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事業化を目指す研究開発に必須な新時代の情報収集とは

Research

OECDの統計データによると、日本の研究開発費総額は2019年時点で世界第3位である。一方で、世界銀行発表の2009年から2018年の平均GDPを見ると、日本は世界第9位となっている。つまり、日本では研究開発に対する投資が実際の経済成長にはあまり貢献できていない、あるいは、研究開発が効率的に行われていないといえる。いわゆる先行きが不透明で予測が難しい時代となる中、研究開発部門は、より効率的に事業に貢献する部門へと変化することが求められているのではないだろうか。

この記事では、ビジネス環境の転換における研究開発部門の役割の変化について整理し、技術起点の事業開発における課題と、解決策について探る。

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 1.ビジネス環境の転換と研究開発部門の役割の変化

現代のビジネス環境は破壊的な転換のただ中にある。自業界の競合のみならず、業界の垣根を超えたさまざまなプレーヤーの参入も非常に大きな脅威だ。インターネット技術やスマートフォンの進展により顧客行動は急速に変化し、優れた製品などの「モノ」主体の潮流から、体験やサービスなどの「コト」を主体とした潮流へとシフトし始めている。

そのため、日本の研究開発部門の費用対効果の低さと、取り巻く環境の転換期が相まって、研究開発部門の改革が急務となっている。経営戦略や事業戦略と一貫性のあるテーマを設定し、より短期間での事業化、収益化を目指した研究開発を進めていく必要があるのだ。これまでのような高度な技術の探求ということだけでなく、顧客すらも気がついていないような新しい価値を生み出すような技術開発が新たなミッションとなりつつあるのだ。

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 2.事業開発は技術起点へ、そのとき現場が抱える課題とは

「顧客のニーズを聞いてから新素材、新製品を作る」というプロセスでは技術開発が間に合わない時代となっている。たとえば、製造業のバリューチェーンではMI(マテリアルズ・インフォマティクス)の台頭により材料開発のプロセスが大きな変化を見せ始めている。データやAIを駆使することで新しい素材が次々と生み出される一方で、技術開発や製品化という出口へなかなかつながらない、という状況が生まれているのだ。

そのため、開発部門の方の中には、「なぜその製品・素材を作るべきなのか」「どんな価値をお客さまに届けたいのか」「どのようなビジネスモデルに落とし込んで、製品化していくのか」など、顧客の課題やニーズを調査し出口を探索することに課題感を持つ方も多いのではないだろうか。技術寄りのアイデアは出てくるのに、それをどのように市場や顧客ニーズと結びつけ事業プランとするのかという事業構想につなげることがうまくいっていないのだ。

 3.技術と事業をつなぐ「ファクターX」とは

研究開発部門のミッションの転換が起こる中、どのように技術と市場を結びつけて考えればよいのだろうか。技術と市場を直接結びつけて考えるのは困難なため、技術と事業の橋渡しとなる「ファクターX」が必要だ。

「ファクターX」を発見するためには、自社が保有するコア技術の技術特性から「課題」「用途」「市場」の視点をつなげて検討することが重要だ。「課題」の視点では、技術が有する機能を抽象化し、その機能でどのような課題が解決できそうかを考える。「用途」では、今の課題解決を抽象化していくと、どのような機能が役に立ちそうかを探る。「市場」では、用途で見つけた課題を抱えている顧客や市場はどこにあるのかということをあぶり出す。これらをつなげて考えることでファクターXを発見し、出口となる事業構想につなげていくのだ。そのあぶり出しを行う際に、すでに持っている知識やアイデアだけで主観的に判断するのではなく、業界や競合の事例、新しい技術を持ったスタートアップの事例などの客観的な幅広い情報からさまざまな角度で分析することが求められている。

 4.見るべき情報の変化

事業構想につなげるための客観的な情報を取得するために、情報収集の在り方も大きく変える必要がある。これまでは業界レポートや企業レポートなどの定量情報がまとめられたものを読んでいれば良かったのだが、まったく新しい市場領域が生まれてくる状況下では、各企業のプレスリリースや海外のスタートアップに関するニュースなどの定性情報をつなぎ合わせ、ミクロなマーケットレポートを自力で作っていくことが求められる。

