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研究開発マネジメントの重要性とは?マネジメントのポイント3つを解説!

マネジメント要素を眺める男性

技術の進展やグローバル化によって、品質が良く低価格なものが簡単に手に入る時代となった。消費者にとっては大変有難いことなのだが、生み出す側にとってはより高付加価値のある商品を開発し続けることが求められる厳しい時代でもある。価値を生み出し続けるためには、シーズの発掘やテーマ選定が重要であることは誰もが感じていることだろう。このプロセスを管理し商品化や事業化へと結び付けるために、多くの企業がさまざまな手法のマネジメントに取り組み、模索しているのではないだろうか。

今回は、その研究開発マネジメントに焦点をあて、あらためてその重要性やマネジメントにおけるポイントについて解説する。

 研究開発マネジメントの重要性

日本の研究開発費は年々増加傾向にあることから、イノベーションや企業成長の起点として研究開発部門への期待が高まっていることが伺える。そして事業環境が一層厳しくなる中で、研究開発の効率化は急務な課題であろう。一方で、製品化への道のりは長い上に、市場に出せればそれで終わりということでもない。利益を上げ、事業貢献できる製品を創出するためには、たとえば以下のようなことを検討する必要がある。

・技術力に不足がないか(商品化の難易度が適正である)
・他社との技術的な協業
・品質、コスト、納期の設定が適切であるか
・ニーズを捉えられているか
・競争上で必要な性能や機能が把握できているか
・競合の動向を捉えられているか
・ターゲットやタイミングが適切であるか

研究開発プロジェクトは、プロジェクトの後半で中断や中止となることも少なくない。長い製品化のプロセスの中で、技術やリソース、市場、顧客、競合などのバランスを取りプロジェクトを管理する研究開発マネジメントの重要性が今まで以上に高まっている。

 プロジェクトを円滑に進めるために必要なこと

研究開発マネジメントとしてカバーすべき領域は、人材確保・育成から市場分析や戦略の策定、知財戦略やテーマの評価や選定まで多岐に渡る。近年の社会や経済環境の変化によって、製品や事業開発を取り巻く不確実性が増加する中、製品化や事業化につなげていくためには以下のような仕組み作りが必要である。

・迅速かつ適正なタイミングでの意思決定の仕組み
・技術や知識などの社内アセットの集約と共有の仕組み
・市場調査の集約と共有の仕組み

市場の変化のスピードはかつてないほど加速しており、スムーズな意思決定と柔軟な体制でプロジェクトを進めなければ、ニーズを捉えた価値提供の機会を逃す可能性が高い。また自社技術や知識や市場に対する理解がなければ、求められる製品や事業を作るのは困難である。

 研究開発マネジメントの3つのポイント

研究開発マネジメントを行う上で押さえておきたいポイントとして「技術戦略の策定」「知財情報の有効活用」「イノベーションを生み出す企業環境づくり」について解説する。

 技術戦略の策定

技術戦略とは、研究開発部門を起点とした成長戦略だ。会社のビジョンやミッションを実現させるための事業計画に技術面からアプローチする戦略のため、研究開発部門のみならず全社として重要な戦略である。コア技術を中心に会社の今後の方向性を示す指針であることから、研究開発テーマの選定にも深く関係し、研究開発マネジメントにおいても重要なポイントであることは言うまでもないだろう。

技術戦略を適切に定めるためには、押さえるべき重要なポイントが2つあげられる。1つは技術の棚卸しだ。現在のコア技術や将来を担う次世代のコア技術を明確にできていなければ、研究開発テーマが個別で乱立することになり、まとまりがなくバラけてしまう可能性がある。2つ目はニーズや競合、将来の社会や技術のトレンドなどの調査だ。この市場調査が十分に行えていないと、適切な評価基準が設定できず、プロジェクトの後半になって課題にぶつかり、事業化を断念することも起こり得る。

遠回りに感じるかもしれないが、技術の棚卸しや情報収集に十分な時間をかけ根拠のある技術戦略を策定することで、事業性もなく技術的にもつながりの薄いテーマに予算をかけてしまうことを避けることができる。また、先行きが不透明でVUCAと呼ばれる時代において、未来を見据えたコア技術を生み出すためにも技術戦略の策定を定期的に行い更新することがおすすめだ。

 知財情報の有効活用

ものづくり大国と謳われた日本は、これまで高い競争力を維持してきたが、安価な労働コストと技術向上によってアジア諸国に追い上げられるようになった。資源が少ない日本において、研究開発の成果である新しい技術などを知的財産として保護することが必要不可欠であることは以前から声高に叫ばれていることである。

 IPランドスケープとは

近年においては、デジタルやIT技術の進歩に伴い知財情報分析の手法も高度化している。そのひとつの手法として、IPランドスケープがある。IPランドスケープについて特許庁では以下のように定義している。

