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技術戦略とは?技術戦略の重要性と戦略の立て方

技術戦略とは?技術戦略の重要性と戦略の立て方

技術戦略とは、技術経営の要となる戦略のことだ。技術を最大限に活用した企業活動を行ううえで、経営の方向性に沿った具体的かつ根拠立てられた戦略の設計は欠かせない。この記事では、技術戦略とはどのようなもので、どのように戦略を立てたら良いか解説する。

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 技術戦略の概要

技術戦略とは、指針に沿った目標を達成するために具体的な方向性を示すことである。さまざまな技術を持った製造業に属する企業にとって、自社技術の活用は企業の経営活動の維持だけでなく、今後の発展にとっても重要な鍵となる。

 技術戦略とは

技術戦略は、技術経営(MOT、Management of Technology)を行ううえで中核となる戦略であり、技術開発戦略とも呼ばれる。技術を活用する企業の経営にとって重要度が高い戦略である。技術戦略では、開発を進める、または縮小すべき技術分野の方向性や、現在ある技術の活用、特許化もしくは出願せずにノウハウ化するといった知的財産の処遇、資材の割り振り、協業や提携といった外部連携、製品やサービスの広告の打ち出し方についてなどが盛り込まれる。中長期目標といった企業の掲げた目標を達成するために、技術的な方面でどのような企業活動を行うのか具体的に決定する戦略だ。

 技術戦略がなぜ重要なのか

現代のビジネス環境は不安定かつ不確実な状況が続いている。社会や経済のグローバル化や世界情勢的な危機、顧客ニーズの多様化などにより複雑性は増し、将来の見通しが難しくなった。このような状況に対し、市場動向や顧客ニーズを適切に捉えて対応するためには、事業ポートフォリオを構築し、適宜更新していく必要がある。経営の舵取りや事業の取捨選択を的確に実行するためにも、事業や技術を適切に把握し、戦略策定を明確かつ適時に行わなければならない。

研究開発部門は、企業の成長の根幹に大きく関わる部門である。自社技術に戦略的に向き合うことで、高収益が望める新製品や新サービス、新事業を生み出すことができる仕組みを作り、自社の成長への貢献度を大きく上げることができる。また、技術戦略の策定は、企業の持つ自社技術という資産を最大限に活用することにつながり、新たな市場開拓や事業開発への効果が期待できる。

これらの理由から、技術戦略は企業の存続と成長のためには欠かすことができない戦略といえる。

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 技術戦略に取り組むことで得られるメリット

企業が保持する技術や知識といった資源を最大限に活用できるように技術戦略を策定することで、競合他社との差別化が期待できる。また、差別化以上に差異化ができればますます市場でのポジションを強くすることができるだろう。競争優位性の確立は、市場シェアや収益を拡大することにつながる。

また、技術戦略は、製品やサービスの開発段階のみならず、生産、販売プロセスといったビジネスプロセスのすべての段階で技術を活用することを目指す。そのため、それぞれのプロセス内だけでなく、各プロセスの連携や全体を通しての効率化とコスト削減の効果を生み出す。技術戦略は企業活動の業務効率改善や、生産性の向上にも効果を発揮するといえるのだ。

さらに、経済や市場といった視点だけでなく、技術分野のトレンドや研究を反映することを意識することで、従来型の経営戦略よりも技術革新への対応力の向上も期待できる。市場で生き残り、成長を続けるためには、対象領域での技術革新のスピードに追いつくことは大前提だ。その意味でも、技術戦略へ取り組むメリットは大きいといえる。

 技術戦略の策定方法

技術戦略の一般的な流れを解説しよう。

 目的を明確にする

企業の経営理念や方針に沿ったうえで技術戦略を策定し、どのようなことを達成したいのかを明確にすることが最初の重要なステップだ。また、技術戦略の上流にある経営戦略と連動した内容であることが欠かせない。技術戦略の目的の例としては、以下のようなものが挙げられる。

・技術革新、技術開発を促進して、展開している市場内での企業の競争力を向上させる
・技術資源を最大限かつ最適に活用し、ビジネスプロセス全般でのコスト削減、プロセスの効率化を図る
・企業の事業ポートフォリオといった事業戦略と技術戦略を統合し、新たな市場開拓につなげる

最終的にどのような結果を出したいのか、しっかりとビジョンを持って策定することが大切だ。

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 自社が持っている技術を把握する

技術戦略は自社の持つ技術を最大限活用するために策定されるものであるため、自社技術のすべてを正しく把握しておかなければならない。とはいえ、企業の成長とともに技術が増え続け、活かしきれていない、きちんと把握できていない技術もあるという企業も少なくないだろう。そのため、具体的な戦略の策定を行う前に、まずは自社技術を正確に把握するため、技術の棚卸を行う必要がある。技術の棚卸は、技術の一覧表を作ることが目的ではなく、どの技術が自社にとってコア技術であるのか、また技術同士の関連性などについて、有機的な技術プラットフォームを作成するつもりで行わなければならない。技術プラットフォームの質は技術戦略の質に直結するため、技術の棚卸は慎重かつ正確に行う必要がある。自社技術についてフラットな評価を行うことでコア技術などの事業の中核となる技術や、市場ニーズと結び付きそうな技術を見つけやすくなる。