また、大手の企業だけでなく、新興の企業や海外の企業などの動向も押さえておく必要があり、そのためには、マスメディアだけでなく、いわゆるマイクロメディアといわれるメディアにも目を向けていく必要がある。さらに、従来の自業界特化型の情報収集だけでなく、異なる業界、異なる規模の企業、国境を越えた企業など、領域を越境して情報を取りにいくことも重要な要素となっているのだ。

さらに、従来の自業界特化型の情報収集だけではなく異なる業界、異なる事業領域における社会課題や技術・顧客動向など、これまでの業界構造に捉われず、領域を越境して情報を取りにいくことも重要な要素となっているのだ。

つまり、これまでの特許や論文、業界情報からの「コア技術を深掘りしていくための情報収集」から、その技術がどういう顧客価値につながるのかという出口探索や用途開発を起点にした「オープン情報を活用したな情報収集」へ領域を広げていく必要があるのだ。

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 5.情報収集における課題

前節で述べた情報収集を行うにあたっては、3つの課題がある。1つ目はあまりにも膨大な情報量。2つ目は情報の複雑性。そして3つ目は個人で探索できる領域の限界である。

1つ目の課題である膨大な情報量は、個人の情報処理能力を越える量の情報があふれている超情報化社会を象徴する情報オーバーロードの問題だ。膨大な情報の中から求めている情報を探し出すだけでも骨が折れる作業である。2つ目の情報の複雑性とは、業界を跨いだ大きな環境変化が起きるため、急激に変化する事業環境を正しく捉えるためには、自業界以外の領域を多方面に渡り調査をする必要があり、これまで以上に状況を正しく把握することが難しくなっていることだ。3つ目の課題である個人で探索できる領域の限界は、まさに上述した2つの課題によって引き起こされるものである。もはや個人の能力でカバーできる領域の広さではなくなってしまっていることが要因にあるのだ。

※)情報オーバーロードの問題点に関する詳しい記事はこちら
「情報オーバーロードとは?引き起こされる問題点について解説」

 6.情報収集プロセスの見直しの必要性

研究開発部門のミッションの変化と情報収集で直面する課題を受けて、研究開発のプロセスも変革していかなければならない。これまでのような技術情報をメインとした各個人のスキルに委ねられた情報収集であったり、集めた情報を各々が保有したりなどの属人的な内側に閉じたインプットとするのではなく、見るべき広い領域の情報収集と集めた情報を組織知として蓄積していくことが重要である。

広い視野で集められた情報を自部門に限らず部門の垣根を超えて共有することで、違う視点を持つ他部門のメンバーの新しい気づきなどによって拡散的な思考を生み出しやすくなる。こうした「インプット」と「コミュニケーション」プロセスの変革が、特許や知的財産を得るためのだけの研究から脱却し、顧客価値につながるような製品や新しい事業の創出といった成果を生み出す研究へと変わる鍵となることは間違いないだろう。

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 7.情報収集の課題を解決するには?

研究開発部門が直面する3つの課題に対して、ストックマークはひとつの解決策としてAnewsを提供している。Anewsは自然言語処理技術によって国内外の約35,000サイトという膨大なオープンデータから、ユーザーの志向に合わせて、それぞれのビジネスに直結する良質な情報を効率的かつ網羅的に届ける。また、複雑性の増す市場情報をキーワードを設定するだけで必要な情報の取捨選択を行ってくれる。

さらに、Anews上でユーザー同士でコミュニケーションできる記事の共有やマーク、コメントといった機能を搭載していることで、情報を起点とした、ファクターXや事業構想を創出するための「深堀り」や「議論」を促している。人の能力だけでは処理しきれなくなった情報の取得をAI技術によって効率化することで、良質な情報に触れる機会を増やすことができるだけでなく、新しいアイデアを考えるクリエイティブな時間にリソースが使えるようになるのだ。

 まとめ

スピード感ある製品や事業の創出が求められる現代において、従来のような技術をさらに深堀していく研究開発から、課題ドリブン・顧客ドリブンで短期間での事業化、収益化を意識した研究開発が求められている。その際には、既存のマーケットや自身の業界を越え、さまざまな領域から膨大な量の情報を収集・分析し、技術を事業構想につないでいくアイデアの種を見つけ出すことに大きな価値がある。いかに情報収集を効率化し、必要な情報を漏れなく集められるか、これまで情報収集に費やしていたリソースをいかにアイデア創出や事業構想に充てることができるかが、これからの製造業企業の命運を左右することになるだろう。

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