「経営戦略又は事業戦略の立案に際し、経営・事業情報に知財情報を組み込んだ分析を実施し、その分析結果(現状の俯瞰・将来展望等)を経営者・事業責任者と共有すること」

参照:特許庁「経営戦略に資する知財情報分析・活用に関する調査研究報告書」
https://www.jpo.go.jp/support/general/chizai-jobobunseki-report.html

昨今の社会状況の変化に対応するためには、企業にとって迅速かつ的確な経営判断を下すためにも、多角的な視点や分析が必要不可欠で、知財情報の利活用としてIPランドスケープが有効とされている。いわば「攻め」の知財である。「攻め」の知財とは、従来の技術を競合から守るための「守り」の知財とは異なり、自社や他社の知財や市場の情報をもとに、他社との連携によるオープン・クローズ戦略や、顧客の課題解決までを見据えた、より踏み込んだ取り組みである。

 研究開発部門と知財部の連携

効率的な研究開発活動には知財情報は必要不可欠である。知財部には、全社から多くの研究開発情報が集積されるため、研究開発テーマの選定に知財部が関わることで全社を通した事前調整が可能となる。また、研究開発テーマに関する他社の特許情報を知財部と開発部門で共有することで、事業化直前で他社の特許領域を侵害してしまうことが発覚して、それまでの開発活動が無駄になることを防ぐこともできるだろう。また、自社が持つ特許を最大限に生かす新製品や事業の開発や、自社技術や製品のどこをコアとして強化すべきか、足りない部分を補うアライアンス先の発見などを実現するためには、今後もさらに知財部との連携を強化していく必要があるのだ。

 イノベーションを生み出す企業環境づくり

先にも述べたとおり、昨今の変化の早い市場や社会環境に対応し、新しい製品や事業へとつなげていくためには、有益な情報をタイムリーに捉えること、取得した情報を適切に分析すること、それらの情報を共有し議論がきちんと行われ、迅速な意思決定につながっていることなどが大切である。

また、次世代のコア技術の開発を視野に入れ価値の差異化を目指す道のりや、製品化や事業化に至る道のりはとても長い。中長期的な研究開発テーマを成功させるためには、「技術」や「顧客・市場」、「社内・部門」の壁を越えていかなければならない。

「技術」、「顧客・市場」、「社内・部門」の壁を越えるためには、2つのポイントがあげられる。

 個々の情報収集力を向上させる

研究者や技術者、企画者の市場調査などの情報収集は、個々に任せられ、個人の情報収集能力や関心によって、情報の保有量や知識などに大きく差が出やすい環境の企業が多いのが現状ではないだろうか。しかし、アイデアの創出やテーマを選定する上で、技術や製品についての情報のみならず、市場や競合、異業種や世界の動向などのさまざまな情報に触れ、アイデアを掛け合わせるための引き出しや、テーマを正しく選定するための基準を情報から得ることが、これまで以上に求められている。

アウトプットを促進するために、適切なインプットは欠かすことができない。情報を積極的に取りに行く主体的な行動や、情報収集によって得られる広い視野は、壁を越えていくために欠かせない要素である。一方で、情報があふれる超情報化社会において、情報収集の手法も個人任せではなく、効率的で網羅的な手法を組織的に確立させていく局面を迎えていると言えるのではないだろうか。

 情報共有の文化を形成する

イノベーションとは「知と知の掛け合わせ」と言われるように、個人や部署で持つ知識や情報を共有し議論を重ねていくことが重要な意味を持つことは言うまでもないだろう。また、日頃から関係者や知見者の間で情報の共有やコミュニケーションが活発にされていれば、前提や背景、プロジェクトの目的や目標などの認識の共有をした上で、中身の濃い有意義な議論を行うことができ、迅速な意思決定が行いやすくなる。つまり、これまで情報収集・分析は個人ごとに行われ議論の場ですり合わせを行なっていたところを、情報収集の段階から関係者全員で組織的に取り組み共有し、部門や役職による社内の壁を越えることにつなげることが必要とされつつある。

 まとめ

研究開発の事業貢献や効率化が一層求められるようになったことにより、プロジェクト推進のマネジメントの重要性も高まっている。製品化や事業化を目指すプロジェクトは5年や10年先を見越した中長期戦略であることから、プロジェクトを円滑に進めるためには、テーマ選定のみならず企業の行く末を担うコア技術の創出を含めた技術戦略や、知財戦略など幅広い領域をマネジメントすることが求められている。それらを実行していくためには、網羅的な情報収集が必要不可欠で、あふれる情報の波から適切で有益な情報を得るスキルが重要である。

また、研究者や技術者、企画者の個々の情報収集・分析力を高め、組織を横断する情報共有の連携強化が、常に一定して新しいアイデアや革新的なテーマを生み出していける組織作りに有効である。必要とする情報に辿り着くために、多くの時間を割かなければならない時代となった今、自己流の情報収集から組織の情報収集として、リサーチDXを検討してみてはいかがだろうか。