 市場調査を行う

技術の棚卸によって技術プラットフォームを形成後、技術戦略策定のため市場調査を行う必要がある。市場調査の目的は、市場や社会トレンドの動向を把握することである。具体的には、市場規模や成長率といった市場のスケールのほか、市場や社会でどのようなことが求められているのか、将来必要になりそうな技術や製品にはどのようなものがあるかなどを市場や社会全体のトレンドとして確認しておきたい。

全体のトレンドを掴んだら、自社の事業領域に落とし込み、その業界が今後どのようになりそうか、顧客のニーズがどう変わりそうか、業界内でどのような技術が求められることになるか、新たに顧客となりそうな層がいないかなどを検討しておくことも重要だ。

市場調査では、定量調査だけでなく定性調査を行うことも重要だ。金額などの具体的かつ客観的な数字だけでなく、数値に表れない情報なども含めさまざまな視点で市場を分析する必要がある。

 競合の企業を調査する

競合他社の事業内容やシェア率、動向、さらに競合が持つ技術なども把握しておくことが大切だ。競合他社の調査においても、調査する目的を明確にしておくことを忘れてはいけない。基準となる視点を設定しておくことで、比較すべき項目や確認すべき内容が見えてくるからだ。

競合他社といっても、必ずしも同じジャンルの製品やサービスを提供する企業とは限らない。近年、業界を超えたディスラプターの出現という脅威の高まりもあり、これまで集めてきた情報から、どのような企業がライバルになり得るのかも考えていく必要がある。

 技術戦略を策定する

市場や競合他社の情報や分析から具体的に技術戦略を策定していく。企業全体、もしくはプロジェクトチーム全体で方向性を定め、目標達成までのプロセスを構築する。最初のステップで設定した目標に対して現在とのギャップを見つけ、実現に向けて課題となっている部分をどのように解決していけば良いのかという具体的な取り組むべき施策を検討する。

 戦略策定のポイント

技術戦略を策定する際に、気をつけておきたいポイントについてご紹介する。

 正確な分析が重要

技術戦略の策定には、競合他社に負けず、市場での地位の確立や維持、もしくは拡大という目標がある。自社の持つ技術を最大限活かした戦略を立て、開発や製造、提供といったプロセスの中で実行していくことが大切なのだ。そのためには、技術戦略が独りよがりな内容であってはならず、市場や競合他社、周辺の領域を含めた広い視野で現状を正確に把握したうえで策定する必要がある。また、立てた目標や設定の難易度が高ければ高いほど、分析はより詳細で的確でなくてはならない。

情報の収集には、特許といった知財分野の継続的なリサーチだけでなく、競合や他業界の企業が出すプレスリリース、メディアが発信する情報などが有効だ。また技術と市場をつないで考えるためには、顧客視点も取り入れ、さまざまな視点から分析する力をつけることが大切だ。

 経営戦略や営業戦略と連携させる

戦略が孤立してしまっては効果的に企業の収益へ結びつかせることはできない。全社的な戦略として機能できるように、経営戦略や営業戦略と連携しておくことが必要だ。ただし、上位戦略である経営戦略に迎合的な戦略となってしまっては、技術視点からの市場調査や戦略を策定した意味がなくなってしまう。技術の立場で分析を正しく行い、その上で経営戦略や方針と矛盾しない技術戦略を立てるべきである。戦略は、コア技術などのコアコンピタンスを明確にすること、そして事業ポートフォリオを構築することで連携の取れたものが策定しやすくなる。企業全体の利益向上、ひいては成長につなげるために最大限技術を活用するという視点を忘れずに策定したい。

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 未来と向き合う

戦略策定において、未来思考を持つことも非常に重要だ。未来思考とは、物事を思考する際の視点を未来に置き、逆算的に現在について考えることだ。
市場や顧客といった現在の状況は、今後も同様である可能性は低く、国際化やデジタル化が著しい昨今において、将来の予測はますます複雑化している。その中で生き残るためには、数年で達成できる目標を立てるといった短期的視野だけでなく、日々の業務内容からは遠く思えるような大きなテーマを検討してみることも必要である。未来や組織全体を俯瞰して、大きな目標に基づいた一貫性を戦略に付与できると、より価値が高く、無駄のない戦略を策定することができるようになるだろう。

 まとめ

技術戦略は技術を持つ企業が競争の厳しい市場経済を生き抜くために重要であり、自社の命運を担うものといっても過言ではないだろう。自社の事業ポートフォリオ、技術といったアセットの活用を反映させた質の高い戦略を策定するためにも、広い視野でさまざまな情報を正確に分析することが何よりも大切だ。適切な情報を収集、分析して、技術戦略の策定に活かしてほしい。

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