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Society 5.0(ソサエティ5.0)とは何か?わかりやすく簡単に解説

Society 5.0(ソサエティ5.0)とは何か?わかりやすく簡単に解説

2016年1月22日に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」のなかで言及された概念、Society 5.0(ソサエティ5.0)。2050年の理想とされる社会の姿を表したものであり、さらにSDGsとも連動して推進していく流れもあり、2030年を一区切りとしている。本記事では、Society 5.0の全容と、Society 5.0によって成し遂げられる未来について解説したい。

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 Society 5.0(ソサエティ5.0)の意味や定義とは?

Society 5.0とは、インターネットなどの仮想空間と現実を融合させたシステムによって、経済発展と社会課題解決の両立を図る人間中心の社会のことを指す。読み方はソサエティ5.0。

Society 1.0(狩猟社会)、Society 2.0(農耕社会)、Society 3.0(工業社会)、Society 4.0(情報社会)に続く新たな社会の姿と位置づけられている。現在は、インターネットを経由し世界中の多種多様なデータや情報を人が収集・分析するSociety 4.0(情報社会)にあたる。それに対し、Society 5.0はさらに進んで、すべての人やモノがネットワークで接続され、収集されたデータはAIが自動解析する社会を指す。これは、決してAIに支配されるということを意味しているのではなく、多くの人が煩雑な作業や業務から解放され、一人ひとりが尊重され、快適に質の高い生活を送ることを意味している。

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 Society 5.0(ソサエティ5.0)とIndustry 5.0(インダストリー5.0)の違い

第5次産業革命(インダストリー5.0)とは、2021年2月に欧州委員会が提唱した概念で、第4次産業革命のキーテクノロジーであるAIやIoTを活用した産業構造の変革にくわえ、「人間中心」をコンセプトに据えて環境変化への対応力を有する持続可能な産業変革を目指す概念だ。非常に類似した概念ではあるが、Society 5.0は「社会構造」といったより幅広い意味合いとして定義付けされている。

 Society 5.0(ソサエティ5.0)までの変遷

Society 5.0を理解するために、まずはSociety1.0から4.0までの歴史について解説していきたい。

Society 5.0
出典:内閣府ホームページ (https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html)

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 Society 1.0(狩猟社会)

Society1.0は、農耕社会が始まる前のいわゆる原始時代を指す。肉食動物の狩猟や木の実などの採集を基盤として生活を送っていた。文明が栄えた頃に誕生した我々には信じ難いが、人類史の始まりである600万年前から換算すると、実はそのほとんどが狩猟社会といわれている。

 Society 2.0(農耕社会)

農業の起源は諸説あるが、農耕社会へ移行したのは今から約1万年以上前ではないかとされている。移動して狩猟する生活から、定住して農作物を栽培して暮らす社会へ移行した。

やがて、さまざまな場所で集落(共同体)が生まれ、人々で助け合って生活する行動規範が形成されるようになる。

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 Society 3.0(工業社会)

18世紀半ばから19世紀にかけて、イギリスを中心に起こった産業革命によって、軽工業・重工業・重化学工業など、さまざまな分野が機械化し、急速に産業が発展した。生産能力が向上したことに比例して人口も増加し、資本主義社会へと移行していく。

 Society 4.0(情報社会)

1995年にMicrosoft Windows 95が登場したことを皮切りに、世界的にインターネットが普及。ネットワークに接続された端末があれば、誰もが世界中のさまざまな情報にアクセスできる情報社会へと突入した。

端末はより小型化し、また通信技術も飛躍的な進化を遂げている。さらに、双方向的コミュニケーションが可能なSNSが登場したことによって情報の拡散速度が向上し、情報量は爆発的に増加した。

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 Society 4.0(ソサエティ4.0)の問題点

Society 4.0で爆発的に情報が増え、人の能力を超える情報量になったことによって、必要な情報を見つけることや、適切に処理することが困難となった。また、知識や情報の共有による分野を横断するような連携や、フィジカル空間(現実世界)のデジタル化が進んでおらず、経験や勘などの属人的なものに頼っている部分も多い。

こういった問題点を解決するために、インターネットなどのサイバー空間にあるデータだけでなく、まだ活かされていないフィジカル空間にあるデータをIoTやAIなどの技術を用いて収集し、サイバー空間とフィジカル空間をつなぎこむことを目指すSociety5.0が提唱されたのだ。

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 Society 5.0(ソサエティ5.0)が解決する課題や享受できるメリット【分野別事例】

では、Society 5.0が実現した場合どのような未来が待っているのだろうか。代表分野別に解説していこう。

 医療

現在では、何か身体に異変や異常があった際に、病院やクリニックに行き診療を受けるのが一般的だ。しかし、Society 5.0ではウェアラブル端末を取り付けて各人のバイタルデータを収集し、それに既往歴や通院記録、行動履歴といったデータを紐付け、AIで解析することで、疾病の早期発見や健康促進に活用し未病ケアや予防医療への転換が可能となる。

