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MFTフレームワークを活用して技術と市場をつなぎ新たな価値を考える

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昨今、顧客価値の重要性が語られ、技術とニーズをつなぐことの必要性を感じている方も多いのではないだろうか。一方で、技術とニーズをつなぐことは容易なことではなく、簡単に思いつくものでもない。


今回は、技術の活用できる市場探索において有効な手法である「MFTフレームワーク」に焦点を当て、用途探索での活用や市場ニーズや顧客価値とつなげるためのポイントについて解説する。自社技術の可能性を模索する際の思考法の一つとして、是非とも参考にしていただきたい。

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 MFTフレームワークとは

MFTフレームワークのMFTとは、Market(市場)、Function(機能)、Technology(技術)の3つの単語の頭文字を取っている。MFTフレームワークとは、技術と市場を考える際に機能という概念に着目することで、技術が活かせる市場についてより広い視野を持って検討することができる手法である。技術と市場を直接的に結びつけて考えることは難しいが、間に機能を挟むことでイメージしやすくなるのだ。また、ひとつの技術が持つ機能はひとつとは限らず、さらにその機能ごとに適した市場が存在する。技術という幹から、枝葉が広がるように機能や市場へと枝分かれしていくイメージだ。

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 増えるMFTフレームワークの活用場面

グローバル化や技術の進展により、どの市場も飽和状態で競争が激化するばかりである。そのためこれまでのように革新的な技術を開発するだけでなく、既存技術を転用する用途開発の考え方や顧客価値の創出につながる技術の活用を模索することの重要性が高まっている。そのため技術を機能ごとに分解し、さまざまな市場とつなげて考える手法である、MFTフレームワークの活用場面が増えているのだ。

 機能に着目して新たな価値を生み出すとは

MFTフレームワークを活用することで、どのような効果が得られるのだろうか。ここでは「刑務所」を例として挙げよう。刑務所は「囚人が逃げられない建屋の中で更生する施設」である。刑務所が有する機能として、人の出入りが少なく、物の管理も厳重なことから「セキュリティ性が高い」という点がひとつに挙げられる。高いセキュリティ性という機能に着目すれば、外部に漏れてはいけない情報を扱う場所として利用価値があるという仮説を立てることができる。実際に刑務所のこの機能に着目し大学の入試テストの印刷場所とした事例がある。

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 技術と市場、2つのアプローチ方法

MFTフレームワークには、市場ニーズを起点とする「マーケットイン型」と、自社が既に持っている技術を起点とする「シーズアウト型」の2つがある。

 マーケットイン型

「マーケットイン型」とは、特定の市場を起点として、市場のニーズを満たすにはどのような機能が必要か、そしてその機能を有する技術とは何かを考える方式である。

 シーズアウト型

一方で「シーズアウト型」は、特定の技術から機能を考え、その機能を求めている市場を探す方式である。MFTフレームワークの頭文字はM(マーケット、市場)から始まるが、T(テクノロジー、技術)から派生させるシーズアウト型の方が考えやすいだろう。しかし、どちらかの視点のみに偏るのではなく、二つの視点を行き来しつつ仮説検証を繰り返すことを意識すると良い。

Technology(技術)を起点としたシーズアウト型のアプローチ

 MFTフレームワークで考えてみる

ここでは弊社の中核技術である「自然言語処理」を起点とした、MFTフレームワークの例をご紹介しよう。

自然言語処理技術の機能を抜き出すと「テキストから感情を分析」や「言葉やテキストの意図を的確に判断」、「文章の自動生成」などが挙げられる。次にその機能がどのような市場ニーズを満たせるのかを考えていく。たとえば、「文章の自動生成」の機能に着目した場合、ニュース記事やビジネスメールを自動で生成することで、ビジネスパーソンの業務効率化に活用できるのではないだろうかという仮説を立てていくことができる。

