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窒化ガリウム(GaN)とは

窒化ガリウム(GaN)

窒化ガリウム(GaN)は、ガリウム(Ga)と窒素(N)から成る半導体材料である。「ガリウムナイトライド」とも呼ばれる。青色発光ダイオード(青色LED)の材料として広く知られており、近年ではパワー半導体やレーダーへの応用も期待されている。

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窒化ガリウムの半導体としての特性

現在主流の半導体材料はシリコン(Si)だが、窒化ガリウムは以下のような特徴を持っている。

  • バンドギャップ
    窒化ガリウムのバンドギャップは3.39eVと大きく、シリコンの1.12eVの約3倍となる。これにより高電力や高電圧に耐えられる特性を持つ。
  • 結合構造
    硬くて安定した結合構造を持ち、優れた物理的・化学的安定性を示す。
  • 熱特性
    高い熱容量と熱伝導性を持ち、効率的に熱を放散する能力がある。高温下でもその性能を維持することができる。

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窒化ガリウムの活用方法

窒化ガリウムは、パワー半導体として幅広い用途での活用が期待されている。パワー半導体は、電力の変換や供給を担当する半導体であり、大電流や高電圧に耐えることができるのが特徴である。

窒化ガリウムは、たとえば下記のような分野での活用が考えられる。

  • 電気自動車(EV)のパワーエレクトロニクス
    自動車産業では、モーター制御や充電システムで使用され、電力効率の向上が期待される。これにより、充電時間の短縮や走行距離の延長が可能になり、EVの性能を高めることになる。
  • 通信技術
    窒化ガリウムの高速スイッチング能力は、5Gなどの次世代通信技術に不可欠だ。高周波数での動作が可能なため、より高速なデータ通信と、通信範囲の拡大が期待されており、スマートフォンやIoTデバイスの性能向上につながる。特にデータセンターでは、高効率で低消費電力の電源変換や制御に利用され、エネルギー効率の改善に貢献するとされている。
  • 航空宇宙および防衛産業
    高い耐熱性と耐圧性は、軍事用レーダーシステムや宇宙船の電子機器など、過酷な環境下での使用に適している。
  • 電力変換デバイス
    民生用電子機器では、スマートフォンやパソコンの充電器に利用され、小型化や高効率化を促進することが期待されている。

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窒化ガリウムの実用化に向けた課題

窒化ガリウムの実用化には、高品質な結晶を安定的に製造するための複雑なプロセスが必要なことから、コスト面、技術面、また技術者が少ない点が課題として挙げられており、量産の壁となっている。

近年、カーボンニュートラルが世界的な重要課題となるなか、電気機器の消費電力の削減、自動車の電動化などを実現する新たな技術革新のキーとして、従来のシリコンよりも優れた性能を持ち、エネルギー効率の向上に寄与する可能性がある窒化ガリウムが期待されている。そのため、スタートアップから大手企業などのさまざまな企業によって、量産化に向けた課題解決の取り組みが進められている。