また、付近に診療所や病院がない限界集落の住民にも、前述したビッグデータ活用と、ロボットやオンライン診療などの活用によって、どこでも最適な治療を受けられるようになる。

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 農業

農業の現場では、労働力不足が深刻である。しかしながら、熟練者の勘に頼るケースが多く、有力な後継者を育成することが難しいのが現状だ。また、日本の多くは中山間部地域であり、省力化や作業負担の軽減なども大きな課題となっている。ドローンによる農薬散布や、IoTやAIによる摘果状況の分析といったスマート農業を実施することで、業務効率化や手不足の解消だけでなく、食品ロスの削減などにもつなげることが可能だ。

 防災

日本は世界でも有数の災害大国で、地球温暖化によって台風や豪雨の激甚化が進んでいる。また、近い将来、首都直下地震や南海トラフ地震などが発生することも想定されており、合理的で現実性の高い防災・減災対策を立てることが極めて肝心といえる。

たとえば、人工衛星を活用して地中の断層のモニタリングを行い、メカニズムを解析、危険水域に達する前に即座に自治体とリアルタイムに連携を行い、被害を最小限にとどめる取り組みや、また各所に取り付けられたIoTのセンシングデータを分析し、あらかじめ建物の倒壊予測や被害規模などをシミュレーションすることも可能となる。

さらには、土砂崩れや道路寸断などによって、孤立してしまった集落などにドローンや救助ロボットを活用し、救助や救援物資の配送などもできるようになるだろう。

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 交通

海外の一部ではすでに自動運転レベル4が実用化されており、完全自動運転とされるレベル5の実現まであとわずかだ。レベル5はシステムによって完全に制御されるため、ハンドルやブレーキペダル、アクセルペダルのない、従来の車とはかけ離れた形となる。自動運転は、我々が運転という作業から解放されるだけでなく、車載センサーから収集された交通情報や天気、観光地などを自動分析し、最適かつ安全な移動ができる。

 教育

AIによって、生徒の学習速度や知能指数といったデータを収集・分析することで、横一列による教育ではなく、より個別最適化された教育が可能となる。また、産官学連携によって、教育関連のビッグデータをシェアリングすれば、発達段階や学年ごとにおける習熟度や特性を把握でき、より精度の高い学習プログラムの開発につなげることも難しくないだろう。

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 Society 5.0(ソサエティ5.0)における問題点|実現に必要な技術

ここまで、Society 5.0によってもたらされる暮らしについて分野別に解説したが、残念ながら実現にはまだ先が長い。具体的にどのような技術があれば、これらの未来を創造できるのだろうか。

 IoT

Society 5.0では、とにかく膨大なデータが必要となる。その要の技術ともいえるのがIoTだ。IoTをうまく活用すれば、遠隔操作や遠隔監視、また各種センサーによってあらゆる形式の情報を収集・蓄積できるため、省人化や業務効率化の課題解決に寄与できるとされている。

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 AI

2023年は、ChatGPTやGemini、Claudeなど、さまざまな生成AIソリューションが登場したことから「生成AI元年」とも呼ばれている。文章だけでなく画像や動画など、より高度な出力ができるAIが登場しているが、Society 5.0では膨大なビッグデータを分析し、人に代わって最適解を導き出す役割が期待されている。

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 5G

IoTやAIなどの技術を最大限活用するには、通信インフラの大容量化、高速化が課題となる。5Gとは高速・大容量の通信を実現する第5世代移動通信システムのことで、4Gと比べると低遅延、多数同時接続という点で非常に優れており、まさにSociety 5.0の構築には欠かせない。また、限られた範囲内で独自の通信網を構築できる「ローカル5G」という専用のプライベートなネットワークが利用できるため、電波が入りにくい山間地域などでの建設作業や河川工事などにおけるネットワーク監視や建機の遠隔制御といったことも実現できるだろう。

 ロボット技術

自動で倉庫の検品やピッキングを行う産業用ロボットや、術者の微細な動きを実現する医療ロボット、収穫や摘果を行う農業ロボットなど、従来であれば人が担ってきた定型業務をロボットが代替・支援を行う。AIが仮想空間でシミュレーションしたデータをもとに、現実空間で運用する役割が期待されている。

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 まとめ

Society 5.0は非常に壮大なビジョンではあるが、端的にいえば、人間が人間らしく働く社会の実現である。

重要な意思決定や、人の心を動かすようなアイデアを描くなど人間でしか成し得ないものに注力できることで、より豊かな社会・世界を目指している。しかし、そこに至るまでには人が担っている業務のデータをAIやIoTで収集・分析し、それをロボットに代替していくという大掛かりなイノベーションが必要だ。

目指しているビジョンは非常に壮大であるが、多くの会社が参入できる余地は非常に大きい。ぜひこの機会にSociety 5.0を見据えて、新規事業や研究開発にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

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