自然言語処理技術を例としたMFTフレームワーク

自然言語処理技術に関するわかりやすい解説記事はこちらの記事をご覧いただきたい。

 用途開発におけるMFTフレームワークの活用

MFTフレームワークは、特に新規事業や新製品開発などで技術の用途開発を行う際に有効性を発揮する。たとえば、「技術の棚卸」、「用途開発分野の発見」、「用途深化のためのアイデア発散」の3つのプロセスで活用できる。

 技術の棚卸

用途開発では、自社のコア技術や注力技術を明確にする技術の棚卸を行うことが最初のステップとなる。技術の棚卸では、自社技術について多角的に検討する必要があるため、技術が持つ機能に着目し、機能ごとに活用できる市場を考えるMFTフレームワークが非常に有効だ。

 用途開発分野の発見

ふたつめの活用ポイントは、筋の良さそうな研究開発分野を決定する際だ。研究開発分野を決定するには、論文や特許情報、メガトレンドなどの多くの情報収集により、コア技術や注力技術に関する理解を深めることが必要だ。それら技術に関する情報と市場や社会トレンドなどの情報から、これから需要が高まり成長しそうな分野であったり、自社独自の技術の差異化が行えそうな分野に目星をつけていく。自社技術と市場のニーズをつなげて考えるプロセスでMFTフレームワークを活用し、機能を織り交ぜて連想することでアイデアが出しやすくなる。

 用途深化のためのアイデア発散

次の活用ポイントは、確定した研究分野をさらに深掘りする際だ。決定した分野をより詳しく調査し、用途開発のアイデアを企画として昇格するためのステップである。このステップでは、技術や想定ターゲット、用途の仮説に関する情報や、顧客や有識者へのヒアリング、または他社事例などの情報を収集する。集めた情報をもとに再度MFTフレームワークを活用することで、用途開発のアイデアを発散し、具体化することができる。

 忘れてはいけない2つのポイント

MFTフレームワークをより有意義な検討の機会とするためには、以下の2点をきちんと押さえておきたい。
・MECE(ミーシー)
・顧客価値を意識する

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 基本の考え方であるMECE(ミーシー)

MECEとは、Mutually Exclusive Collectively Exhaustive の略であり、「重複と漏れがない状態」を意味する。「モレなく、ダブりなく」と呼ぶことも多い。

技術の棚卸で機能へと分解する際には、特にMECEを徹底する必要がある。要素のモレは、それがたとえたったひとつだけのモレであったとしても、市場検討の機会逸失であり、会社にとってチャンスを逃したことと同義である。また、要素検討の際の重複は、その後の作業工数を無駄に増やす結果になり、人的コストも時間も多く取ってしまうことにつながる。効率的に検討を行うためにも、初期段階からMECEには気をつけたい。

 顧客価値を意識する

製品がただ単に高性能であるだけでは売れない時代となったいま、どのようにしたら顧客ニーズを満たし、新たな顧客価値を生み出すことができるのかを考えられなければ企業の存続すら危ぶまれる。これまで言われてきたような「シーズ(技術)発想」と「ニーズ発想」のようなシーズとニーズが切り離された別のアプローチとして捉えるのではなく、2つを上手くつなぎ合わせていくことが必要不可欠なのだ。

また先述したとおり、MFTフレームワークは製品化や事業化プロセスでアイデアを固めてゆく過程で活用できる。要所であるポイントでMFTフレームワークを活用し顧客価値を意識付けすることができれば、生み出される製品や事業がニーズとかけ離れてしまう事態を防ぐことができる。これは、顧客価値という視点をより重要視したフレームワークで、MFTフレームワークにValue(価値)を加えたMVFTフレームワークとも呼ばれている。

 MFTフレームワークの効果を最大化するために

MFTフレームワークは、自社技術について多角的視点を持って新たな利用価値を探る用途開発において有効活用できる。しかし、フレームワークに当てはめることを目的とするのではなく、技術と市場をつなげて新たな価値を生み出すことを最終目標とするためには、膨大な情報とアイデアの引き出しが必要となる。そのためには、技術に関することだけでなく大きな視野を持って日々さまざまな情報に触れることが肝要だといえる。良い掛け合わせのアイデアを見つけるために、まずはさまざまな情報に目を通してみてはいかがだろうか。

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