由な発想が必要である。

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 イノベーションを理解する

事業環境の変化に加え、近年AIやビッグデータ、IoTなどの新技術が世界的に進展していることにより、生産・消費などの経済活動のみならず、働き方やライフスタイルも含めた経済社会のあり方が大きく変わりつつある。こうした世界的な潮流の中で、生産性を高め、さまざまな課題解決を促し、持続的な成長を実現するためには、イノベーションを生み出すことが必要不可欠だ。イノベーションとは、これまでにない新しい価値や仕組みを社会に実装し、経済に大きな影響を与えることである。つまり、「新しい価値を創造すること」が本来的な目的なのだ。イノベーションを行うこと自体を目的にするのではなく、どのような課題を解決したいのか、何を実現したいのかという問いを明確にしておかなければならない。

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 イノベーションの4分類

目的に沿ったアプローチ方法を考えるために、OECD(経済協力開発機構)とEurostat(欧州委員会統計総局)が共同で策定した国際標準(オスロ・マニュアル)による、イノベーションの4分類で整理することができる。技術的イノベーションであるプロダクトイノベーションとプロセスイノベーション、非技術的イノベーションである組織イノベーションとマーケティングイノベーションだ。

 プロダクト・イノベーション

製品開発により革新的な製品を生み出し、製品による差別化を行うこと。既存製品やサービスを大幅に改善したものも含まれるため広義なイノベーションである。たとえば、自動車やパソコン、スマートフォンなど、人々のライフスタイルに大きな変化をもたらすものだ。

 プロセス・イノベーション

製造方法や配送方法、それらを支援するものも含め、自社にとって新しい方法の導入を行うこと。自社にとっての新しいものという意味で、市場において新しいものである必要はない。また、ソフトウェアの変更などを含み既存のものを大幅に改善することもプロセス・イノベーションとなる。

 組織・イノベーション

これまでのやり方や、組織体制、他社や他機関などの社外関係を根本から見直し改めることだ。部署の新設は組織・イノベーションのひとつとなるが、M&Aによる合併と買収の実施は含まれない。また、時間がかかり効率の悪い業務を見直すことも組織・イノベーションとなる。

 マーケティング・イノベーション

商品やサービスのデザインや販売促進方法、販売経路、価格など、マーケティング・コンセプトや戦略に関わる変更のこと。たとえば、外食産業が新型コロナウイルスの流行の影響を考えてフードデリバリーを導入することなどもマーケティング・イノベーションと言える。

以上のような4つのイノベーションを、目的に合わせて満遍なく取り組むことが理想である。一方で、研究開発がカギを握る製造業においては、プロダクト・イノベーションが一番大きな影響力を持つ。では、製造業の成長の源泉であるプロダクト・イノベーションとなる新しい価値のアイデアを、絶えることなく生み出し続けられる理想的な環境とはどのような状態だろうか。

 アイデアを持続的に生み出せる環境とは

アイデア創出のためには知の掛け合わせが重要であることは言うまでもない。多くの引き出しからさまざまな掛け合わせを探るためには、個々で情報を探すのではなく、チームで情報を収集し、知を持ち寄る方が効率的であり、メンバー同士で有意義なディスカッションを行うことでアイデアの質が高められる。しかし、ただ意見交換をするだけで良いわけではない。チームメンバー全員が前提情報を理解できていないと、発言できず同調するのみとなり、とても有意義な時間にはならない。ひとりひとりが、競合の動きや世の中の動向などのさまざまな情報から課題を見つけ、その解決策を考える力をつけ、アイデア発想の習慣づけを行うことが必要だ。得られた情報をメンバーに共有し、それぞれが多様な考え方や視点を持ち議論することで、アイデアが生まれやすい環境を作り出せるのだ。

また、アイデアのタネとなる情報には、定量的な情報だけでなく、競合の技術や協業できそうな企業の情報、公的政策や社会環境の状況、周辺技術に関する広義の技術情報などの数値では測れない定性情報が必要がある。そういった情報から顧客課題や技術の用途を連想し結び付けることがイノベーションを行ううえで重要なのことなのだ。

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 幅広い情報収集の重要性

先述したように、チームで有意義な議論を行い質の高いアイデアを出すためには、情報が欠かせない。ここで今一度、幅広い情報収集が重視される理由をまとめよう。

1.情報の結合が最終的なアイデア創出、価値創出につながる

先にも挙げたとおり、さまざまな断片的な情報同士が結合していくことで、やがてナレッジ化され、それがアイデアの創出につながる。つまり前提条件として、結合するための広範な情報の引き出しが多く必要となる。

2.多様なメディアから発信される情報は宝の山

さまざまな業界紙などを合わせると、ウェブニュース上などで、日々、数万人の記者やライターが情報発信をしている。それらの記者は政治、経済、国際問題など各分野に精通したプロである。プロの視点や切り口で発信される記事は貴重な情報源となる。こうした専門的な情報を幅広く集めることで、物事に対する多角的な視点を養えるのだ。

3.情報の客観性を確保する

人は情報を都合よく解釈する確証バイアスという特性を持っている。いかに客観性を保ちながら情報を集め、自分の中で咀嚼できるかが重要で、そのためにもできる限り幅広く情報を取得する必要がある。

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 広範な情報を取得することの難しさ

情報収集の重要性は多くの方が知る事実であろう。一方で、高い視座を得ようと情報収集を行おうとすると、途方もない時間がかかってしまうことも確かである。アメリカ合衆国の市場調査会社IDCのあるリポートによると、ホワイトワーカーの情報収集・文書処理にかかる時間は、週40時間の労働時間のうち52.5%を占めることが示されている。このテキストワークを「情報収集」「文書検索」「文書作成」の3つに分けてみると、「情報収集」にかける時間は1週間で7時間、「文書検索」では5時間、「文書作成」では9時間が費やされているという。

出典:Bridging the information Worker Productivity Gap in Western Europe: New Challenges and Opportunities for IT, IDC

なぜ情報収集にはこれほどの労力が発生するのだろうか。その理由はさまざまに考えられるが、ここでは3点を挙げる。

(1)人力では対応できない情報量

技術動向や競合動向などの参考とすべきウェブ情報は膨大な量となっており、とても人力だけでは見きれない、探しきれない情報量となっている。

現代のビジネスパーソンが抱える情報オーバーロードの問題とは?
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(2)情報収集スキルの格差

弊社が行った情報収集に関するアンケート調査によると、「情報収集にかける時間を効率化する」の設問に対して、57%の方が実施できていないと回答している。また、「情報収集源を拡げる」に対しても、51%の方が未実施で回答しており、多くの方の課題となっていることがわかる。この情報収集の各設問に対して、実施できている人とできていない人の差が大きくなればなるほど、情報収集スキルの格差があると言える。

ストックマーク調べ 2022年4-6月調査

(3)情報の整理・統合の煩雑さ

集めた情報はただ保存してしまっておくだけでは意味がない。集めた情報をPESTや3Cなどの分析で活用したり、整理・分類し類似点や差異点、または変化点を探ることが重要だ。しかし、収集した情報を整理・分類することにも一定の時間がかかることも問題点のひとつであろう。

このように、情報収集の重要性は非常に高いものの、そこにかかる労力や必要となるスキルは並大抵のものではない。また、バリューチェーンのそれぞれのフェーズにフォーカスしてみると、特に市場調査や情報収集の部分については、10年前、20年前からあまり変わらず個人のスキルや人力に頼ったままとなっている企業が多い。しかし、これまで見てきたようにイノベーションにおける情報収集の重要性や内包する課題感からもわかるとおり、情報収集におけるDX(リサーチDX)がこれからの重要なカギとなることは間違いない。

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 情報収集のDXがカギ

イノベーションは知の掛け合わせであり、多くの引き出しを作るためには情報収集が必要不可欠である。一方で、情報量の増加と、見るべき情報領域が広範となるにしたがって、人が処理しきれない膨大な量となってしまっている。製造業のさまざまなバリューチェーンにおいてもDXが進む中、価値創出の1番の土台となるリサーチDXが遅々として進んでいないのは大きな問題点ではないだろうか。多くの企業があまり手をつけられていない今こそ、リサーチDXに取り組み、良質なアイデアを多く継続的に生み出せる環境が実現すれば、大きく他社と差をつけることも可能だろう。この機会にリサーチDXを検討してみてはいかがだろうか。

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